夏目漱石「こころ」3-6

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投稿者投稿者たけしいいね0お気に入り登録
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夏目漱石「こころ」3-6
下)先生と遺書
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。

オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
9:一字一劃(いちじいっかく)
11:外れる(それる)
20:夜中(よる)
22:擲り合(なぐりあい)
41;羨やましがられる(うらやましがられる)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今回も少し長めです。次回はちょい続きからです。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 逆立ち 6040 A++ 6.1 98.6% 348.0 2131 29 41 2024/06/06
2 すもさん 5860 A+ 6.1 96.1% 362.1 2211 89 41 2024/06/12
3 もっちゃん先生 5062 B+ 5.3 95.5% 401.8 2133 99 41 2024/06/18
4 kanta 5014 B+ 5.1 96.7% 408.6 2120 71 41 2024/07/06
5 レイコ 4750 B 4.8 97.8% 439.5 2134 46 41 2024/06/09

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問題文

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(はなしがほんすじをはずれると、わかりにくくなりますからまたあとへひきかえしましょう。)

話が本筋をはずれると、分り悪くなりますからまたあとへ引き返しましょう。

(これでもわたくしはこのながいてがみをかくのに、)

これでも私はこの長い手紙を書くのに、

(わたくしとおなじちいにおかれたほかのひととくらべたら、)

私と同じ地位に置かれた他の人と比べたら、

(あるいはたしょうおちついていやしないかとおもっているのです。)

或は多少落ち付いていやしないかと思っているのです。

(よのなかがねむるときこえだすあのでんしゃのひびきももうとだえました。)

世の中が眠ると聞こえだすあの電車の響ももう途絶えました。

(あまどのそとにはいつのまにかあわれなむしのこえが、)

雨戸の外にはいつの間にか憐れな虫の声が、

(つゆのあきをまたしのびやかにおもいださせるようなちょうしでかすかにないています。)

露の秋をまた忍びやかに思い出させるような調子で微かに鳴いています。

(なにもしらないさいはつぎのへやでむじゃきにすやすやねいっています。)

何も知らない妻は次の室で無邪気にすやすや寐入っています。

(わたくしがふでをとると、いちじいっかくができあがりつつぺんのさきでなっています。)

私が筆を執ると、一字一劃が出来上りつつペンの先で鳴っています。

(わたくしはむしろおちついたきぶんでかみにむかっているのです。)

私は寧ろ落付いた気分で紙に向っているのです。

(ふなれのためにぺんがよこへそれるかもしれませんが、)

不馴のためにペンが横へ外れるかも知れませんが、

(あたまがのうらんしてふでがしどろにはしるのではないようにおもいます。)

頭が悩乱して筆がしどろに走るのではないように思います。

(よん)

(「とにかくたったひとりとりのこされたわたくしは、)

「とにかくたった一人取り残された私は、

(ははのいいつけどおり、このおじをたよるよりほかにみちはなかったのです。)

母の云い付け通り、この叔父を頼るより外に途はなかったのです。

(おじはまたいっさいをひきうけてすべてのせわをしてくれました。)

叔父はまた一切を引き受けて凡ての世話をしてくれました。

(そうしてわたくしをわたくしのきぼうするとうきょうへでられるようにとりはからってくれました。)

そうして私を私の希望する東京へ出られるように取り計らってくれました。

(わたくしはとうきょうへきてこうとうがっこうへはいりました。)

私は東京へ来て高等学校へ這入りました。

(そのときのこうとうがっこうのせいとはいまよりもよほどさつばつでそやでした。)

その時の高等学校の生徒は今よりも余程殺伐で粗野でした。

(わたくしのしったものに、よるしょくにんとけんかをして、)

私の知ったものに、夜中職人と喧嘩をして、

など

(あいてのあたまへげたできずをおわせたのがありました。)

相手の頭へ下駄で傷を負わせたのがありました。

(それがさけをのんだあげくのことなので、むちゅうになぐりあいをしているあいだに、)

それが酒を飲んだ揚句の事なので、夢中に擲り合をしている間に、

(がっこうのせいぼうをとうとうむこうのものにとられてしまったのです。)

学校の制帽をとうとう向うのものに取られてしまったのです。

(ところがそのぼうしのうらにはとうにんのなまえがちゃんと、)

ところがその帽子の裏には当人の名前がちゃんと、

(ひしがたのしろいきれのうえにかいてあったのです。)

菱形の白いきれの上に書いてあったのです。

(それでことがめんどうになって、)

それで事が面倒になって、

(そのおとこはもうすこしでけいさつからがっこうへしょうかいされるところでした。)

その男はもう少しで警察から学校へ紹介されるところでした。

(しかしともだちがいろいろとほねをおって、)

然し友達が色々と骨を折って、

(ついにおもてざたにせずにすむようにしてやりました。)

ついに表沙汰にせずに済むようにして遣りました。

(こんならんぼうなこういを、)

こんな乱暴な行為を、

(じょうひんないまのくうきのなかにそだったあなたがたにきかせたら、)

上品な今の空気のなかに育ったあなた方に聞かせたら、

(さだめてばかばかしいかんじをおこすでしょう。)

定めて馬鹿々々しい感じを起すでしょう。

(しかしかれらはいまのがくせいにないいっしゅしつぼくなてんをそのかわりにもっていたのです。)

然し彼等は今の学生にない一種質朴な点をその代りに有っていたのです。

(とうじわたくしのつきづきおじからもらっていたかねは、)

当時私の月々叔父から貰っていた金は、

(あなたがいま、おとうさんからおくってもらうがくしにくらべると)

あなたが今、御父さんから送ってもらう学資に比べると

(はるかにすくないものでした。)

遥かに少ないものでした。

((むろんぶっかもちがいましょうが)。)

(無論物価も違いましょうが)。

(それでいてわたくしはすこしのふそくもかんじませんでした。)

それでいて私は少しの不足も感じませんでした。

(のみならずかずあるどうきゅうせいのうちで、けいざいのてんにかけては、)

のみならず数ある同級生のうちで、経済の点にかけては、

(けっしてひとをうらやましがるあわれなきょうぐうにいたわけではないのです。)

決して人を羨ましがる憐れな境遇にいた訳ではないのです。

(いまからかいこすると、むしろひとにうらやましがられるほうだったのでしょう。)

今から回顧すると、寧ろ人に羨やましがられる方だったのでしょう。

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