比翼の蝶たち

(がらすにひよくのおもいで)

(ガラスに比翼の思い出)

(まぶしいそらまだごぜんひざしさけてすこしだけすわる)

眩しい空　まだ午前　日差し避けて少しだけ座る

(あくびひとつきづけばめをとじてゆめのなかへ)

あくび一つ　気づけば目を閉じて夢の中へ

(ひらひらまたたくはねをひかりをさがす)

(ひらひら瞬く) 羽を (光を) 探す

(いろんなことたくさんしっちゃうんだけど)

色んな事 (たくさん) 知っちゃうんだけど

(おいかけたほんとうにしりたいもの)

(追いかけた) 本当に知りたい物

(どこにいるのかをだれかおしえて)

どこにいるのかを　誰か教えて

(もう)

もう

(すこしだけねかせてまだこころのじゅんび)

少しだけ寝かせて　まだ心の準備

(できていないんだからやさしくおこしてほしい)

出来ていないんだから　優しく起こして欲しい

(かたはねのちょうちょはうたかたにまようけれど)

(片羽の蝶々は泡沫に迷うけれど)

(せめてつよくありたいといまでもまどろむ)

せめて強くありたいと (今でも) 微睡む

(めざめればひとりきりそらはあいいろにうつりそまる)

目覚めれば一人きり　空は藍色に移り染まる

(あくびひとつしたあとしんこきゅうあたますっきり)

あくび一つした後　深呼吸　頭すっきり

(きらきらかがやくかけたはかないつきは)

(きらきら輝く) 欠けた (儚い) 月は

(たずねごとにねがいにこたえてくれない)

訊ねごとに (願いに) こたえてくれない

(あしもとをてらすだけのやさしさで)

(足下を) 照らすだけの優しさで

(ぜんぶしっているくせにずるい)

全部知っているくせにずるい

(もう)

もう

(よわねはかないからこうかいなんてあと)

弱音吐かないから　後悔なんて後

(いまあたしにしかできないことがあるんだから)

今あたしにしか出来ないことがあるんだから

(かたはねのちょうちょはにじのきせきをおいかけ)

(片羽の蝶々は虹の軌跡を追いかけ)

(いえないままのあのひにことばをとどける)

言えないままのあの日に (言葉を) 届ける

(がらすにひよくのおもいで)

(ガラスに比翼の思い出)

(まだ)

まだ

(ねむることがあってももうこころのじゅんび)

眠ることがあっても　もう心の準備

(できているからへいきすこしだけまってほしい)

出来ているから平気　少しだけ待って欲しい

(かたはねのちょうちょはあいいろのそらまよわず)

(片羽の蝶々は藍色の空迷わず)

(いまはつよくなれるからそらへとはばたく)

今は強くなれるから (空へと) 羽ばたく

(にじいろのちょうちょはすぐそばでまどろむ)

(虹色の蝶々はすぐ側で微睡む)

(ずっとみまもりつづけあのひにこぼしたことば)

ずっと見守り続け　あの日に零した言葉

(かたはねのちょうちょにきずなをつたえるために)

(片羽の蝶々に絆を伝える為に)

(がらすにうつるちいさなひよくのちょうたち)

ガラスに映る小さな (比翼の) 蝶たち