水槽

(しゃりょうきちのれーるがぜんそくみたいにきしむおとがして)

車両基地のレールが　喘息みたいに軋む音がして

(あめがちかいことをさとる)

雨が近いことをさとる

(しょっぴんぐもーるのちゅうしゃじょうではべんちにこしかけたはるが)

ショッピングモールの駐車場ではベンチに腰掛けた春が

(ａｔｍがひらくのをまっていた)

ATMが開くのを待っていた

(ひざしはいぜん、たいくつなおんりょうで)

陽射しは依然、退屈な音量で

(おるごーるみたいなじゃずはこのまちににあうことを)

オルゴールみたいなジャズは　この町に似合うことを

(じかくしてるからなるべくしてなっているのだ)

自覚してるから鳴るべくして鳴っているのだ

(ぼくらはあせりでみたされたすいそうでいきてるから)

僕らは焦りで満たされた　水槽で生きてるから

(ぼくらはおそれがじゅうまんしたきつえんしつでくらしてるから)

僕らは恐れが充満した　喫煙室で暮らしてるから

(きょうがおわることにあせりもおそれもなく)

今日が終わることに　焦りも恐れもなく

(せいしょされたいちにちをめでなぞるように)

清書された一日を目でなぞる様に

(そして、あくびをかみころしもしない)

そして、あくびを噛み殺しもしない

(だれかそのえあーぽんぷのでんげんをきってくれないか)

誰かそのエアーポンプの電源を切ってくれないか

(さもなくばぼくがそうする)

さもなくば僕がそうする

(みてみろよこれがせかいのすべてだ)

見てみろよ　これが世界の全てだ

(しゃったーしょうてんがいかんじょうどうろ７ごうせん)

シャッター商店街　環状道路７号線

(じもとのらじおからながれるすたじあむろっくがおおぎょうなえんじんおんで)

地元のラジオから流れる　スタジアムロックが大仰なエンジン音で

(ねずみとりにつかまった)

ネズミ捕りに捕まった

(たいくつもわるくないってことばはたいくついがいをしってはじめていえるんだ)

退屈も悪くないって言葉は　退屈以外を知ってはじめて言えるんだ

(そして、あのぱちんこてんのかんばんあれがせかいのはてだ)

そして、あのパチンコ店の看板　あれが世界の果てだ