怖い話《餌やり》
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問題文
(ついせんじつのこと。)
つい先日の事。
(「そうぶせん、げんざいしんごうかくにんのためれっしゃにおおはばなおくれがしょうじており、)
「総武線、現在信号確認の為列車に大幅な遅れが生じており、
(うんてんをみあわせております。たいへんごめいわくをおかけしております」)
運転を見合わせております。大変ご迷惑をおかけしております」
(ちっあといちえきなのに・・・しかたない。けいせいせんでかえるか)
チッあと一駅なのに・・・仕方ない。京成線で帰るか
(ふだんつかわないけいせいせんほーむのべんちにおもいこしをおろし、わたしはでんしゃをまっていた。)
普段使わない京成線ホームのベンチに重い腰を下ろし、私は電車を待っていた。
(10ぷんあと。でんしゃがとうちゃくしのりこむと、よるもおそかったからか、)
10分後。電車が到着し乗り込むと、夜も遅かったからか、
(ひとはちらほらしかのっていない。)
人はちらほらしか乗っていない。
(どあからいちばんちかいせきにすわりすまほにめをやると、のこり1%。)
ドアから一番近い席に座りスマホに目をやると、残り1%。
(そしてがめんはたちまちしっこくにつつまれた。ま、いちえきだし。)
そして画面はたちまち漆黒に包まれた。ま、一駅だし。
(でんしゃがはしりはじめて2、3ぷんがすぎようとしたときくらいだったろうか。)
電車が走り始めて2、3分が過ぎようとした時くらいだったろうか。
(みぎまえのゆうせんせきにすわっているろうじょが、うすきみわるいえがおでこちらを)
右前の優先席に座っている老女が、薄気味悪い笑顔でこちらを
(みているのにきづいた。)
見ているのに気付いた。
(きもちわる・・・なんておもってたら、でんしゃがゆっくりとそくどをさげはじめた。)
きもちわる・・・なんて思ってたら、電車がゆっくりと速度を下げ始めた。
(どあがひらき、そとへでるとすこしはださむい。ぱらぱらとこさめもふっていた。)
ドアが開き、外へ出ると少し肌寒い。パラパラと小雨も降っていた。
(かいさつをでるまえにといれによりようをたしたあとすたすたといえにむかってあるきはじめた。)
改札を出る前にトイレに寄り用を足した後スタスタと家に向かって歩き始めた。
(このえきからいえまではあるいて20ぷんほど。)
この駅から家までは歩いて20分程。
(ひとけのないみちだがしかたなくいえにむかってあるいていると、)
人気のない道だが仕方なく家に向かって歩いていると、
(じゃりっ。なにかをふんでしまった。)
ジャリッ。何かを踏んでしまった。
(ふとあしもとをみると、はくまいらしきものがどさっとおちていた。)
ふと足元を見ると、白米らしき物がドサッと落ちていた。
(からすなんかがごみでもあらしたんだろう。)
カラスなんかがゴミでも荒らしたんだろう。
(そうとしかおもわずあるいていると、またみちにだいたいおなじりょうのこめがおちていた。)
そうとしか思わず歩いていると、また道に大体同じ量の米が落ちていた。
(よくみるとどうろのさきに、まるでみちしるべのようにこめがてんてんとつづいている。)
よく見ると道路の先に、まるで道しるべのように米が点々と続いている。
(こめはわたしのいえのほうまでつづいていたが、とちゅう、)
米は私の家の方まで続いていたが、途中、
(じんじゃがあるみちのほうにそれてしまっていた。)
神社がある道の方に逸れてしまっていた。
(このままいえにかえってすることもないし。)
このまま家に帰ってすることもないし。
(どこまでつづいているのか、ちょっとみてみるか。)
どこまで続いているのか、ちょっと見てみるか。
(このひはなぜか、こうきしんがいえにかえってやすみたいというきもちにかっていた。)
この日はなぜか、好奇心が家に帰って休みたいという気持ちに勝っていた。
(しばらくこめをたどっていると、あんのじょうきんじょのじんじゃへとつづいていた。)
暫く米を辿っていると、案の定近所の神社へと続いていた。
(けいだいへのかいだんにも、よんだんごとにこめがおちており、)
境内への階段にも、四段ごとに米が落ちており、
(それはとりいをこえたさきのあけたばしょでおわっていた。)
それは鳥居を越えた先の開けた場所で終わっていた。
(これでおしまいかよ!つまんねえの!)
これでおしまいかよ!つまんねえの!
(わたしはやまじょうにさかられたこめをいきおいよくけっとばした。)
私は山状に盛られた米を勢いよく蹴っ飛ばした。
(かこん!!!!)
カコン!!!!
(とつぜんのものおとにしんぞうがとまりそうになり、ものおとがしたほうをみると、)
突然の物音に心臓が止まりそうになり、物音がした方を見ると、
(でんしゃでみたろうじょが、けいだいのがいとうにてらされていた。)
電車で見た老女が、境内の街灯に照らされていた。
(あしもとにはすしおけ?のようなものがころがっていた。)
足元には寿司桶?のような物が転がっていた。
(ろうじょのひょうじょうはさきほどとはちがい、まがおだった。)
老女の表情は先程とは違い、真顔だった。
(すぐにこめをおいていたのはこのろうじょだとわかった。)
すぐに米を置いていたのはこの老女だと分かった。
(わたしはこわくなって、きたみちをもどろうとしたとき、)
私は怖くなって、来た道を戻ろうとした時、
(うしろでひめいにもちかいどなりごえがきこえた。)
後ろで悲鳴にも近い怒鳴り声が聞こえた。
(なにをいっているのかはきこえなかったが、そのこえはにくしみといかりにみちていた。)
何を言っているのかは聞こえなかったが、その声は憎しみと怒りに満ちていた。
(まっくらなよみちをぜんりょくでかけぬけ、なんとかいえににげこんだ。)
真っ暗な夜道を全力で駆け抜け、何とか家に逃げ込んだ。
(かぎをしめしばらくものおとをたてないようにこえをころしていた。)
鍵を閉め暫く物音を立てないように声を殺していた。
(じっとしはじめて3ぷんほどたったとき。)
ジッとし始めて3分程経った時。
(なにかがじめんをすごいすぴーどではいずるようながさがさというおとがきこえはじめた。)
何かが地面を凄いスピードで這いずるようなガサガサという音が聞こえ始めた。
(がさがさおんはいえのまわりを2、3しゅうまわって、ぴたっとやんだ。)
ガサガサ音は家の周りを2、3周回って、ピタッと止んだ。
(わたしはおそるおそるどああなからそとをのぞいてみた。)
私は恐る恐るドア穴から外を覗いてみた。
(ゆうびんうけとどうろのちょうどまんなかあたり。30だいくらいのおとこ。)
郵便受けと道路の丁度真ん中あたり。30代くらいの男。
(すきんへっどでふくはきておらず、ごきぶりのようにてとあしをきようにつかって)
スキンヘッドで服は着ておらず、ゴキブリのように手と足を器用に使って
(かさかさとうごいている。よだれをだらだらとたらし、じめんにむかってしきりに)
カサカサと動いている。涎をダラダラと垂らし、地面に向かってしきりに
(なにかをかぐようなしぐさをとりながら、きみわるくあるきまわっている。)
何かを嗅ぐような仕草を取りながら、気味悪く歩き回っている。
(おとをたてたらまずいとおもい、どああなからおとをたてずにめをはなそうとしたとき、)
音を立てたらまずいと思い、ドア穴から音を立てずに目を離そうとした時、
(かさたてにあしをぶつけてしまった。)
傘立てに足をぶつけてしまった。
(そのしゅんかん、どあにむかって)
その瞬間、ドアに向かって
(がさがさがさがさがさがさ、とやつがはいずりよるおとがした。)
ガサガサガサガサガサガサ、と奴が這いずり寄る音がした。
(「うわあああああああああ」)
「うわあああああああああ」
(おもわずこえがあふれでてしまい、いそいでどあからはなれべっどにだいぶし、)
思わず声が溢れ出てしまい、急いでドアから離れベッドにダイブし、
(ふとんをあたまからかぶりめをとじた。)
布団を頭からかぶり目を閉じた。
(あぶらあせがせなかからにじみでているのがわかる。そしてそのままいしきがとんだ。)
脂汗が背中から滲み出ているのが分かる。そしてそのまま意識が飛んだ。
(どのくらいねていたのだろう。)
どのくらい寝ていたのだろう。
(めがさめたときにはすでにつぎのひのゆうがたになっていた。)
目が覚めた時には既に次の日の夕方になっていた。
(このとき、なぜだかさくばんのことはなにひとつおぼえていなかった。)
この時、なぜだか昨晩の事は何一つ覚えていなかった。
(ふといじょうにおなかがへっていることにきづいたが、いえにはたべものがなにもない。)
ふと以上にお腹が減っていることに気付いたが、家には食べ物が何もない。
(ごみだしのついでにちかくのすーぱーにでもいくことにした。)
ゴミ出しのついでに近くのスーパーにでも行く事にした。
(えこばっぐをもって、くつをはいて、)
エコバッグを持って、靴を履いて、
(げんかんのどあのぶにてをかけたとき、きのうのきおくがせんめいによみがえる。)
玄関のドアノブに手を掛けた時、昨日の記憶が鮮明に蘇る。
(しかしもうてはどあのぶをまわしてしまっていた。)
しかしもう手はドアノブを回してしまっていた。
(じゃららら)
ジャラララ
(どあがなにかをくずすおととかんかくがあった。)
ドアが何かを崩す音と感覚があった。
(みるとべいがさんらんしている。)
見ると米が散乱している。
(べいはみちしるべのようにどうろからわたしのげんかんさきまでつづいているようだ。)
米は道しるべのように道路から私の玄関先まで続いているようだ。
(ばりばりばりばりばりばりばり)
バリバリバリバリバリバリバリ
(そんなおとがきこえはじめ、どうろからはんらのやせほそったおとこが)
そんな音が聞こえ始め、道路から半裸の痩せ細った男が
(はいはいしながらべいをたべすすめてきた。)
ハイハイしながら米を食べ進めてきた。
(そしてわたしをみるなり、にやっとわらった。)
そして私を見るなり、ニヤッと笑った。