夏目漱石「こころ」3-15

夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
次:https://typing.twi1.me/game/379842
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
12:漸と(やっと)
14:惜む(おしむ)
33:冷かな(ひややかな)
33:新らしい(あたらしい)
35:体(たい)
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | teea | 7140 | 王 | 7.3 | 97.6% | 263.0 | 1925 | 47 | 37 | 2025/03/28 |
2 | Irene | 7083 | 王 | 7.3 | 95.9% | 261.3 | 1932 | 81 | 37 | 2025/02/27 |
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問題文
(わたくしはとうとうおじとだんぱんをひらきました。)
私はとうとう叔父と談判を開きました。
(だんぱんというのはすこしふおんとうかもしれませんが、)
談判というのは少し不穏当かも知れませんが、
(はなしのなりゆきからいうと、そんなことばでけいようするよりほかにみちのないところへ、)
話の成行からいうと、そんな言葉で形容するより外に途のないところへ、
(しぜんのちょうしがおちてきたのです。)
自然の調子が落ちて来たのです。
(おじはどこまでもわたくしをこどもあつかいにしようとします。)
叔父は何処までも私を子供扱いにしようとします。
(わたくしはまたはじめからさいぎのめでおじにたいしています。)
私はまた始めから猜疑の眼で叔父に対しています。
(おだやかにかいけつのつくはずはなかったのです。)
穏やかに解決のつく筈はなかったのです。
(いかんながらわたくしはいまそのだんぱんのてんまつを)
遺憾ながら私は今その談判の顛末を
(くわしくここにかくことのできないほどさきをいそいでいます。)
詳しく此所に書く事の出来ない程先を急いでいます。
(じつをいうと、わたくしはこれよりいじょうに、もっとだいじなものをひかえているのです。)
実をいうと、私はこれより以上に、もっと大事なものを控えているのです。
(わたくしのぺんははやくからそこへたどりつきたがっているのを、)
私のペンは早くから其所へ辿りつきたがっているのを、
(やっとのことでおさえつけているくらいです。)
漸との事で抑え付けている位です。
(あなたにあってしずかにはなすきかいをえいきゅうにうしなったわたくしは、)
あなたに会って静かに話す機会を永久に失った私は、
(ふでをとるすべになれないばかりでなく、たっといじかんをおしむといういみからして、)
筆を執る術に慣れないばかりでなく、貴い時間を惜むという意味からして、
(かきたいこともはぶかなければなりません。)
書きたい事も省かなければなりません。
(あなたはまだおぼえているでしょう、わたくしがいつかあなたに、)
あなたは未だ覚えているでしょう、私がいつか貴方に、
(つくりつけのあくにんがよのなかにいるものではないといったことを。)
造り付けの悪人が世の中にいるものではないと云った事を。
(おおくのぜんにんがいざというばあいに)
多くの善人がいざという場合に
(とつぜんあくにんになるのだからゆだんしてはいけないといったことを。)
突然悪人になるのだから油断しては不可ないと云った事を。
(あのときあなたはわたくしにこうふんしているとちゅういしてくれました。)
あの時あなたは私に昂奮していると注意してくれました。
(そうしてどんなばあいに、ぜんにんがあくにんにへんかするのかとたずねました。)
そうしてどんな場合に、善人が悪人に変化するのかと尋ねました。
(わたくしがただひとくちかねとこたえたとき、あなたはふまんなかおをしました。)
私がただ一口金と答えた時、あなたは不満な顔をしました。
(わたくしはあなたのふまんなかおをよくきおくしています。)
私はあなたの不満な顔をよく記憶しています。
(わたくしはいまあなたのまえにうちあけるが、)
私は今あなたの前に打ち明けるが、
(わたくしはあのときこのおじのことをかんがえていたのです。)
私はあの時この叔父の事を考えていたのです。
(ふつうのものがかねをみてきゅうにあくにんになるれいとして、)
普通のものが金を見て急に悪人になる例として、
(よのなかにしんようするにたるものがそんざいしえないれいとして、)
世の中に信用するに足るものが存在しえない例として、
(ぞうおとともにわたくしはこのおじをかんがえていたのです。)
憎悪と共に私はこの叔父を考えていたのです。
(わたくしのこたえは、しそうかいのおくへつきすすんでいこうとするあなたにとって)
私の答は、思想界の奥へ突き進んでいこうとするあなたにとって
(ものたりなかったかもしれません、ちんぷだったかもしれません。)
物足りなかったかも知れません、陳腐だったかも知れません。
(けれどもわたくしにはあれがいきたこたえでした。)
けれども私にはあれが生きた答でした。
(げんにわたくしはこうふんしていたではありませんか。)
現に私は昂奮していたではありませんか。
(わたくしはひややかなあたまであたらしいことをくちにするよりも、)
私は冷かな頭で新らしい事を口にするよりも、
(ねっしたしたでへいぼんなせつをのべるほうがいきているとしんじています。)
熱した舌で平凡な説を述べる方が生きていると信じています。
(ちのちからでたいがうごくからです。)
血の力で体が動くからです。
(ことばがくうきにはどうをつたえるばかりでなく、)
言葉が空気に波動を伝えるばかりでなく、
(もっとつよいものにもっとつよくはたらきかけることができるからです。)
もっと強い物にもっと強く働き掛ける事が出来るからです。