夏目漱石「こころ」2-26

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投稿者投稿者たけしいいね0お気に入り登録
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夏目漱石「こころ」2-26
中)両親と私
こっちゃん様が(上)の方を上げて下さっていたものの続きでございます。
タイピングを投稿するのは初めてですので、誤字脱字等ありましたらご連絡何卒宜しくお願い致します。

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こっちゃん様による(上)
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続きからです。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7690 7.9 97.1% 208.3 1650 48 31 2024/09/22
2 ヤス 7541 7.9 95.3% 209.9 1664 81 31 2024/10/27
3 なおきち 7227 7.3 98.6% 225.8 1655 23 31 2024/10/14
4 饅頭餅美 5300 B++ 5.5 96.1% 301.1 1662 66 31 2024/08/26
5 やまちゃん 4899 B 5.0 97.1% 327.6 1653 48 31 2024/10/04

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問題文

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(わたくしがこのかきものをよみはじめて、よみおわらないまえに、ちちはきっとどうかなる、)

私がこのかきものを読み始めて、読み終らない前に、父はきっとどうかなる、

(すくなくとも、わたくしはあにからかははからか、それでなければおじからか、)

少なくとも、私は兄からか母からか、それでなければ伯父からか、

(よばれるにきまっているというよかくがあった。)

呼ばれるに極っているという予覚があった。

(わたくしはおちついてせんせいのかいたものをよむきになれなかった。)

私は落ち着いて先生の書いたものを読む気になれなかった。

(わたくしはそわそわしながらたださいしょのいちぺーじをよんだ。)

私はそわそわしながらただ最初の一頁を読んだ。

(そのぺーじはしものようにつづられていた。)

その頁は下のように綴られていた。

(「あなたからかこをといただされたとき、)

「あなたから過去を問いただされた時、

(こたえることのできなかったゆうきのないわたしは、)

答える事の出来なかった勇気のない私は、

(いまあなたのまえに、それをめいはくにものがたるじゆうをえたとしんじます。)

今あなたの前に、それを明白に物語る自由を得たと信じます。

(しかしそのじゆうはあなたのじょうきょうをまっているうちには)

然しその自由はあなたの上京を待っているうちには

(またうしなわれてしまうせけんてきのじゆうにすぎないのであります。)

又失われてしまう世間的の自由に過ぎないのであります。

(したがって、それをりようできるときにりようしなければ、)

従って、それを利用できる時に利用しなければ、

(わたしのかこをあなたのあたまにかんせつのけいけんとしておしえてあげるきかいを)

私の過去をあなたの頭に間接の経験として教えて上げる機会を

(えいきゅうにいっするようになります。)

永久に逸するようになります。

(そうすると、あのときあれほどかたくやくそくしたことばがまるでうそになります。)

そうすると、あの時あれ程堅く約束した言葉がまるで噓になります。

(わたしはやむをえず、くちでいうべきところを、ふででもうしあげることにしました」)

私は已を得ず、口で云うべきところを、筆で申し上げる事にしました」

(わたくしはそこまでよんで、はじめてこのながいものがなんのためにかかれたのか、)

私は其所まで読んで、始めてこの長いものが何のために書かれたのか、

(そのりゆうをあきらかにしることができた。)

その理由を明らかに知る事が出来た。

(わたくしのいしょくのくち、そんなものについてせんせいがてがみをよこすきづかいはないと、)

私の衣食の口、そんなものに就いて先生が手紙を寄こす気遣はないと、

(わたくしはしょてからしんじていた。)

私は初手から信じていた。

など

(しかしふでをとることのきらいなせんせいが、どうしてあのじけんをこうながくかいて、)

然し筆を執ることの嫌な先生が、どうしてあの事件をこう長く書いて、

(わたくしにみせるきになったのだろう。)

私に見せる気になったのだろう。

(せんせいはなぜわたくしのじょうきょうするまでまっていられないだろう。)

先生は何故私の上京するまで待っていられないだろう。

(「じゆうがきたからはなす。しかしそのじゆうはまたえいきゅうにうしなわれなければならない」)

「自由が来たから話す。然しその自由はまた永久に失われなければならない」

(わたくしはこころのうちでこうくりかえしながら、そのいみをしるにくるしんだ。)

私は心のうちでこう繰り返しながら、その意味を知るに苦しんだ。

(わたくしはとつぜんふあんにおそわれた。)

私は突然不安に襲われた。

(わたくしはつづいてあとをよもうとした。)

私はつづいて後を読もうとした。

(そのときびょうしつのほうから、わたくしをよぶおおきなあにのこえがきこえた。)

その時病室の方から、私を呼ぶ大きな兄の声が聞こえた。

(わたくしはまたおどろいてたちあがった。)

私は又驚いて立ち上がった。

(ろうかをかけぬけるようにしてみんなのいるほうへいった。)

廊下を馳けぬけるようにしてみんなの居る方へ行った。

(わたくしはいよいよちちのうえにさいごのしゅんかんがきたのだとかくごした。)

私は愈父の上に最後の瞬間が来たのだと覚悟した。

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