絶交の歌

(あるひあるよる、ともがさけもってわがやへあそびにきたが、)

ある日ある夜、友が酒持ってわが家へ遊びに来たが、

(なにやらいいたげはなしをきこう。)

何やら言いたげ 話を聞こう。

(きけよわがともよ、おれはいまひびゆうぜんとはたらいてきた。)

聞けよわが友よ、俺は今日び悠然と働いてきた。

(きけよわがともよ、おれとていきみのおとこよ。)

聞けよわが友よ、俺とて生身の男よ。

(なんだかしらねえがえらくなるためはたらいてきたぜ。)

何だか知らねえが えらくなるため働いてきたぜ。

(きけよわがともよ。きんがほしいぜ。)

聞けよわが友よ。金が欲しいぜ。

(おんながほしいぜ。えらくなりてえ。)

女が欲しいぜ。えらくなりてえ。

(なんとかいえよ、ことばをかけろ、なんでもいいからよ。)

なんとか言えよ、言葉をかけろ、何でもいいからよ。

(きけよわがともよ、おれはいまひびもゆうぜんとはたらいてきた。)

聞けよわが友よ、俺は今日びも悠然と働いてきた。

(ああなんでだまっとる。ああともよ、おまえはなにおもう、)

ああ何で黙っとる。ああ友よ、お前は何想う、

(こよいつきとありて、こよいつきとありて、)

今宵月とありて、今宵月とありて、

(おまえなにおもう。)

お前何想う。

(ああきけわがともよなんでだまっとる。)

ああ聞けわが友よ 何で黙っとる。

(うたおう、うたおうしゃらららしゃららら)

歌おう、歌おう シャラララ シャラララ

(のもうじゃないか、こよいのつきに、のもうじゃないか。)

飲もうじゃないか、今宵の月に、飲もうじゃないか。

(きけわがともよ、おれはいまにかならずやひとはたあげてやる。)

聞けわが友よ、俺は今に必ずやひと旗上げてやる。

(なんでだまっとる。)

何で黙っとる。

(ああともよ、まじめにきいてくれ、なにかいってくれよ)

ああ友よ、まじめに聞いてくれ、何か言ってくれよ

(ことばをかけてくれよ。)

言葉をかけてくれよ。

(きくみみもたぬ、きさまはいつもくちだけで)

聞く耳持たぬ、貴様はいつも口だけで

(ああなにもできねえ)

ああ何もできねえ

(きさま、いままでになにをしてきた。)

貴様、今までに何をしてきた。

(きさま、きさま、いままでなにをしてきた。)

貴様、貴様、今まで何をしてきた。

(あるひあるよる、ともがさけもってわがやへあそびにきたが)

ある日ある夜、友が酒持ってわが家へ遊びに来たが

(もうぜっこうだよ。ぜっこうだもうきさまとは。)

もう絶交だよ。絶交だもう貴様とは。

(きさまはいうだろう)

貴様は言うだろう

(あすこそはときぼうをもてと)

明日こそはと希望を持てと

(おれはきさまにだんげんしよう)

俺は貴様に断言しよう

(きさまはだめだ)

貴様はだめだ

(せいぜいながいきしてがんばれよ。)

せいぜい長生きしてがんばれよ。

(もうぜっこうだ)

もう絶交だ