八十八ヶ所巡礼　幽兵衛no幽鬱

(うらめしいよるになりました)

怨めしい夜になりました

(それがしはあすとらるじげんのれいこん)

某はアストラル次元の霊魂

(つまりひらたくいえばゆうれい)

つまり平たく言えば幽霊

(しそうねんかいのしょみん)

思想念界の庶民

(なんでしんだはずのおれはここにこうしているんだって)

なんで死んだはずの俺はここにこうしているんだ？って

(つきなみなぎねんときょうふしんでもういちどおだぶつになりそうだった)

月並みな疑念と恐怖心でもう一度お陀仏になりそうだった

(おれはきのうからゆうれい)

俺は昨日から幽霊

(きのみきのままのみれん)

着の身着のままの未練

(それがきづいたらゆうれい)

それが気づいたら幽霊

(とりあえずいっておくみたな)

とりあえず云っておく『視タナ』

(うらめしいぼんのよるに)

怨めしい盆の夜に

(せいぜんつまとよんでたおんなにあいにいく)

生前、妻と呼んでた女に逢いにいく

(それがしのしらぬおとこと)

某の知らぬ男と

(じょうじをいとなんでるさいちゅう)

情事を営んでる最中

(あなたがほとけさまになったらかならずともにいくわ)

『あなたが仏様になったら必ず共に行くわ』

(そうとなりでとなえたおんなは)

そう隣で唱えた女は

(がんぜんでよがっている)

眼前でよがっている

(のろっていとめたい)

呪って射止めたい

(おんねんでしとめたい)

怨念で仕留めたい

(でもそんなちからをもつのは０こんますうぱーにもみたないらしい)

でもそんな霊力を持つのは0.数%にも満たないらしい

(またうらめしいよるになりました)

また怨めしい夜になりました

(のろっていとめたい)

呪って射止めたい

(おんねんでしとめたい)

怨念で仕留めたい

(でもほうふくのきりょくすらもぜんぜんのこっちゃいないんだ)

でも報復の気力すらも　全然残っちゃいないんだ

(あなたがほとけさまになったらかならずともにいくわ)

『あなたが仏様になったら必ず共に行くわ』

(そうとなりでとなえたおんなが)

そう隣で唱えた女が

(みょうにいとおしくなった)

妙に愛おしくなった

(おれはきのうからゆうれい)

俺は昨日から幽霊

(たとえようのないみれん)

喩えようのない未練

(それにきづいたらゆうれい)

それに気づいたら幽霊

(とりあえずいっとくうらめしや)

とりあえず云っとく『怨メシヤ』

(おれはきのうからゆうれい)

俺は昨日から幽霊

(きのみきのままのみれん)

着の身着のままの未練

(それがきづいたらゆうれい)

それが気づいたら幽霊

(とりあえずいっておくうらめしや)

とりあえず云っておく『怨メシヤ』