『独裁者』ラストシーン演説

(じぶんたちじしんをこりつさせた)

自分達自身を孤立させた。

(ゆとりをあたえてくれるきかいにより)

ゆとりを与えてくれる機械により、

(ひんこんをつくりあげてしまった)

貧困を作り上げてしまった。

(ちしきはわたしたちをひにくにし)

知識は私たちを皮肉にし、

(ちえはわたしたちをつめたくむじょうにした)

知恵は私達を冷たく、無情にした。

(わたしたちはかんがえすぎ)

私たちは考え過ぎ…

(かんじなくすぎる)

感じなく過ぎる。

(きかいよりも)

機械よりも、

(じんるいあいがひつようなのだ)

人類愛が必要なのだ。

(かしこさよりも)

賢さよりも、

(やさしさやおもいやりがひつようなのだ)

優しさや思いやりが必要なのだ。

(そういうかんせいなしでは)

そういう感性なしでは、

(よのなかはぼうりょくでみち)

世の中は暴力で満ち、

(すべてがうしなわれてしまう)

全てが失われてしまう。

(ひこうきやらじおが)

飛行機やラジオが、

(わたしたちのきょりをちぢめてくれた)

私たちの距離を縮めてくれた。

(そんなはつめいのほんしつは)

そんな発明の本質は、

(にんげんのりょうしんによびかけ)

人間の良心に呼びかけ、

(せかいがひとつになることをよびかける)

世界がひとつになることを呼びかける。

(いまもわたしのこえはせかいじゅうのなんびゃくまんにんのひとびとのもとにとどいている)

今も、私の声は世界中の何百万人の人々のもとに届いている。

(なんびゃくまんものぜつぼうしただんせいたちじょせいたちちいさなこどもたち)

何百万もの絶望した男性達、女性達、小さな子供達。

(ひとびとをくるしめるそしきのぎせいしゃたち)

人々を苦しめる組織の犠牲者達。

(つみのないひとたちをとうごくさせるものたち)

罪のない人達を投獄させる者達。

(わたしのこえがきこえているひとたちにいう)

私の声が聞こえている人達に言う…

(ぜつぼうしてはいけない)

絶望してはいけない。

(わたしたちにおおいかぶさるふこうはたんにすぎさるよくであり)

私たちに覆いかぶさる不幸は、単に過ぎ去る欲であり、

(にんげんのしんぽをおそれるものたちのぞうおなのだ)

人間の進歩を恐れる者達の憎悪なのだ。

(にくしみはきえさり)

憎しみは消え去り、

(どくさいしゃたちはしにたえるであろう)

独裁者たちは死に絶えるであろう。

(ひとびとからうばいとられたけんりょくはひとびとのもとにかえされるだろう)

人々から奪いとられた権力は、人々のもとに返されるだろう。

(けっしてにんげんはえいえんにはいきないように)

決して、人間は永遠には生きないように、

(けっしてじゆうはほろびることもない)

決して、自由は滅びることもない。

(へいしたちよ)

兵士たちよ。

(けものたちにみをたくしてはいけない！)

獣たちに身を託してはいけない！

(きみたちをみくだしどれいにしじんせいをあやつるものたちは)

君たちを見下し、奴隷にし、人生を操る者たちは、

(きみたちがなにをしかんがえかんじるかをさしずする！)

君たちが何をし、考え、感じるかを指図する！

(きみたちをきたえしょくじをせいげんするものたちは)

君たちを鍛え、食事を制限する者たちは、

(きみたちをかちくとしてただのこまとしてあつかうのだ！)

君たちを家畜として、ただのコマとして扱うのだ！

(みをたくしてはいけない！)

身を託してはいけない！

(そんなしぜんにはんするものたちなどに！)

そんな自然に反する者たちなどに！

(きかいにんげんたち)

機械人間たち…

(きかいのまいんどをもちきかいのこころをもつものたちなどに！)

機械のマインドを持ち、機械の心を持つ者たちなどに！

(きみたちはきかいじゃない！)

君たちは機械じゃない！

(きみたちはかちくじゃない！)

君たちは家畜じゃない！

(きみたちはにんげんだ)

君たちは人間だ。

(こころにじんるいあいをもったにんげんだ)

心に人類愛を持った人間だ。

(にくんではいけない)

憎んではいけない。

(あいされないものだけがにくむのだ)

愛されない者だけが憎むのだ。

(あいされずしぜんにはんするものだけだ)

愛されず、自然に反する者だけだ。

(へいしよ！)

兵士よ！

(どれいをつくるためにたたかうな！)

奴隷を作るために闘うな！

(じゆうのためにたたかえ！)

自由のために闘え！

(るかによるふくいんしょの１７しょうにかみのくにはにんげんのなかにあるとある)

『ルカによる福音書』の１７章に、「神の国は人間の中にある」とある。

(ひとりのにんげんではなくいちぶのにんげんでもなくすべてのにんげんなのだ)

一人の人間ではなく、一部の人間でもなく、全ての人間なのだ。

(きみたちのなかになんだ)

君達の中になんだ。

(きみたちひとびとはちからももっているんだ)

君たち、人々は力も持っているんだ。

(きかいをつくりあげるちからこうふくをつくるちからをもってるんだ)

機械を作り上げる力、幸福を作る力を持ってるんだ。

(きみたちひとびとがもつちからがじんせいをじゆうにうつくしく)

君たち、人々が持つ力が、人生を自由に、美しく、

(じんせいをすばらしいぼうけんにするんだ)

人生を素晴らしい冒険にするんだ。

(みんしゅこっかのなのもとにそのちからをつかおうではないか)

民主国家の名のもとに、その力を使おうではないか。

(みんなでひとつになろう！)

皆でひとつになろう！

(あたらしいせかいのためにたたかおう)

新しい世界のために闘おう。

(じょうしきあるせかいのために)

常識ある世界のために。

(みんながこようのきかいをあたえてくれきみたちがみらいをあたえてくれ)

皆が雇用の機会を与えてくれ、君たちが未来を与えてくれ、

(ろうごにあんていをあたえてくれるせかいのために)

老後に安定を与えてくれる世界のために。

(そんなやくそくをしてけものたちもけんりょくをのばしてきた)

そんな約束をして、獣たちも権力を伸ばしてきた。

(しかしやつらはうそつきだ)

しかし、奴らは嘘つきだ。

(やつらはやくそくをはたさない)

奴らは約束を果たさない。

(これからもはたしはしない)

これからも果たしはしない。

(どくさいしゃたちはじぶんたちをじゆうにしひとびとをどれいにする！)

独裁者たちは自分たちを自由にし、人々を奴隷にする！

(いまこそたたかおう！)

今こそ、闘おう！

(やくそくをじつげんさせるために)

約束を実現させるために。

(たたかおう！)

闘おう！

(せかいをじゆうにするためにこっきょうのばりあをなくすため)

世界を自由にするために。国境のバリアを失くすため。

(よくぼうをなくしけんおとくなんをなくすために)

欲望を失くし、嫌悪と苦難を失くすために。

(りせいのあるせかいのためにたたかおう)

理性のある世界のために闘おう。

(かがくとしんぽがぜんじんるいのこうふくへみちびいてくれるせかいのために)

化学と進歩が全人類の幸福へ、導いてくれる世界のために。

(へいしたちよ！)

兵士たちよ！

(みんしゅこっかのなのもとに)

民主国家の名のもとに、

(みんなでひとつになろう！)

皆でひとつになろう！