夏目漱石「こころ」2-7
こっちゃん様が(上)の方を上げて下さっていたものの続きでございます。
タイピングを投稿するのは初めてですので、誤字脱字等ありましたらご連絡何卒宜しくお願い致します。
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こっちゃん様による(上)
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ぽむぽむ | 5487 | B++ | 5.6 | 96.6% | 313.6 | 1782 | 61 | 32 | 2024/11/10 |
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問題文
(わたくしはくろいうすものをかうためにまちへでた。)
私は黒いうすものをかうために町へ出た。
(それではたざおのたまをつつんで、それではたざおのさきへさんすんはばのひらひらをつけて、)
それで旗竿の球を包んで、それで旗竿の先へ三寸幅のひらひらを付けて、
(もんのとびらのよこからななめにおうらいへさしだした。)
門の扉の横から斜めに往来へさし出した。
(はたもくろいひらひらも、かぜのないくうきのなかにだらりとさがった。)
旗も黒いひらひらも、風のない空気のなかにだらりと下った。
(わたくしのうちのふるいもんのやねはわらでふいてあった。)
私の宅の古い門の屋根は藁で葺いてあった。
(あめやかぜにうたれたりまたふかれたりしたそのわらのいろはとくにへんしょくして、)
雨や風に打たれたり又吹かれたりしたその藁の色はとくに変色して、
(うすくはいいろをおびたうえに、ところどころのでこぼこさえめについた。)
薄く灰色を帯びた上に、所々の凸凹さえ眼に着いた。
(わたくしはひとりもんのそとへでて、くろいひらひらと、しろいめりんすのじと、)
私はひとり門の外へ出て、黒いひらひらと、白いめりんすの地と、
(じのなかにそめだしたあかいひのまるのいろとをながめた。)
地のなかに染め出した赤い日の丸の色とを眺めた。
(それがうすぎたないやねのわらにうつるのもながめた。)
それが薄汚い屋根の藁に映るのも眺めた。
(わたくしはかつてせんせいから「あなたのうちのかまえはどんなていさいですか。)
私はかつて先生から「あなたの宅の構はどんな体裁ですか。
(わたしのきょうりのほうとはだいぶおもむきがちがっていますかね」ときかれたことをおもいだした。)
私の郷里の方とは大分趣が違っていますかね」と聞かれた事を思い出した。
(わたくしはじぶんのうまれたこのふるいいえを、せんせいにみせたくもあった。)
私は自分の生れたこの古い家を、先生に見せたくもあった。
(またせんせいにみせるのがはずかしくもあった。)
又先生に見せるのが恥ずかしくもあった。
(わたくしはまたひとりいえのなかへはいった。)
私は又一人家のなかへ這入った。
(じぶんのつくえのおいてあるところへきて、しんぶんをよみながら、)
自分の机の置いてある所へ来て、新聞を読みながら、
(とおいとうきょうのありさまをそうぞうした。)
遠い東京の有様を想像した。
(わたくしのそうぞうはにほんいちのおおきなみやこが、)
私の想像は日本一の大きな都が、
(どんなにくらいなかでどんなにうごいているだろうかのがめんにあつめられた。)
どんなに暗いなかでどんなに動いているだろうかの画面に集められた。
(わたくしはそのくろいなりにうごかなければしまつのつかなくなったとかいの、)
私はその黒いなりに動かなければ仕末のつかなくなった都会の、
(ふあんでざわざわしているなかに、いってんのとうかのごとくにせんせいのいえをみた。)
不安でざわざわしているなかに、一点の燈火の如くに先生の家を見た。
(わたくしはそのときこのとうかがおとのしないうずのなかに、)
私はその時この燈火が音のしない渦の中に、
(しぜんとまきこまれていることにきがつかなかった。)
自然と捲き込まれている事に気が付かなかった。
(しばらくすれば、そのひもまたふっときえてしまうべきうんめいを、)
しばらくすれば、その灯もまたふっと消えてしまうべき運命を、
(めのまえにひかえているのだとはもとよりきがつかなかった。)
眼の前に控えているのだとは固より気が付かなかった。
(わたくしはこんどのじけんについてせんせいにてがみをかこうかとおもって、ふでをとりかけた。)
私は今度の事件に就いて先生に手紙を書こうかと思って、筆を執りかけた。
(わたくしはそれをじゅうぎょうばかりかいてやめた。)
私はそれを十行ばかり書いて已めた。
(かいたところはすんずんにひきさいてくずかごへなげこんだ。(せんせいにあててそういうことを)
書いた所は寸々に引き裂いて屑籠へ投げ込んだ。(先生に宛ててそう云う事を
(かいてもしかたがないともおもったし、ぜんれいにちょうしてみると、)
書いても仕方がないとも思ったし、前例に徴して見ると、
(とてもへんじをくれそうになかったから)。)
とても返事をくれそうになかったから)。
(わたくしはさびしかった。それでてがみをかくのであった。)
私は淋しかった。それで手紙を書くのであった。
(そうしてへんじがくればいいとおもうのであった。)
そうして返事が来れば好いと思うのであった。