誘蛾～名探偵育成計画～

(うのはなくるいざいてんだ)

卯の花狂い咲いてんだ

(じけんじけんもっともっとおこせ)

『事件　事件　もっともっと起こせ』

(なえぎにみずをあげよう)

苗木に水をあげよう

(そだてみのれまちきれない)

『育て　実れ　待ちきれない』

(てはじめこしょやしき)

手始め”古書屋敷”

(しんぞくいちめいそそのかし)

『親族一名唆し』

(おつぎはのうめんとう)

お次は”能面島”

(ひさいのかげでてまねいた)

『秘祭の影で手招いた』

(らいらいらいらいあんやくくろぬりかめん)

禮禮禮禮　暗躍　黒塗り仮面

(あっちこっちひとりでなんやくでしょう？)

あっちこっち一人で何役でしょう？

(らいらいらいらいくろまくみぬけたなら)

禮禮禮禮　黒幕見抜けたなら

(にんげんごうかく)

人間合格

(さいたさいた！せんせいあそびましょう)

咲いた咲いた！先生遊びましょう

(やいのやいのいってもおにはましょう)

やいのやいの云っても鬼は魔性

(じっかいだにじっそくだみすてりげえむ)

十戒だ二十則だ　ミステリゲヱム

(これにはちゅうざいさんもげらげらげらげら)

これには駐在さんもゲラゲラゲラゲラ

(さんざんっぱらまよいやかたえんじょう)

散々っぱら迷い館炎上

(あさまでこうせいのよこくじょう)

朝まで校正の予告状

(じんせいふじょうりいすとりげえむ)

人生不条理椅子取りゲヱム

(にどとないのがおおがらす)

”二度とない”のが大鴉

(このよのすべてにあきはてたいちわのからすのいうことにゃ)

この世の全てに飽き果てた　一羽の鴉の云う事にゃ

(あくまのじひもちえしだいかつじのあめでもふればよい)

悪魔の慈悲も知恵次第　活字の雨でも降れば良い

(さらにはゆうかくめいろう)

更には遊郭迷楼

(まよえまどえとささやきかけた)

『迷え惑えと囁きかけた』

(さいごはにんぎょうかん)

最後は人形館

(おーとまたのねじまいた)

『自動人形のネジ撒いた』

(らいらいらいらいくろこにてっするのだ)

禮禮禮禮　黒子に徹するのだ

(どっちそっちなにさまいかさまでしょ)

どっちそっち何様イカサマでしょ

(らいらいらいらいとりっくみぬけぬもの)

禮禮禮禮　トリック見抜けぬ者

(たんていしっかく)

探偵失格

(きょうらんそうらんめいたさいごのしょう)

狂乱騒乱めいた最後の章

(いつまでたってもあいこでしょ)

いつまで経ってもあいこでしょ

(たんぺんじゃおさまりつきゃしません)

短編じゃ収まりつきゃしません

(ここではさくしゃこそかみかみかみかみ)

ここでは作者こそ神神神神

(あまたのなぞこそゆうがとう)

数多の謎こそ誘蛾灯

(あらあらようこそぞうげのとう)

あらあらようこそ象牙の塔

(どいつがどどいつ？たさつのせん)

どいつが都都逸？他殺の線

(くろのまんとをなびかせて)

黒の外套を靡かせて

(きょうらくごらくがしんじょうのいちわのからすのいうことにゃ)

享楽娯楽が信条の　一羽の鴉の云う事にゃ

(てきがないならつくればよいなぞがないならつくればよい)

敵がないなら作れば良い　謎がないなら作れば良い

(たんていたんていたんていおいでみっしつをどうぞ)

探偵探偵探偵おいで　密室をどうぞ

(こっちのみずはあまいぞったら)

こっちの”謎”は甘いぞったら

(さっそくきたきた！)

「さっそく来た来た！」

(さいたさいた！せんせいあそびましょう)

咲いた咲いた！先生遊びましょう

(やいのやいのいってもおにはましょう)

やいのやいの云っても鬼は魔性

(じっかいだにじっそくだみすてりげえむ)

十戒だ二十則だ　ミステリゲヱム

(これにはちゅうざいさんもげらげらげらげら)

これには駐在さんもゲラゲラゲラゲラ

(さんざんっぱらまよいやかたえんじょう)

散々っぱら迷い館炎上

(あさまでこうせいのよこくじょう)

朝まで校正の予告状

(じんせいふじょうりいすとりげえむ)

人生不条理椅子取りゲヱム

(にどとないのがおおがらすなんてじょうだんさ)

”二度とない”のが大鴉　――なんて冗談サ

(これにてまくひきたいさんしましょう)

これにて幕引き退散しませう

(ふたたびあいまみゆるまでさらば)

再び相見ゆるまでサラバ

(せんせい！)

「先生！」

(といてみな)

「解いてみな」

(あっはっは！)

「阿破派！」