コイン

(じはんきでこーひーをかったおつりはきみとぼくをつなぐ)

自販機でコーヒーを買った　お釣りは 君と僕をつなぐ

(まほうのこいん)

魔法のコイン

(せまいでんわぼっくすのなかひゅるりら)

狭い電話ボックスの中 ヒュルリラ

(ふゆのすきまかぜがないてる)

冬の隙間風が啼いてる

(いちばんこうかな５００えんだまもこのときばかりはやくだたず)

一番高価な500円玉も この時ばかりは役立たず

(１０えんだまのほうがずっとえらいんだ)

10円玉の方が　ずっと偉いんだ

(１０びょうかんずつきみにあえる)

10秒間ずつ君に会える

(ぷるるるるぷるるるる)

「プルルルル‥プルルルル‥」

(ｃａｌｌをむいしきにかぞえてる)

Callを無意識に数えてる

(７かいめにはきまってるすでんにかわる)

7回目には 決まって　留守電に変わる

(もうねむっていたのかな)

もう眠っていたのかな?

(だといいな)

…だと良いな

(なんでもないめっせーじをのこしじゅわきをおろしてきづいた)

何でもないメッセージを残し 受話器を下ろして気付いた

(たいしたようじなんてないんだただこえがききたいんだよ)

大した用事なんて無いんだ ただ 声が聴きたいんだよ

(あしたのあさにきくのかな)

明日の朝に聴くのかな?

(それならおやすみじゃなかったね)

それなら「おやすみ。。」じゃなかったね

(またきみにわらわれるやいつものように)

また 君に笑われるや いつものように

(まとめてかいすぎたこーひーがちゃがちゃと)

まとめて買いすぎたコーヒー　ガチャガチャと

(とりだしぐちにつっかえている)

取り出し口につっかえている

(もとめすぎてしまったあとにきづく)

求めすぎてしまった後に気付く

(きみのきもちもいっしょなのかなぁ)

君の気持ちも一緒なのかなぁ?

(えきまでののぼりざかぺだるのおもさとたたかってる)

駅までの上り坂 　ペダルの重さと戦ってる

(きみののせたあのころならすずしいかおで)

君の乗せた あの頃なら 涼しい顔で

(やせがまんしててもとがふらふら)

痩せ我慢して　手元が フラフラ

(へっどらいとがてらすよみちにひびくまのぬけたくちぶえ)

ヘッドライトが照らす　夜道に響く 間の抜けた口笛

(せんちめんたるなめろでぃーほど)

センチメンタルな　メロディーほど

(りきんじゃうんだわらわないでよ)

力んじゃうんだ 笑わないでよ

(せなかできいてたそのこえもいまはつながれたじゅわきのなか)

背中で聴いてたその声も 今は繋がれた受話器の中

(またさびしさにまけそうさつきがにじんでる)

また 寂しさに負けそうさ　月が滲んでる

(こっそりよていをききだしてしゅうまつないしょで)

こっそり予定を聞き出して 　週末内緒で

(きみにあいにいくんだ)

君に会いに行くんだ!

(かんづかれないようにさりげないかいわで)

勘付かれないように さりげない会話で

(わずかないとぐちをつかんでうまくやるんだ)

僅かな糸口を掴んで　うまくやるんだ!

(ぷるるるるぷるるるる)

プルルルル‥ プルルルル‥

(こんやもなんでもないめっせーじをのこし)

今夜も 何でもない　メッセージを残し

(じゅわきをおろしかけたときるすでんがきみにきりかわった)

受話器を下ろしかけた時　留守電が君に切り替わった

(あわててこえもうらがえるんだよ)

慌てて声も裏返るんだよ

(あしたのよていは)

「明日の予定は、、

(どうなってるの)

どうなってるの!?」

(これにてさくせんはまるつぶれ)

これにて作戦は 丸つぶれ

(またきみにわらわれてるじゅわきのおくで)

また 君に笑われてる 　受話器の奥で

(もうきっぷもかってるんだ)

もう 切符も買ってるんだ

(しはつでいくよ)

始発で行くよ