桜井の訣別(楠公の歌)
関連タイピング
歌詞(問題文)
(あおばしげれるさくらいの)
青葉茂れる桜井の
(さとのわたりのゆうまぐれ)
里の渡りの夕間暮れ
(このしたかげにこまとめて)
木の下陰に駒止めて
(よのゆくすえをつくづくと)
世の行く末を熟と
(しのぶよろいのそでのうえに)
忍ぶ鎧の袖の上に
(ちるはなみだかはたつゆか)
散るは涙か将露か
(まさしげなみだをうちはらい)
正成涙を打ち払い
(わがこまさつらよびよせて)
我が子正行呼び寄せて
(ちちはひょうごにおもむかん)
父は兵庫に赴かん
(かなたのうらにてうちじにせん)
彼方の浦にて討死にせん
(なんじはここまできつれども)
汝は此処まで来れども
(とくとくかえれふるさとへ)
疾く疾く帰れ故郷へ
(ちちうえいかにのたもうも)
父上如何に宣うも
(みすてまつりてわれひとり)
見捨て奉りて我一人
(いかでかえらんかえられん)
如何で帰らん帰られん
(このまさつらはとしこそは)
此の正行は年こそは
(いまだわかけれもろともに)
未だ若けれ諸共に
(おととにつかえんしでのたび)
御父に仕えん死出の旅
(なんじをここよりかえさんは)
汝を此処より帰さんは
(われわたくしのためならず)
我私の為ならず
(おのれうちじになさんには)
己討死に為さんには
(よはたかうじのままならん)
世は尊氏の儘ならん
(はやくおいたちおおきみに)
早く生い立ち大君に
(つかえまつれよくにのため)
仕え奉れよ国の為
(このひとふりはいにしとし)
此の一刀は往にし年
(きみのたまいしものなるぞ)
君の賜いし物なるぞ
(このよのわかれのかたみにと)
此の世の別れの形見にと
(なんじにこれをおくりてん)
汝にこれを贈りてん
(ゆけよまさつらふるさとへ)
行けよ正行故郷へ
(おいたるははのまちまさん)
老いたる母の待ちまさん
(ともにみおくりみかえりて)
共に見送り見返りて
(わかれをおしむおりからに)
別れを惜しむ折りからに
(またもふりくるさみだれの)
復も降り来る五月雨の
(そらにきこゆるほととぎす)
空に聞こゆる時鳥
(だれかあわれときかざらん)
誰か哀れと聞かざらん
(あわれちになくそのこえを)
哀れ血に泣くその声を