恋人のランジェ

(ふたりきりいすとりげーむきげきのようにかいさいを)

二人きり椅子取りゲーム　喜劇のように開催を

(かのじょはいうかのじょにいうわたしにはいらないわ)

彼女は言う彼女に言う　「私には要らないわ」

(ねこのめにくろいふくながれるはこっけいなうた)

猫の目に黒い服　流れるは滑稽な歌

(まだふたりきりいすとりげーむそしてどちらにもどちらにも)

まだ二人きり椅子取りゲーム　そしてどちらにもどちらにも

(あたえられたのはようひしのけいやくしょ)

与えられたのは羊皮紙の　契約書

(あなたのこえがわたしのこえとひとつになることをいやがった)

アナタの声が私の声と　ひとつになることを嫌がった

(かくしてみてもかくせないんだきみとわたしはおなじだから)

隠してみても隠せないんだ　君と私は同じだから

(さあこのげーむをおえようかそれはふたりのうた)

さあこのゲームを終えようか　それは二人の歌

(まどのそとはいせんをたどりゆくがぜるのむれ)

窓の外廃線を　辿り行くガゼルの群れ

(つたがまくかいだんにうずくまるおさげのこ)

蔦が撒く階段に　うずくまるお下げの子

(かのじょはいうかのじょにいうあなたとはいられないわ)

彼女は言う彼女に言う　「アナタとは居られないわ」

(からからとわらいだすねこのめがふえをふく)

カラカラと笑い出す　猫の目が笛を吹く

(ほんとうはさびしいのかのじょはいう)

本当は寂しいの　彼女は言う

(このはなたばをきみにささげようたおやかなまでにあかいはな)

この花束を君に捧げよう　たおやかなまでに赤い花

(かなしげなかおみみをふさいだふれるとこわれてしまいそうで)

悲しげな顔耳を塞いだ　触れると壊れてしまいそうで

(ねぇきみのこえがききたいなそれはふたりのうた)

ねぇ君の声が聞きたいな　それは二人の歌

(せかいでひとりだけうつくしいきみにいう)

世界で一人だけ　美しい君に言う

(わたしをあいしてよこんなにもこんなにも)

私を愛してよ　こんなにも　こんなにも

(わたしのこえであとすこしだけ)

私の声で　あと少しだけ

(きみにこのうたをうたおうか)

君にこの歌を歌おうか

(なんでもないわきにしないでね)

何でもないわ　気にしないでね

(わたしのことはもう)

私のことは　もう

(わすれてね)

忘れてね

(またいつのひかあえるときまでそのときはもっとあそぼうね)

またいつの日か会える時まで　その時はもっと遊ぼうね

(なりやんでいたこのうたのなかいすにすわるきみにしあわせを)

鳴り止んでいたこの歌の中　椅子に座る君に幸せを

(せかいでひとりだけうつくしいきみにいう)

世界で一人だけ　美しい君に言う

(わたしをあいしてよこんなにもこんなにも)

私を愛してよ　こんなにも　こんなにも

(せかいはひとつだけ)

世界は　一つだけ

(きみがいうひとつだけ)

君が言う　「一つだけ」

(あなたとはいられない)

「あなたとはいられない」

(さようなら)

「さようなら」