夏目漱石「こころ」3-3
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
次:https://typing.twi1.me/game/372012
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
23:差支(さしつかえ)
24:惜い(おしい)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お待たせしました。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ヤス | 7831 | 神 | 8.2 | 95.4% | 218.1 | 1793 | 85 | 34 | 2024/10/27 |
2 | berry | 7509 | 神 | 7.7 | 96.8% | 228.9 | 1776 | 57 | 34 | 2024/09/23 |
3 | なおきち | 7351 | 光 | 7.5 | 97.3% | 236.7 | 1789 | 49 | 34 | 2024/10/15 |
4 | ともろっく | 5461 | B++ | 5.8 | 93.8% | 316.6 | 1851 | 122 | 34 | 2024/10/09 |
5 | 饅頭餅美 | 5338 | B++ | 5.6 | 94.6% | 318.6 | 1802 | 101 | 34 | 2024/10/09 |
関連タイピング
-
プレイ回数10万歌詞200打
-
プレイ回数3867かな314打
-
プレイ回数96万長文かな1008打
-
プレイ回数3.2万歌詞1030打
-
プレイ回数2039歌詞1426打
-
プレイ回数3831長文1069打
-
プレイ回数6万長文1159打
-
プレイ回数8.3万長文744打
問題文
(に)
二
(「わたくしはそれからこのてがみをかきだしました。)
「私はそれからこの手紙を書き出しました。
(へいぜいふでをもちつけないわたくしには、)
平生筆を持ちつけない私には、
(じぶんのおもうように、じけんなりしそうなりがはこばないのがおもいくつうでした。)
自分の思うように、事件なり思想なりが運ばないのが重い苦痛でした。
(わたくしはもうすこしで、あなたにたいするわたくしのこのぎむをほうてきするところでした。)
私はもう少しで、貴方に対する私のこの義務を放擲するところでした。
(しかしいくらよそうとおもってふでをおいても、なんにもなりませんでした。)
然しいくら止そうと思って筆を擱いても、何にもなりませんでした。
(わたくしはいちじかんたたないうちにまたかきたくなりました。)
私は一時間経たないうちに又書きたくなりました。
(あなたからみたら、)
貴方から見たら、
(これがぎむのすいこうをおもんずるわたくしのせいかくのようにおもわれるかもしれません。)
これが義務の遂行を重んずる私の性格のように思われるかも知れません。
(わたくしもそれはいなみません。)
私もそれは否みません。
(わたくしはあなたのしっているとおり、ほとんどせけんとこうしょうのないこどくなにんげんですから、)
私は貴方の知っている通り、殆んど世間と交渉のない孤独な人間ですから、
(ぎむというほどのぎむは、)
義務という程の義務は、
(じぶんのさゆうぜんごをみまわしても、どのほうがくにもねをはっておりません。)
自分の左右前後を見廻しても、どの方角にも根を張っておりません。
(こいかしぜんか、わたくしはそれをできるだけきりつめたせいかつをしていたのです。)
故意か自然か、私はそれを出来るだけ切り詰めた生活をしていたのです。
(けれどもわたくしはぎむにれいたんだからこうなったのではありません。)
けれども私は義務に冷淡だからこうなったのではありません。
(むしろえいびんすぎてしげきにたえるだけのせいりょくがないから、)
寧ろ鋭敏過ぎて刺戟に堪えるだけの精力がないから、
(ごらんのようにしょうきょくてきなつきひをおくることになったのです。)
御覧のように消極的な月日を送る事になったのです。
(だからいったんやくそくしたいじょう、それをはたさないのは、たいへんいやなこころもちです。)
だから一旦約束した以上、それを果さないのは、大変厭な心持です。
(わたくしはあなたにたいしてこのいやなこころもちをさけるためにでも、)
私はあなたに対してこの厭な心持を避けるためにでも、
(おいたふでをまたとりあげなければならないのです。)
擱いた筆を又取り上げなければならないのです。
(そのうえわたくしはかきたくないのです。)
その上私は書きたくないのです。
(ぎむはべつとしてわたくしのかこをかきたくないのです。)
義務は別として私の過去を書きたくないのです。
(わたくしのかこはわたくしだけのけいけんだから、わたくしだけのしょゆうといってもさしつかえないでしょう。)
私の過去は私だけの経験だから、私だけの所有と云っても差支ないでしょう。
(それをひとにあたえないでしぬのは、おしいともいわれるでしょう。)
それを人に与えないで死ぬのは、惜いとも云われるでしょう。
(わたくしにもたしょうそんなこころもちがあります。)
私にも多少そんな心持があります。
(ただしうけいれることのできないひとにあたえるくらいなら、)
ただし受け入れる事の出来ない人に与える位なら、
(わたくしはむしろわたくしのけいけんをわたくしのいのちとともにほうむったほうがいいとおもいます。)
私はむしろ私の経験を私の生命と共に葬った方が好いと思います。
(じっさいここにあなたというひとりのおとこがそんざいしていないならば、)
実際ここに貴方という一人の男が存在していないならば、
(わたくしのかこはついにわたくしのかこで、)
私の過去はついに私の過去で、
(かんせつにもたにんのちしきにならないですんだでしょう。)
間接にも他人の知識にならないで済んだでしょう。
(わたくしはなんぜんまんといるにほんじんのうちで、ただあなただけに、)
私は何千万といる日本人のうちで、ただ貴方だけに、
(わたくしのかこをものがたりたいのです。)
私の過去を物語りたいのです。
(あなたはまじめだから、)
あなたは真面目だから、
(あなたはまじめにじんせいそのものからいきたきょうくんをえたいといったから。)
あなたは真面目に人生そのものから生きた教訓を得たいと云ったから。