PERSONA

(もうこのばめんはなんどとなくみてきた)

もうこの場面は何度となく見てきた

(あなたはさめないあくむのつづきで)

あなたは醒めない悪夢の続きで

(くるってしまったにんぎょうみたいに)

狂ってしまった人形みたいに

(おなじことばをくりかえした)

同じ言葉を繰り返した

(いわれたとおりにえんじていれば)

言われたとおりに演じていれば

(すりへるだけでしにはしないと)

すり減るだけで死にはしないと

(そこからひろがってむしばんでいって)

底から広がって蝕んでいって

(いずれはかくじつにいきをとめるもの)

いずれは確実に息を止めるもの

(かめんのしたでまわるぶたいのうえでぼくだけがじょうずにおどれない)

仮面の下で廻る舞台の上で僕だけが上手に踊れない

(おかしいのはさしださないやつだと)

「オカシイのは差し出さないやつだ」と

(そのだいしょうをこころだというのならば)

その代償を心だと言うのならば

(はやくころして)

早く殺して

(なんだったらさいしょからまちがいだったと)

なんだったら最初から間違いだったと

(そんならんぼうにしたいわけじゃない)

そんな乱暴にしたいわけじゃない

(いっそじかんにおきさられたまま)

いっそ時間に置き去られたまま

(わすれられたほうがしあわせだ)

忘れられたほうが幸せだ

(かたちをかえずただそこにあって)

形を変えずただそこにあって

(さわらなければきずもつかない)

触らなければ傷もつかない

(みたくないものをとおざけたところで)

見たくないものを遠ざけたところで

(どうしたってなかったことにはならない)

どうしたって無かったことにはならない

(ゆるされたいものがゆるされるところへいった)

許されたいものが許されるところへ行った

(それいじょうもそれいかもない)

それ以上もそれ以下もない

(ひとしれないまんなかにもろさがあって)

人知れない真ん中に脆さがあって

(そのだいしょうがかめんだというのならば)

その代償が仮面だと言うのならば

(だれをせめられる)

誰を責められる

(ちかづくほどにとおいきょりきえてはうかぶまぼろし)

近づくほどに遠い距離　消えては浮かぶ幻

(すがたのみえないものをあてもなくさがすよう)

姿の見えないものをあてもなく探すよう

(あなたはたしかにここにいた)

あなたは確かにここにいた

(たちどまるぼくのことをだれもせめられはしない)

立ち止まる僕のことを誰も責められはしない

(かめんのしたでまわるぶたいのうえでぼくだけがじょうずにいきれない)

仮面の下で廻る舞台の上で僕だけが上手に生きれない

(おかしいのはさしださないやつだと)

「オカシイのは差し出さないやつだ」と

(おなじことばをくりかえした)

同じ言葉を繰り返した

(もうなにもないぼくにもなにもないんだ)

もう何もない　僕にも何もないんだ

(そのだいしょうをこころだというのならば)

その代償を心だと言うのならば

(はやくころしてよ)

早く殺してよ