怖い話《線香の体臭がする女》

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タグ怖い話
実話

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(おれはきゅうしゅうのちほうとしでじゅうねんらいたくしーうんてんしゅをしている。)

俺は九州の地方都市で十年来タクシー運転手をしている。

(しかしさいきんはけいきがわるくさっぱりきゃくがこない。)

しかし最近は景気が悪くさっぱり客が来ない。

(そこでたまにはるーとをかえようとおもいたった。)

そこでたまにはルートを変えようと思い立った。

(そのひおれがむかったのはしのきたがわにあるれいえんだった。)

その日俺が向かったのは市の北側にある霊園だった。

(あたりまえだがれいえんふきんはてらやぼせきのみせがおおい。)

当たり前だが霊園付近は寺や墓石の店が多い。

(はかまいりをおえたきゃくでもひろえたららっきーだとおもってしばらくながしていると、)

墓参りを終えた客でも拾えたらラッキーだと思って暫く流していると、

(まどをしめきったしゃないになぜかせんこうのにおいがただよいだした。)

窓を閉め切った車内に何故か線香の臭いが漂い出した。

(とっさにまどをあけてにおいをのがしていると、れいえんのまえにたったおんながめにとまる。)

咄嗟に窓を開けて匂いを逃していると、霊園の前に立った女が目に留まる。

(かたてをあげてたくしーをとめようとしていた。)

片手をあげてタクシーを止めようとしていた。

(さっそくしーとにむかえいれるや、ぼそぼそしたこえでいきさきをつげる。)

早速シートに迎え入れるや、ぼそぼそした声で行き先を告げる。

(おくりとどけるあいだもいやなけはいをかんじていた。)

送り届ける間も嫌な気配を感じていた。

(おんなはしゅうしだんまりでうつむいていて、こっちがはなしをふってもいっさいはんのうをしめさない。)

女は終始だんまりで俯いていて、こっちが話を振っても一切反応を示さない。

(するとまたせんこうのにおいがただよってきてかおをしかめる。)

するとまた線香の匂いが漂ってきて顔をしかめる。

(れいえんからははなれたはずなのに、いったいなぜ・・・)

霊園からは離れたはずなのに、一体何故・・・

(こうぶしーとのおんながていねいにあたまをさげた。)

後部シートの女が丁寧に頭を下げた。

(「すみません、わたしのにおいです」)

「すみません、私の匂いです」

(「えっ?」)

「えっ?」

(くびをねじってふりむくといっそうきょうれつなせんこうのにおいにおそわれてむせかえりそうになる。)

首をねじって振り向くと一層強烈な線香の匂いに襲われて噎せ返りそうになる。

(なぞのおんなはひょうじょうのよめないめでおれをみつめ、ひとことつぶやく。)

謎の女は表情の読めない目で俺を見つめ、一言呟く。

(「あなたじゃありませんね。ひとちがいでした」)

「あなたじゃありませんね。人違いでした」

など

(30ぷんほどはしりつづけてじゅうたくがいのいっこだてについた。)

30分ほど走り続けて住宅街の一戸建てに着いた。

(「ここであってますか」)

「ここであってますか」

(かくにんすれどもへんじがなく、きづいたときにはおんなはいなくなり)

確認すれども返事がなく、気付いた時には女はいなくなり

(しーとにほとんどはいになりかけたせんこうがいっぽんのこされていた。)

シートに殆ど灰になりかけた線香が一本残されていた。

(あとでしったことだが、そのいえではせんげつおくさんがひきにげされていた。)

後で知った事だが、その家では先月奥さんがひき逃げされていた。

(すうじつごにたいほされたのはおれのどうぎょうしゃのたくしーうんてんしゅだった。)

数日後に逮捕されたのは俺の同業者のタクシー運転手だった。

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