夏目漱石「こころ」2-14

背景
投稿者投稿者たけしいいね0お気に入り登録
プレイ回数785難易度(4.4) 2177打 長文 長文モード推奨
夏目漱石「こころ」2-14
(中)両親と私
こっちゃん様が(上)の方を上げて下さっていたものの続きでございます。
タイピングを投稿するのは初めてですので、誤字脱字等ありましたらご連絡何卒宜しくお願い致します。

次:https://typing.twi1.me/game/363748

こっちゃん様による(上)
https://typing.twi1.me/profile/userId/86231

続きからです。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 6838 S++ 7.0 96.4% 301.1 2137 78 43 2024/09/22
2 なおきち 6603 S+ 6.7 97.7% 319.7 2160 49 43 2024/10/09
3 たれ 5759 A+ 5.8 98.3% 382.0 2238 38 43 2024/10/17
4 ぽむぽむ 5152 B+ 5.4 94.0% 397.3 2184 137 43 2024/11/18
5 饅頭餅美 5028 B+ 5.3 95.0% 409.9 2174 113 43 2024/09/28

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(ちちはしびょうにかかっていることをとうからじかくしていた。)

父は死病に罹っている事をとうから自覚していた。

(それでいて、がんぜんにせまりつつあるしそのものにはきがつかなかった。)

それでいて、眼前にせまりつつある死そのものには気が付かなかった。

(「いまになおったらもういっぺんとうきょうへあそびにいってみよう。)

「今に癒ったらもう一辺東京へ遊びに行って見よう。

(にんげんはいつしぬかわからないからな。)

人間は何時死ぬか分らないからな。

(なんでもやりたいことは、いきてるうちにやっておくにかぎる」)

何でも遣りたい事は、生きてるうちに遣って置くに限る」

(はははしかたなしに)

母は仕方なしに

(「そのときはわたしもいっしょにつれていっていただきましょう」などとちょうしをあわせていた。)

「その時は私も一所に伴れて行って頂きましょう」などと調子を合わせていた。

(ときとするとまたひじょうにさびしがった。)

時とすると又非常に淋しがった。

(「おれがしんだら、どうかおかあさんをだいじにしてやってくれ」)

「おれが死んだら、どうか御母さんを大事にして遣ってくれ」

(わたくしはこの「おれがしんだら」ということばにいっしゅのきおくをもっていた。)

私はこの「おれが死んだら」という言葉に一種の記憶を有っていた。

(とうきょうをたつとき、せんせいがおくさんにむかってなんべんもそれをくりかえしたのは、)

東京を立つ時、先生が奥さんに向って何遍もそれを繰り返したのは、

(わたくしがそつぎょうしたひのばんのことであった。)

私が卒業した日の晩の事であった。

(わたくしはわらいをおびたせんせいのかおと、)

私は笑を帯びた先生の顔と、

(えんぎでもないとみみをふさいだおくさんのようすとをおもいだした。)

縁喜でもないと耳を塞いだ奥さんの様子とを憶い出した。

(あのときの「おれがしんだら」はたんじゅんなかていであった。)

あの時の「おれが死んだら」は単純な仮定であった。

(いまわたくしがきくのはいつおこるかわからないじじつであった。)

今私が聞くのは何時起るか分らない事実であった。

(わたくしはせんせいにたいするおくさんのたいどをまなぶことができなかった。)

私は先生に対する奥さんの態度を学ぶ事が出来なかった。

(しかしくちのさきではなんとかちちをまぎらさなければならなかった。)

然し口の先では何とか父を紛らさなければならなかった。

(「そんなよわいことをおっしゃっちゃいけませんよ、)

「そんな弱い事を仰しゃっちゃ不可せんよ、

(いまになおったらとうきょうへあそびにいらっしゃるはずじゃありませんか。)

今に癒ったら東京へ遊びにいらっしゃる筈じゃありませんか。

など

(おかあさんといっしょに。)

御母さんと一所に。

(こんどいらっしゃるときっとびっくりしますよ、かわっているんで。)

今度いらっしゃるときっと吃驚しますよ、変っているんで。

(でんしゃのあたらしいせんろだけでもたいへんふえていますからね。)

電車の新らしい線路だけでも大変増えていますからね。

(でんしゃがとおるようになればしぜんまちなみもかわるし、そのうえにしくかいせいもあるし、)

電車が通るようになれば自然町並も変るし、その上に市区改正もあるし、

(とうきょうがじっとしているときは、にろくじちゅういっぷんもないといっていいくらいです」)

東京が凝としている時は、二六時中一分もないと云って可い位です」

(わたくしはしかたがないからいわないでいいことまでしゃべった。)

私は仕方がないから云わないで可い事まで喋舌った。

(ちちはまた、まんぞくらしくそれをきいていた。)

父はまた、満足らしくそれを聞いていた。

(びょうにんがあるのでしぜんいえのでいりもおおくなった。)

病人があるので自然家の出入も多くなった。

(きんじょにいるしんるいなどは、ふつかにひとりくらいのわりでかわるがわるみまいにきた。)

近所にいる親類などは、二日に一人位の割で代る代る見舞に来た。

(なかにはひかくてきとおくにいてへいぜいそえんなものもあった。)

中には比較的遠くに居て平生疎遠なものもあった。

(「どうかとおもったら、このようすじゃだいじょうぶだ。)

「どうかと思ったら、この様子じゃ大丈夫だ。

(はなしもじゆうだし、だいちかおがちっともやせていないじゃないか」)

話も自由だし、だいち顔がちっとも瘦せていないじゃないか」

(などといってかえるものがあった。)

などと云って帰るものがあった。

(わたくしのかえったとうじはひっそりしすぎるほどしずかであったかていが、)

私の帰った当時はひっそりし過ぎる程静であった家庭が、

(こんなことでだんだんざわざわしはじめた。)

こんな事で段々ざわざわし始めた。

(そのなかにうごかずにいるちちのびょうきは、)

その中に動かずにいる父の病気は、

(ただおもしろくないほうへうつっていくばかりであった。)

ただ面白くない方へ移って行くばかりであった。

(わたくしはははやおじとそうだんして、とうとうあにといもうとにでんぽうをうった。)

私は母や伯父と相談して、とうとう兄と妹に電報を打った。

(あにからはすぐいくというへんじがきた。)

兄からはすぐ行くという返事が来た。

(いもうとのおっとからもたつというしらせがあった。)

妹の夫からも立つという報知があった。

(いもうとはこのまえかいにんしたときにりゅうざんしたので、)

妹はこの前懐妊した時に流産したので、

(こんどこそはくせにならないようにだいじをとらせるつもりだと、)

今度こそは癖にならないように大事を取らせる積りだと、

(かねていいこしたそのおっとは、いもうとのかわりにじぶんででてくるかもしれなかった。)

かねて云い越したその夫は、妹の代りに自分で出て来るかも知れなかった。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

たけしのタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード