夏目漱石「こころ」3-8
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
次:https://typing.twi1.me/game/374103
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3:断えた(たえた)
3:住居(すまい)
4:新らしい(あたらしい)
家(「いえ」と読んだり、「うち」と読んだりしてややこしいと思いますがよろしくお願いします。)
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 7410 | 光 | 7.6 | 96.9% | 258.4 | 1977 | 62 | 38 | 2024/09/23 |
2 | なおきち | 7144 | 王 | 7.4 | 96.5% | 267.9 | 1986 | 72 | 38 | 2024/10/16 |
3 | やまちゃん | 4819 | B | 4.9 | 97.2% | 399.0 | 1978 | 55 | 38 | 2024/10/08 |
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問題文
(ご)
五
(「わたくしがなつやすみをりようしてはじめてくにへかえったとき、)
「私が夏休みを利用して始めて国へ帰った時、
(りょうしんのしにたえたわたくしのすまいには、)
両親の死に断えた私の住居には、
(あたらしいしゅじんとして、おじふうふがいれかわってすんでいました。)
新らしい主人として、叔父夫婦が入れ代って住んでいました。
(これはわたくしがとうきょうへでるまえからのやくそくでした。)
これは私が東京へ出る前からの約束でした。
(たったひとりとりのこされたわたくしがいえにいないいじょう、)
たった一人取り残された私が家にいない以上、
(そうでもするよりほかにしかたがなかったのです。)
そうでもするより外に仕方がなかったのです。
(おじはそのころしにあるいろいろなかいしゃにかんけいしていたようです。)
叔父はその頃市にある色々な会社に関係していたようです。
(ぎょうむのつごうからいえば、いままでのきょたくにねおきするほうが、)
業務の都合から云えば、今までの居宅に寐起する方が、
(にりもへだたったわたくしのいえにうつるよりはるかにべんりだといってわらいました。)
二里も隔った私の家に移るより遥かに便利だと云って笑いました。
(これはわたくしのふぼがなくなったあと、)
これは私の父母が亡くなった後、
(どうやしきをしまつして、わたくしがとうきょうへでるかというそうだんのとき、)
どう邸を始末して、私が東京へ出るかという相談の時、
(おじのくちをもれたことばであります。)
叔父の口を洩れた言葉であります。
(わたくしのいえはふるいれきしをもっているので、)
私の家は旧い歴史を有っているので、
(すこしはそのかいわいでひとにしられていました。)
少しはその界隈で人に知られていました。
(あなたのきょうりでもおなじことだろうとおもいますが、)
あなたの郷里でも同じ事だろうと思いますが、
(いなかではゆいしょのあるいえを、)
田舎では由緒のある家を、
(そうぞくにんがあるのにこわしたりうったりするのはだいじけんです。)
相続人があるのに壊したり売ったりするのは大事件です。
(いまのわたくしならそのくらいのことはなんともおもいませんが、)
今の私ならその位の事は何とも思いませんが、
(そのころはまだこどもでしたから、とうきょうへはでたし、)
その頃はまだ子供でしたから、東京へは出たし、
(うちはそのままにしておかなければならず、はなはだしょちにくるしんだのです。)
家はそのままにして置かなければならず、甚だ処置に苦しんだのです。
(おじはしかたなしにわたくしのあきやへはいることをしょうだくしてくれました。)
叔父は仕方なしに私の空家へ這入る事を承諾してくれました。
(しかししのほうにあるすまいもそのままにしておいて、)
然し市の方にある住居もそのままにして置いて、
(りょうほうのあいだをいったりきたりするべんぎをあたえてもらわなければこまるといいました。)
両方の間を往ったり来たりする便宜を与えて貰わなければ困るといいました。
(わたくしにもとよりいぎのありようはずがありません。)
私に固より異議のありよう筈がありません。
(わたくしはどんなじょうけんでもとうきょうへでられればいいくらいにかんがえていたのです。)
私はどんな条件でも東京へ出られれば好い位に考えていたのです。
(こどもらしいわたくしは、ふるさとをはなれても、)
子供らしい私は、故郷を離れても、
(まだこころのめで、なつかしげにふるさとのいえをのぞんでいました。)
まだ心の眼で、懐かしげに故郷の家を望んでいました。
(もとよりそこにはまだじぶんのかえるべきいえがあるという)
固より其所にはまだ自分の帰るべき家があるという
(たびびとのこころでのぞんでいたのです。)
旅人の心で望んでいたのです。
(やすみがくればかえらなくてはならないというきぶんは、)
休みが来れば帰らなくてはならないという気分は、
(いくらとうきょうをこいしがってでてきたわたくしにも、ちからづよくあったのです。)
いくら東京を恋しがって出てきた私にも、力強くあったのです。
(わたくしはねっしんにべんきょうし、ゆかいにあそんだあと、)
私は熱心に勉強し、愉快に遊んだ後、
(やすみにはかえれるとおもうそのふるさとのいえをよくゆめにみました。)
休みには帰れると思うその故郷の家をよく夢に見ました。
(わたくしのるすのあいだ、おじはどんなふうにりょうほうのあいだをゆききしていたかしりません。)
私の留守の間、叔父はどんなふうに両方の間を往来していたか知りません。
(わたくしのついたときは、かぞくのものが、みんなひとついえのうちにあつまっていました。)
私の着いた時は、家族のものが、みんな一つ家の内に集まっていました。
(がっこうへでるこどもなどはへいぜいおそらくしのほうにいたのでしょうが、)
学校へ出る子供などは平生恐らく市の方にいたのでしょうが、
(これもきゅうかのためにいなかへあそびはんぶんといったかくでひきとられていました。)
これも休暇のために田舎へ遊び半分といった格で引き取られていました。