怖い話《出られない》

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投稿者投稿者やゆいいね0お気に入り登録
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タグ怖い話

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問題文

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(さくやのはなしです。)

昨夜の話です。

(わたしは、なにげなしにといれにいきました。)

私は、何気無しにトイレに行きました。

(うちのといれには、といれのなかにせんめんじょがあります。)

うちのトイレには、トイレの中に洗面所があります。

(とうぜん、かがみも。)

当然、鏡も。

(わたしはいつものように、といれからでるときに、)

私はいつものように、トイレから出る時に、

(そのせんめんだいでてをあらい、かがみをみました。)

その洗面台で手を洗い、鏡を見ました。

(いつもとおなじです。)

いつもと同じです。

(しかし、どういうわけか、かがみにうつっているじぶんのめから、めせんがはずせません。)

しかし、どういう訳か、鏡に映っている自分の目から、目線が外せません。

(どうにかよこをみてみても、けっきょくはかがみのじぶんのめをみているのです。)

どうにか横を見てみても、結局は鏡の自分の目を見ているのです。

(わたしはこわくなり、なにもかんがえずにといれのどあをあけようとしました。)

私は怖くなり、何も考えずにトイレのドアを開けようとしました。

(しかし、かぎもかかっていないのに、いくらどあをたたいてもひらきません。)

しかし、鍵もかかっていないのに、いくらドアを叩いても開きません。

(「どあがひらかない!」とさけびましたが、かぞくはだれもきません。)

「ドアが開かない!」と叫びましたが、家族は誰も来ません。

(ちょうどといれのある1かいにちちもははもいたのに。)

ちょうどトイレのある1階に父も母もいたのに。

(わたしはぱにっくになり、どんどんとどあをたたいて、)

私はパニックになり、ドンドンとドアを叩いて、

(「といれからでられない!!!」とさけびました。)

「トイレから出られない!!!」と叫びました。

(そのときでした。ぱにっくにおちいっていたわたしが、)

その時でした。パニックに陥っていた私が、

(ふいにきづいてしまったのです。)

ふいに気付いてしまったのです。

(・・・だれかがうしろから、わたしのふくをひっぱっている・・・)

・・・誰かが後ろから、私の服を引っ張っている・・・

(うしろは、べんきがあるほうでした。)

後ろは、便器がある方でした。

(きゅうにおそろしさがまして、さらにさけびつづけました。)

急に恐ろしさが増して、さらに叫び続けました。

など

(しかし、なにかがひっぱるので、そのばにすわりこむかたちになってしまい、)

しかし、何かが引っ張るので、その場に座り込む形になってしまい、

(もうだめかも・・・と、)

もうダメかも・・・と、

(ちからがはいらなくなっていたときに、)

力が入らなくなっていた時に、

(ようやく、どあがひらきました。)

ようやく、ドアが開きました。

(あけたのは、わたしではありませんでした。)

開けたのは、私ではありませんでした。

(そこには、ちちとははがしんぱいそうにたっていて、)

そこには、父と母が心配そうに立っていて、

(ははがわたしにてをさしのべました。)

母が私に手を差し伸べました。

(ははのてを、つかみたいのにつかめない・・・)

母の手を、掴みたいのに掴めない・・・

(とどかないのです。)

届かないのです。

(そうすると、はははといれのなかに、)

そうすると、母はトイレの中に、

(あしをいっぽ、ふみいれました。)

足を一歩、踏み入れました。

(「ほら!てをにぎって!」)

「ほら!手を握って!」

(ははは、そういうと、なにかからひきはなすようにして、)

母は、そういうと、何かから引き離すようにして、

(わたしのてをひっぱりました。)

私の手を引っ張りました。

(ふしぎとおきあがれて、といれからでました。)

不思議と起き上がれて、トイレから出ました。

(しかし、ちちはわたしのうしろのあたりをじっとみていました。)

しかし、父は私の後ろのあたりをじっと見ていました。

(むかし、うちはりょうていをやっており、わたしのそふからのおみせでした。)

昔、うちは料亭をやっており、私の祖父からのお店でした。

(そのころから、わたしがうまれるまえから、そのかがみはそこにあったそうです。)

その頃から、私が産まれる前から、その鏡はそこにあったそうです。

(そのあと、きょうふをかんじながらもといれにはいってみると、かがみはありませんでした。)

その後、恐怖を感じながらもトイレに入ってみると、鏡はありませんでした。

(ははにきくと、「もうふるかったし、すてた」とだけいいました。)

母に聞くと、「もう古かったし、捨てた」とだけ言いました。

(あのかがみは、いままでに、なんにんのひとをうつしだしてきたのでしょうか。)

あの鏡は、今までに、何人の人を映し出してきたのでしょうか。

(わたしはすこしほっとしましたが、)

私は少しホッとしましたが、

(いまでもせんめんだいにたつと、)

今でも洗面台に立つと、

(そこにあったかがみをみるくせが、ぬけきれません。)

そこにあった鏡を見る癖が、抜けきれません。

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