松田さくら

(まつださくら、いっしょうけんめいでないこうてきなこうこうせい、)

松田さくら、一生懸命で内向的な高校生、

(ふだんとかわらぬはるのあさにいえをでた。)

普段と変わらぬ春の朝に家を出た。

(さくらのはながまちをぴんくにそめ、)

桜の花が町をピンクに染め、

(かのじょのせいかつのせんさいなうつくしさを)

彼女の生活の繊細な美しさを

(はんえいしているこうけいがひろがっていた。)

反映している光景が広がっていた。

(かのじょはさくらこうこうで、せいとのうみをこうかいし、)

彼女は桜高校で、生徒の海を航海し、

(がくぎょう、しけん、ぶかつどうがかのじょのにちじょうの)

学業、試験、部活動が彼女の日常の

(しょうをけいせいしていた。)

章を形成していた。

(さくらのはなびらがゆうがにまいちるなか、)

桜の花びらが優雅に舞い散る中、

(さくらのおもいはきょうしつのそとにある)

さくらの思いは教室の外にある

(なにかをもとめるものとなった。かのじょのこころは、)

何かを求めるものとなった。彼女の心は、

(こきょうをかざるさくらのはなのようにはかなくもうつくしい)

故郷を飾る桜の花のように儚くも美しい

(なにかをかつぼうしていた。ひるやすみには、)

何かを渇望していた。昼休みには、

(しばしばがっこうのなかにわのしずかなかくにみをおき、)

しばしば学校の中庭の静かな角に身を置き、

(さくらのきにかこまれてせいじゃくをたのしんでいた。)

桜の木に囲まれて静寂を楽しんでいた。

(しかし、せまりくるがくえんさいが、)

しかし、迫り来る学園祭が、

(かのじょのふつうのにちじょうをかえることになるとは)

彼女の普通の日常を変えることになるとは

(かのじょはしらなかった。)

彼女は知らなかった。