夏目漱石「こころ」3-78

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投稿者投稿者たけしいいね0お気に入り登録
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夏目漱石「こころ」3-78
下)先生と遺書
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。

オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
13:曲る(まがる)
27:已(やむ)を得ず
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
出題番号25でも補足しておりますが、NGワードに触れてしまう語句が作中で表記されていた為他の言葉に差し替えております。
何卒ご容赦下さいませ。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 BEASTななせ 7334 7.6 95.7% 216.5 1661 73 29 2024/10/28
2 mame 5641 A 5.8 96.6% 272.8 1594 55 29 2024/12/15
3 饅頭餅美 5043 B+ 5.4 93.6% 296.8 1605 108 29 2024/11/05
4 やまちゃん 4820 B 4.9 96.5% 318.4 1591 56 29 2024/12/04

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問題文

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(よんじゅう)

四十

(「あるひわたくしはひさしぶりにがっこうのとしょかんにはいりました。)

「ある日私は久し振に学校の図書館に入りました。

(わたくしはひろいつくえのかたすみでまどからさすこうせんをはんしんにうけながら、)

私は広い机の片隅で窓から射す光線を半身に受けながら、

(しんちゃくのがいこくざっしを、あちらこちらとひっくりかえしてみていました。)

新着の外国雑誌を、あちら此方と引繰り返して見ていました。

(わたくしはたんにんきょうしからせんこうのがっかにかんして、)

私は担任教師から専攻の学科に関して、

(つぎのしゅうまでにあるじこうをしらべてこいとめいぜられたのです。)

次の週までにある事項を調べて来いと命ぜられたのです。

(しかしわたくしにひつようなことがらがなかなかみつからないので、)

然し私に必要な事柄が中々見付からないので、

(わたくしはにどもさんどもざっしをかりかえなければなりませんでした。)

私は二度も三度も雑誌を借り替えなければなりませんでした。

(さいごにわたくしはやっとじぶんにひつようなろんぶんをさがしだして、)

最後に私はやっと自分に必要な論文を探し出して、

(いっしんにそれをよみだしました。)

一心にそれを読み出しました。

(するととつぜんはばのひろいつくえのむこうがわからちいさなこえでわたくしのなをよぶものがあります。)

すると突然幅の広い机の向う側から小さな声で私の名を呼ぶものがあります。

(わたくしはふとめをあげてそこにたっているけいをみました。)

私は不図眼を上げて其所に立っているKを見ました。

(けいはそのじょうはんしんをつくえのうえにおりまげるようにして、かれのかおをわたくしにちかづけました。)

Kはその上半身を机の上に折り曲るようにして、彼の顔を私に近付けました。

(ごしょうちのとおりとしょかんでは)

御承知の通り図書館では

(ほかのひとのじゃまになるようなおおきなこえではなしをするわけにいかないのですから、)

他の人の邪魔になるような大きな声で話をする訳に行かないのですから、

(けいのこのしょさはだれでもやるふつうのことなのですが、)

Kのこの所作は誰でも遣る普通の事なのですが、

(わたくしはそのときにかぎって、いっしゅへんなこころもちがしました。)

私はその時に限って、一種変な心持がしました。

(けいはひくいこえでべんきょうかとききました。)

Kは低い声で勉強かと聞きました。

(わたくしはちょっとしらべものがあるのだとこたえました。)

私は一寸調べものがあるのだと答えました。

(それでもけいはまだそのかおをわたくしからはなしません。)

それでもKはまだその顔を私から放しません。

など

(おなじひくいちょうしでいっしょにさんぽしないかというのです。)

同じ低い調子で一所に散歩しないかというのです。

(わたくしはすこしまっていればしてもいいとこたえました。)

私は少し待っていれば為ても可いと答えました。

(かれはまっているといったまま、すぐわたくしのまえのくうせきにこしをおろしました。)

彼は待っていると云ったまま、すぐ私の前の空席に腰を卸しました。

(するとわたくしはきがちってきゅうにざっしがよめなくなりました。)

すると私は気が散って急に雑誌が読めなくなりました。

(なんだかけいのむねにわだかまりがあって、)

何だかKの胸に蟠りがあって、

(だんぱんでもしにこられたようにおもわれてしかたがないのです。)

談判でもしに来られたように思われて仕方がないのです。

(わたくしはやむをえずよみかけたざっしをふせて、たちあがろうとしました。)

私は已を得ず読みかけた雑誌を伏せて、立ち上がろうとしました。

(けいはおちつきはらってもうすんだのかとききます。)

Kは落付き払ってもう済んだのかと聞きます。

(わたくしはどうでもいいのだとこたえて、ざっしをかえすとともに、けいととしょかんをでました。)

私はどうでも可いのだと答えて、雑誌を返すと共に、Kと図書館を出ました。

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