灰色の靴

(なもなきはいかぶりがちをけった)

名もなき灰被りが地を蹴った

(はくちょうのこえにみちびかれて)

白鳥の声に導かれて

(はやあしひとごみがながれていく)

早足　人混みが流れていく

(がめんのまえにひとりぽつり)

画面の前に1人　ぽつり

(だれかのくびかざりかけておどるしょうじょが)

誰かの首飾りかけて踊る少女が

(くりかえしさけんだおもいが)

繰り返し叫んだ想いが

(ひとりでにうごきだしたうんめいのはぐるまと)

ひとりでに動き出した運命の歯車と

(くりかえしのぞむそのせつな)

繰り返し望むその刹那

(まもなくこのたすきはきえさって)

まもなくこの襷は消え去って

(ここからだれもここにはこない)

ここから誰もここには来ない

(いしなきまなざしがつきささる)

意思なき眼差しが突き刺さる

(どうして)

どうして？

(こわれたらじおのよう)

壊れたラジオのよう

(きかせてくれないの)

聞かせてくれないの

(だれかのくびかざりかけておどるしょうじょが)

誰かの首飾りかけて踊る少女が

(くりかえしさけんだおもいが)

繰り返し叫んだ想いが

(ひとりでにうごきだしたうんめいのはぐるまと)

ひとりでに動き出した運命の歯車と

(くりかえしのぞむそのせつな)

繰り返し望むその刹那

(まざりあう)

混ざり合う

(はいいろのくつとこのつばさでわんつーわんつー)

灰色の靴とこの翼で1、2、1、2

(ゆらめいたかがやいた)

揺らめいた　輝いた

(それは)

それは

(あとからしれるものか)

後から知れるものか？

(かわいたからだにしみわたるはどんつうのうず)

渇いた身体に染み渡るは鈍痛の渦

(さまよいつづけるだれかがならしたおとをきいて)

彷徨い続ける誰かが鳴らした音を聴いて

(いやなじかんにめがさめた)

嫌な時間に目が醒めた

(みずでふくれたゆめが)

水で膨れた夢が

(はしからすこしはがれおちる)

端から少し剥がれ落ちる

(このまませいいっぱいがんばって)

「このまま」「精一杯頑張って」

(そのままへらへらしたままいきたらどう)

「そのまま」「ヘラヘラしたまま生きたらどう？」

(ほんとうのおわりがとつぜんやってきたとして)

本当の終わりが突然やってきたとして

(あいそわらいでごまかせるか)

愛想笑いでごまかせるか？

(ひとりでにうごきだしたさいごのはぐるまと)

ひとりでに動き出した最後の歯車と

(わたしがもうしこんだたたかいを)

わたしが申し込んだ闘いを

(こわれかけのくつをひきずってわんつーわんつー)

壊れかけの靴を引きずって1、2、1、2

(よくやったしかたないなそれが)

「よくやった」「仕方ないな」それが

(なぐさめのつもりなのか)

慰めのつもりなのか

(たからかにひびきわたるはかーてんこーる)

高らかに響き渡るはカーテンコール

(いまはってでも)

今　這ってでも

(とびたっていく)

飛び立っていく

(みこがすつばさでわんつーわんつー)

身焦がす翼で1、2、1、2

(ちをはいてやけおちて)

血を吐いて　焼け落ちて

(それでもいまてにしたいものが)

それでも今手にしたいものが

(ふるえたからだにつきささるのはきゃっこうのうず)

震えた身体に突き刺さるのは脚光の渦

(ああまたひとりになる)

ああ　また　1人になる

(いまはじまるさいごがさいごじゃなくなる)

今始まる　最後が最後じゃなくなる

(もぎとっててにはいって)

もぎ取って手に入って

(それでもとどかないそのせなか)

それでも届かないその背中

(ちいさなはたんにたむけるものはあんこーる)

小さな破綻に手向けるものはアンコール

(もううんめいはとまらない)

もう　運命は止まらない