手を振るモノ2
問題文
(まずてをふっていたほうはみずいろのわそうで、)
まず手を振っていた方は水色の和装で、
(しょうねんのにんぎょう(いっぱんてきなひなにんぎょうをひとまわりおおきくして)
少年の人形(一般的な雛人形を一回り大きくして
(たたせたようなかんじ)のようです。)
立たせたような感じ)のようです。
(かおはもとはまっしろだったのでしょうが、)
顔は元は真っ白だったのでしょうが、
(あめかぜにながいねんげつさらされたようなよごれがあり、)
雨風に長い年月さらされたような汚れがあり、
(くちびるにはがれかけたしゅいろのべにがひいてありました。)
唇に剥がれかけた朱色の紅がひいてありました。
(あとこしにしろいかたなをさげていました。)
あと腰に白い刀を下げていました。
(もういったいのほうはしょうじょのにんぎょうで、かみがながいのと)
もう一体の方は少女の人形で、髪が長いのと
(きものがうすいあかいろというのいがいはしょうねんのにんぎょうと)
着物が薄い赤色というの以外は少年の人形と
(おなじで、ついになっているのがわかりました。)
同じで、対になっているのが分かりました。
(まりかどうぐばこか、なにかをかかえていたようなきが)
毬か道具箱か、何かを抱えていたような気が
(しますがさだかではありません。)
しますが定かではありません。
(あとこぶねとおもっていたのは、)
あと小舟と思っていたのは、
(ちょうほうけいのひらべったいおぼんのようなものでした。)
長方形の平べったいお盆のようなものでした。
(ぼくがふるえながらもそのすがたからめをはなせないで)
僕が震えながらもその姿から目を離せないで
(いると、おじがこのぶきみなにんぎょうたちの、)
いると、叔父がこの不気味な人形たちの、
(さらなるいじょうさにきづいていいました。)
更なる異常さに気付いて言いました。
(「ながれぎゃくやぞ、これ!」)
「流れ逆やぞ、これ!」
(かわはぼくたちからみてみぎうえにながれています。)
川は僕たちから見て右上に流れています。
(つまりにんぎょうたちは、)
つまり人形たちは、
(かわのながれにさからって)
川 の 流 れ に 逆 ら っ て
(こちらへやってきたのです!)
こちらへやって来たのです!
(それにきづいたぼくたちはたまらずいちもくさんに)
それに気付いた僕たちはたまらず一目散に
(くるまにとびのり、かわらをあとにしました。)
車に飛び乗り、川原を後にしました。
(ぼくがおそるおそるさいどみらーでかくにんすると、)
僕が恐る恐るサイドミラーで確認すると、
(にたいのにんぎょうはほんらいながされるべきほうこうへ、)
二体の人形は本来流されるべき方向へ、
(ながれにのってゆっくりととおざかっていきました。)
流れに乗ってゆっくりと遠ざかっていきました。
(しゃちゅう、おじとあのにんぎょうがてをふっていたのは)
車中、叔父とあの人形が手を振っていたのは
(おもいちがいではないということをかくにんしあい、)
思い違いではないという事を確認しあい、
(いそいでいえへともどりました。)
急いで家へと戻りました。
(あれからふしぎとあのにんぎょうたちは)
あれから不思議とあの人形たちは
(ゆめにもでてきませんが、あのいっけんいこう、)
夢にも出てきませんが、あの一件以降、
(かわにはちかづけなくなりました。)
川には近づけなくなりました。