夏目漱石「こころ」2-5

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投稿者投稿者たけしいいね1お気に入り登録
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夏目漱石「こころ」2-5
(中)両親と私
こっちゃん様が(上)の方を上げて下さっていたものの続きでございます。
タイピングを投稿するのは初めてですので、誤字脱字等ありましたらご連絡何卒宜しくお願い致します。

こっちゃん様による(上)
https://typing.twi1.me/profile/userId/86231
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7584 7.7 98.0% 350.2 2711 55 49 2024/04/03
2 ヤス 7102 7.5 94.9% 366.2 2748 147 49 2024/03/14
3 subaru 7087 7.4 95.2% 366.0 2731 137 49 2024/03/05
4 HAKU 7021 7.3 95.1% 371.3 2747 140 49 2024/03/10
5 □「いいね」する 6907 S++ 7.2 95.3% 376.7 2736 134 49 2024/03/04

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問題文

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(ちちはそのよるまたきをかえて、きゃくをよぶならいつにするかとわたくしのつごうをきいた。)

父はその夜また気を更えて、客を呼ぶなら何日にするかと私の都合を聞いた。

(つごうのいいわるいもなしにただぶらぶらふるいいえのなかにねおきしているわたくしに、)

都合の好い悪いもなしに只ぶらぶら古い家の中に寝起きしている私に、

(こんなといをかけるのは、ちちのほうがおれてでたのとおなじことであった。)

こんな問を掛けるのは、父の方が折れて出たのと同じ事であった。

(わたくしはこのおだやかなちちのまえにこだわらないあたまをさげた。)

私はこの穏やかな父の前に拘泥らない頭を下げた。

(わたくしはちちとそうだんのうえしょうだいのひどりをきめた。)

私は父と相談の上招待の日取りを極めた。

(そのひどりのまだこないうちに、あるおおきなことがおこった。)

その日取のまだ来ないうちに、ある大きな事が起った。

(それはめいじてんのうのごびょうきのほうちであった。)

それは明治天皇の御病気の報知であった。

(しんぶんしですぐにほんじゅうへしれわたったこのじけんは、)

新聞紙ですぐ日本中へ知れ渡ったこの事件は、

(いっけんのいなかやのうちにたしょうのきょくせつをへてようやくまとまろうとしたわたくしのそつぎょういわいを、)

一軒の田舎家のうちに多少の曲折を経て漸く纏ろうとした私の卒業祝を、

(ちりのごとくにふきはらった。)

塵の如くに吹き払った。

(「まあごえんりょもうしたほうがよかろう」)

「まあ御遠慮申した方が可かろう」

(めがねをかけてしんぶんをみていたちちはこういった。)

眼鏡を掛けて新聞を見ていた父はこう云った。

(ちちはだまってじぶんのびょうきのこともかんがえているらしかった。)

父は黙って自分の病気の事も考えているらしかった。

(わたくしはついこのあいだのそつぎょうしきに)

私はついこの間の卒業式に

(れいねんのとおりだいがくへぎょうこうになったへいかをおもいだしたりした。 )

例年の通り大学へ行幸になった陛下を憶い出したりした。

(よん )

(こぜいなにんずにはひろすぎるふるいいえがひっそりしているなかに、)

小勢な人数には広過ぎる古い家がひっそりしている中に、

(わたくしはこうりをといてしょもつをひもときはじめた。)

私は行李を解いて書物を繙き始めた。

(なぜかわたくしはきがおちつかなかった。)

何故か私は気が落ち付かなかった。

(あのめまぐるしいとうきょうのげしゅくのにかいで、とおくはしるでんしゃのおとをみみにしながら、)

あの目眩るしい東京の下宿の二階で、遠く走る電車の音を耳にしながら、

など

(ぺーじをいちまいいちまいにまくっていくほうが、きにはりがあってこころもちよくべんきょうができた。)

頁を一枚々々にまくって行く方が、気に張があって心持よく勉強が出来た。

(わたくしはややともするとつくえにもたれてうたたねをした。)

私は稍ともすると机にもたれて仮寝をした。

(ときにはわざわざまくらさえだしてほんしきにひるねをむさぼることもあった。)

時にはわざわざ枕さえ出して本式に昼寝を貪る事もあった。

(めがさめると、せみのこえをきいた。)

目が覚めると、蝉の声を聞いた。

(うつつからつづいているようなそのこえは、きゅうにやかましくみみのそこをかきみだした。)

うつつから続いているようなその声は、急にやかましく耳の底を掻き乱した。

(わたくしはじっとそれをききながら、ときにかなしいおもいをむねにだいた。)

私は凝とそれを聞きながら、時に悲しい思いを胸に抱いた。

(わたくしはふでをとってともだちのだれかれにみじかいはがきまたはながいてがみをかいた。)

私は筆を執って友達のだれかれに短い端書又は長い手紙を書いた。

(そのともだちのあるものはとうきょうにのこっていた。あるものはとおいこきょうにかえっていた。)

その友達のあるものは東京に残っていた。あるものは遠い故郷に帰っていた。

(へんじのくるのも、たよりのとどかないのもあった。わたくしはもとよりせんせいをわすれなかった。)

返事の来るのも、音信の届かないのもあった。私は固より先生を忘れなかった。

(げんこうしへほそじでさんまいばかりくにへかえってからいごのじぶん)

原稿紙へ細字で三枚ばかり国へ帰ってから以後の自分

(というようなものをだいもくにしてかきつづったのをおくることにした。)

というようなものを題目にして書き綴ったのを送る事にした。

(わたくしはそれをふうじるとき、せんせいははたしてまだとうきょうにいるだろうかとうたぐった。)

私はそれを封じる時、先生は果してまだ東京にいるだろうかと疑ぐった。

(せんせいがおくさんといっしょにうちをあけるばあいには、)

先生が奥さんと一所に宅を空ける場合には、

(ごじゅうがっこうのきりさげのおんなのひとがどこからかきて、るすばんをするのがれいになっていた。)

五十格好の切下の女の人が何処からか来て、留守番をするのが例になっていた。

(わたくしはそのひとをせんせいのしんるいとおもいちがえていた。)

私はその人を先生の親類と思い違えていた。

(せんせいは「わたしにはしんるいはありませんよ」とこたえた。)

先生は「私には親類はありませんよ」と答えた。

(せんせいのきょうりにいるつづきあいのひとびとと、)

先生の郷里にいる続きあいの人々と、

(せんせいはいっこうおんしんのとりやりをしていなかった。)

先生は一向音信の取り遣りをしていなかった。

(わたくしのぎもんにしたそのるすばんのおんなのひとは、)

私の疑問にしたその留守番の女の人は、

(せんせいとはえんのないおくさんのほうのしんせきであった。)

先生とは縁のない奥さんの方の親戚であった。

(わたくしはせんせいにゆうびんをだすとき、)

私は先生に郵便を出す時、

(ふとはばのほそいおびをらくにうしろでむすんでいるそのひとのすがたをおもいだした。)

不図幅の細い帯を楽に後で結んでいるその人の姿を思い出した。

(もしせんせいふうふがどこかへひしょにでもいったあとへこのゆうびんがとどいたら、)

もし先生夫婦が何処かへ避暑にでもいったあとへこの郵便が届いたら、

(あのきりさげのおばあさんは、それをすぐてんちさきへおくってくれるだけのきてんとしんせつが)

あの切下の御婆さんは、それをすぐ転地先へ送ってくれるだけの機転と親切が

(あるだろうかなどとかんがえた。)

あるだろうかなどと考えた。

(そのくせそのてがみのうちにはこれというほどのひつようのこともかいてないのを、)

その癖その手紙のうちにはこれという程の必要の事も書いてないのを、

(わたくしはよくしょうちしていた。ただわたくしはさびしかった。)

私は能く承知していた。ただ私は淋しかった。

(そうしてせんせいからへんじのくるのをよきしてかかった。)

そうして先生から返事の来るのを予期してかかった。

(しかしそのへんじはついにこなかった。)

然しその返事は遂に来なかった。

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