怖い話《出られない》
※このタイピングは、ランキング登録を受け付けていません。
関連タイピング
-
プレイ回数333長文2712打
-
プレイ回数7714長文かな1063打
-
プレイ回数329歌詞869打
問題文
(さくやのはなしです。)
昨夜の話です。
(わたしは、なにげなしにといれにいきました。)
私は、何気無しにトイレに行きました。
(うちのといれには、といれのなかにせんめんじょがあります。)
うちのトイレには、トイレの中に洗面所があります。
(とうぜん、かがみも。)
当然、鏡も。
(わたしはいつものように、といれからでるときに、)
私はいつものように、トイレから出る時に、
(そのせんめんだいでてをあらい、かがみをみました。)
その洗面台で手を洗い、鏡を見ました。
(いつもとおなじです。)
いつもと同じです。
(しかし、どういうわけか、かがみにうつっているじぶんのめから、めせんがはずせません。)
しかし、どういう訳か、鏡に映っている自分の目から、目線が外せません。
(どうにかよこをみてみても、けっきょくはかがみのじぶんのめをみているのです。)
どうにか横を見てみても、結局は鏡の自分の目を見ているのです。
(わたしはこわくなり、なにもかんがえずにといれのどあをあけようとしました。)
私は怖くなり、何も考えずにトイレのドアを開けようとしました。
(しかし、かぎもかかっていないのに、いくらどあをたたいてもひらきません。)
しかし、鍵もかかっていないのに、いくらドアを叩いても開きません。
(「どあがひらかない!」とさけびましたが、かぞくはだれもきません。)
「ドアが開かない!」と叫びましたが、家族は誰も来ません。
(ちょうどといれのある1かいにちちもははもいたのに。)
ちょうどトイレのある1階に父も母もいたのに。
(わたしはぱにっくになり、どんどんとどあをたたいて、)
私はパニックになり、ドンドンとドアを叩いて、
(「といれからでられない!!!」とさけびました。)
「トイレから出られない!!!」と叫びました。
(そのときでした。ぱにっくにおちいっていたわたしが、)
その時でした。パニックに陥っていた私が、
(ふいにきづいてしまったのです。)
ふいに気付いてしまったのです。
(・・・だれかがうしろから、わたしのふくをひっぱっている・・・)
・・・誰かが後ろから、私の服を引っ張っている・・・
(うしろは、べんきがあるほうでした。)
後ろは、便器がある方でした。
(きゅうにおそろしさがまして、さらにさけびつづけました。)
急に恐ろしさが増して、さらに叫び続けました。
(しかし、なにかがひっぱるので、そのばにすわりこむかたちになってしまい、)
しかし、何かが引っ張るので、その場に座り込む形になってしまい、
(もうだめかも・・・と、)
もうダメかも・・・と、
(ちからがはいらなくなっていたときに、)
力が入らなくなっていた時に、
(ようやく、どあがひらきました。)
ようやく、ドアが開きました。
(あけたのは、わたしではありませんでした。)
開けたのは、私ではありませんでした。
(そこには、ちちとははがしんぱいそうにたっていて、)
そこには、父と母が心配そうに立っていて、
(ははがわたしにてをさしのべました。)
母が私に手を差し伸べました。
(ははのてを、つかみたいのにつかめない・・・)
母の手を、掴みたいのに掴めない・・・
(とどかないのです。)
届かないのです。
(そうすると、はははといれのなかに、)
そうすると、母はトイレの中に、
(あしをいっぽ、ふみいれました。)
足を一歩、踏み入れました。
(「ほら!てをにぎって!」)
「ほら!手を握って!」
(ははは、そういうと、なにかからひきはなすようにして、)
母は、そういうと、何かから引き離すようにして、
(わたしのてをひっぱりました。)
私の手を引っ張りました。
(ふしぎとおきあがれて、といれからでました。)
不思議と起き上がれて、トイレから出ました。
(しかし、ちちはわたしのうしろのあたりをじっとみていました。)
しかし、父は私の後ろのあたりをじっと見ていました。
(むかし、うちはりょうていをやっており、わたしのそふからのおみせでした。)
昔、うちは料亭をやっており、私の祖父からのお店でした。
(そのころから、わたしがうまれるまえから、そのかがみはそこにあったそうです。)
その頃から、私が産まれる前から、その鏡はそこにあったそうです。
(そのあと、きょうふをかんじながらもといれにはいってみると、かがみはありませんでした。)
その後、恐怖を感じながらもトイレに入ってみると、鏡はありませんでした。
(ははにきくと、「もうふるかったし、すてた」とだけいいました。)
母に聞くと、「もう古かったし、捨てた」とだけ言いました。
(あのかがみは、いままでに、なんにんのひとをうつしだしてきたのでしょうか。)
あの鏡は、今までに、何人の人を映し出してきたのでしょうか。
(わたしはすこしほっとしましたが、)
私は少しホッとしましたが、
(いまでもせんめんだいにたつと、)
今でも洗面台に立つと、
(そこにあったかがみをみるくせが、ぬけきれません。)
そこにあった鏡を見る癖が、抜けきれません。