友達に誘われた

(こんどおまえもいっしょにあそぼうぜ」とさそってきた。)

今度おまえも一緒に遊ぼうぜ」と誘って来た。

(おれはかのじょいたし、)

俺は彼女居たし、

(うーんとかいっておちゃをにごしてると、)

うーんとか言ってお茶を濁してると、

(ともだちがちょっとしょうべんってといれにたった。)

友達がちょっと小便ってトイレに立った。

(ひとりで、たまにはあそぼうかなとか、)

一人で、たまには遊ぼうかなとか、

(せっかくさそってくれてるからいこうかなとかかんがえてると、)

折角誘ってくれてるから行こうかなとか考えてると、

(「だめだよ」)

「ダメだよ」

(うしろからきゅうにきこえた。)

後ろから急に聞こえた。

(えっ？っとおもいふりむくと、)

えっ？っと思い振り向くと、

(うしろのせきでおんなのこさんにんぐみがたのしそうにはなしをしている。)

後ろの席で女の子三人組が楽しそうに話をしている。

(なんだ・・・ぐうぜんきこえただけかとおもい、)

なんだ…偶然聞こえただけかと思い、

(また、あそびいこうかとおもったしゅんかん、)

また、遊び行こうかと思った瞬間、

(「いくなよ」)

「行くなよ」

(こんどはよこからきこえた。)

今度は横から聞こえた。

(よこにはわかいおとこよにんぐみが)

横には若い男四人組が

(げらげらとおおごえでわらいながらさわいでいる。)

げらげらと大声で笑いながら騒いでいる。

(たいみんぐがよすぎるなとひとりでにがわらいしてしまった。)

タイミングが良すぎるなと一人で苦笑いしてしまった。

(そこでともだちがといれからもどってきて、)

そこで友達がトイレから戻って来て、

(すわろうとかがんだ。)

座ろうと屈んだ。

(そのいっしゅん、)

その一瞬、

(ともだちのうしろにだれかがたっていた。)

友達の後ろに誰かが立っていた。

(ちゃぱつのぎゃるっぽいおんなのこ。)

茶髪のギャルっぽい女の子。

(ふつうならかわいいのかもしれないが・・・)

普通なら可愛いのかも知れないが…

(めがしろめだった。)

目が白目だった。

(とっさにめをそらし、もういちどみなおしたが)

咄嗟に目を逸らし、もう一度見直したが

(おんなのこはもういなかった。)

女の子はもう居なかった。

(「さっきいってたこからめーるきてさ」)

「さっき言ってた子からメールきてさ」

(なにもきづいてないともだちがにこにこしながらいう。)

何も気づいてない友達がにこにこしながら言う。

(「このあと、ごうりゅうしないかって」)

「この後、合流しないかって」

(ぼうぜんとしていたおれが)

呆然としていた俺が

(「わかった」といおうとくちをひらきかけたとき、)

『わかった』と言おうと口を開きかけた時、

(「ぜったいいくな！」)

「絶対いくな！」

(なんにんかがどうじにさけんだようなこえだった。)

何人かが同時に叫んだような声だった。

(はっとしてまわりをみまわすと、)

はっとして周りを見回すと、

(おんなのこさんにんぐみ、おとこよにんぐみのぜんいんがむひょうじょうで)

女の子三人組、男四人組の全員が無表情で

(こっちをみていた。)

こっちを見ていた。

(それはほんのいっしゅんだけで、)

それはほんの一瞬だけで、

(すぐまたこっちをきにするふうでもなく)

すぐまたこっちを気にする風でもなく

(たのしそうにもりあがりだした。)

楽しそうに盛り上がりだした。

(「なにきょろきょろしてんの？だいじょうぶか？」)

「何きょろきょろしてんの？大丈夫か？」

(ともだちはけげんそうなかおでこっちをみている。)

友達は怪訝そうな顔でこっちを見ている。

(「あぁだいじょうぶ」)

「あぁ大丈夫」

(といってへいせいをよそおったが、てのふるえがとまらなかった。)

と言って平静を装ったが、手の震えが止まらなかった。

(「で、いくだろ？このあと」)

「で、行くだろ？この後」

(ともだちがきいてくる。)

友達が聞いてくる。

(おれが「かのじょからよびだしがきたからかえる」)

俺が「彼女から呼び出しが来たから帰る」

(というと、そうかーとざんねんそうだったが)

と言うと、そうかーと残念そうだったが

(それいじょうはさそってこなかった。)

それ以上は誘ってこなかった。

(よいもさめてしまったので、)

酔いも醒めてしまったので、

(そろそろかえろうといってせきをたった。)

そろそろ帰ろうと言って席を立った。

(わーぱちぱちぱち)

わーパチパチパチ

(とまわりのせきがなぜかどうじにはくしゅしていた。)

と周りの席が何故か同時に拍手していた。

(もうそれもきみがわるくてあしばやにみせをでた。)

もうそれも気味が悪くて足早に店を出た。

(するとともだちのけいたいがなった。)

すると友達の携帯が鳴った。

(「あ、めーるだ」)

「あ、メールだ」

(とけいたいをみたともだちがへんなかおをしている。)

と携帯を見た友達が変な顔をしている。

(どうした？ときくと、)

どうした？と聞くと、

(「なんぱしたおんなからめーるなんだけど、)

「ナンパした女からメールなんだけど、

(いみわかんなくね？これ」)

意味わかんなくね？これ」

(とおれにけいたいをみせた。)

と俺に携帯を見せた。

(そこには「もうひけない」とだけかいてあった。)

そこには『もうひけない』とだけ書いてあった。

(そのあと、そのおんなとはれんらくがとれなくなったそうだ。)

その後、その女とは連絡が取れなくなったそうだ。