痛み止め／傘村トータ

(あなたのいないなつがくる)

あなたのいない夏が来る

(そんなよかんがむねをかきまぜる)

そんな予感が胸をかき混ぜる

(まつりばやしのきせつまでまてない)

祭囃子の季節まで待てない

(あなたはまるではやざきのひまわり)

あなたはまるで早咲きのひまわり

(なみうちぎわをはしっていく)

波打ち際を走っていく

(あなたのあしはあざやかにすなだらけ)

あなたの足は鮮やかに砂だらけ

(まってひとりですすむには)

待って一人で進むには

(そのさきはあまりにもさむいでしょう)

その先はあまりにも寒いでしょう

(あなたのくるしみをあなたのいたみを)

あなたの苦しみをあなたの痛みを

(このわたしにすこしでもわけてください)

この私に少しでも分けてください

(わたしにもしもちからがあったら)

私にもしも力があったら

(いますぐにでもかわってあげたい)

今すぐにでも代わってあげたい

(そんなことはどうやらできないようなので)

そんなことはどうやらできないようなので

(わたしのそんざいがあなたのいたみどめになれ)

私の存在があなたの痛み止めになれ

(あなたのたからもののはちうえに)

あなたの宝物の鉢植えに

(どれだけみずをやるのかわたししらない)

どれだけ水をやるのか私知らない

(ほらはやくあなたがみてあげないと)

ほら早くあなたが見てあげないと

(わたしはきっとからしてしまうよ)

私はきっと枯らしてしまうよ

(あなたのくるしみをあなたのいたみを)

あなたの苦しみをあなたの痛みを

(このわたしにすこしでもわけてください)

この私に少しでも分けてください

(わたしにもしもちからがあったら)

私にもしも力があったら

(いますぐにでもかわってあげたい)

今すぐにでも代わってあげたい

(そんなことはどうやらできないようなので)

そんなことはどうやらできないようなので

(わたしのそんざいがあなたのいたみどめになれ)

私の存在があなたの痛み止めになれ

(あなたのよみかけのほんを)

あなたの読みかけの本を

(わたしのへやのまどぎわにおいた)

私の部屋の窓際に置いた

(いつでもおいで)

いつでもおいで

(あなたのすきなぴあのをひいて)

あなたの好きなピアノを弾いて

(まっているから)

待っているから

(あなたのくるしみをあなたのいたみを)

あなたの苦しみをあなたの痛みを

(このわたしにすこしでもおしえてください)

この私に少しでも教えてください

(わたしのそんざいはあなたのどこかに)

私の存在はあなたのどこかに

(いたみどめのようにきいたでしょうか)

痛み止めのように効いたでしょうか