怖い話《誘拐されたT君》

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問題文

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(ゆうれいとかはでてこないはなしだけどね、とおじはかたりはじめた。)

幽霊とかは出てこない話だけどね、と叔父は語り始めた。

(おじがしょうがくせいのころ、ともだちにtくんってこがいてがっこうでもそとでもこうどうをともにし)

叔父が小学生の頃、友達にT君って子がいて学校でも外でも行動を共にし

(まいにちのようにあそんでいた、ゆいいつむにのしんゆうだったらしい。)

毎日のように遊んでいた、唯一無二の親友だったらしい。

(あるひ、tくんがいなくなった。)

ある日、T君がいなくなった。

(ゆうかいされたのだ。)

誘拐されたのだ。

(tくんがいなくなるぜんじつのゆうがた、みがおじはtくんのすがたをみている。)

T君がいなくなる前日の夕方、実が叔父はT君の姿を見ている。

(おつかいのかえりにtくんともうひとり、しらないおとなのおとこのひとがりんどうのあるほうこうに)

おつかいの帰りにT君ともう一人、知らない大人の男の人が林道のある方向に

(たのしげにしゃべりながらあるいていくのをもくげきしたのだ。)

楽しげに喋りながら歩いていくのを目撃したのだ。

(もちろんおじはtくんのかぞくやけいさつにそのことをつたえたけど、とおめだったし)

もちろん叔父はT君の家族や警察にその事を伝えたけど、遠目だったし

(これというとくちょうもないおとこだったからゆうりょくなてがかりにはならなかった。)

これという特徴もない男だったから有力な手掛かりにはならなかった。

(さらにゆうかいだというのにみのしろきんのようきゅうやきょうはくといったでんわもなにもなく、)

更に誘拐だというのに身代金の要求や脅迫と言った電話も何もなく、

(はんにんのもくてきがいっさいふめいでそうさもなんこうしたらしい。)

犯人の目的が一切不明で捜査も難航したらしい。

(なんのしんてんもなくいっしゅうかんいじょうすぎたあるひ。)

なんの進展もなく一週間以上過ぎたある日。

(「あれ、あのえあんないろだったか?」)

「あれ、あの絵あんな色だったか?」

(きょうしつのうしろのかべにせいとおのおのがえがいたじがぞうがはってあって)

教室の後ろの壁に生徒各々が描いた自画像が貼ってあって

(tくんのえだけようすがおかしい。)

T君の絵だけ様子がおかしい。

(はいけいやひょうじょうはかわらないけれどtくんのかおいろがみょうにあかみがつよくかんじるのだ。)

背景や表情は変わらないけれどT君の顔色が妙に赤みが強く感じるのだ。

(おじはくらすのともだちにそのことをつたえ、きのせいだといわれたけど、)

叔父はクラスの友達にその事を伝え、気のせいだと言われたけど、

(ふつかみっかとすぎるうちにどんどんあかがつよくなって、)

二日三日と過ぎる内にどんどん赤が強くなって、

(ついにあかおにみたいにかおがまっかになった。)

ついに赤鬼みたいに顔が真っ赤になった。

など

(ここまできたらきのせいだなんて、くらすのだれもいえなくなった。)

ここまで来たら気のせいだなんて、クラスの誰も言えなくなった。

(「みつけてくれないからおこってる」)

「見つけてくれないから怒ってる」

(「きっとあついばしょにいる」)

「きっと暑い場所にいる」

(いろんないけんがでたけどtくんがぐたいてきになにをつたえたいのかけっきょくわからなかった。)

色んな意見が出たけどT君が具体的に何を伝えたいのか結局分からなかった。

(ただ、tくんはいまとてもいたがっている、くるしんでいる、)

ただ、T君は今とても痛がっている、苦しんでいる、

(とおじにはかんじられてなみだがでるほどむねがいたんだそう。)

と叔父には感じられて涙が出る程胸が痛んだそう。

(このえはtくんのりょうしんのてもとにおいたほうがいい、となってきょうしつからきえた。)

この絵はT君の両親の手元に置いた方がいい、となって教室から消えた。

(それからもがっこうのみんなでえきまえやはんかがいでびらをくばったり)

それからも学校のみんなで駅前や繁華街でビラを配ったり

(ぽすたーをはったりもしたけどやっぱりこうかはなくていぜんとして)

ポスターを貼ったりもしたけどやっぱり効果は無くて依然として

(はんにんにつながるてがかりはなかった。)

犯人に繋がる手掛かりはなかった。

(きょうにいたるまで、tくんはゆくえふめいのままだ。)

今日に至るまで、T君は行方不明のままだ。

(けど、とっくのむかしにtくんはもうこのよにいないとかくしんしているとおじはいう。)

けど、とっくの昔にT君はもうこの世にいないと確信していると叔父は言う。

(ほどなくしてちちおやのしごとのつごうでてんこうすることになったおじは)

程なくして父親の仕事の都合で転校する事になった叔父は

(「tくんちにおわかれのあいさつにいこう」)

「T君ちにお別れの挨拶に行こう」

(ははからそういわれきのすすまないままははとともにtくんのいえにむかった。)

母からそう言われ気の進まないまま母と共にT君の家に向かった。

(ゆうはんをごちそうになったりとまりであそんだり、)

夕飯を御馳走になったり泊まりで遊んだり、

(おもいでのたくさんあるtくんのいえをみるのがからかった。)

思い出の沢山あるT君の家を見るのが辛かった。

(しょうすいしきってべつじんのようになったtのははがおうたいにでたげんかんのさきからおじは)

憔悴しきって別人のようになったTの母が応対に出た玄関の先から叔父は

(なにげなくみぎてにあるいまをのぞきこみ、)

何気なく右手にある居間を覗き込み、

(かべにはられたけんのtくんのじがぞうをめにし、すぐさまかおをそらした。)

壁に貼られた件のT君の自画像を目にし、すぐさま顔を逸らした。

(みてしまったことをこころのそこからくやんだ。)

見てしまった事を心の底から悔やんだ。

(tくんのかおがまっくろになっていた。)

T君の顔が真っ黒になっていた。

(せめててんごくでやすらかにすごしているよういまもいのっている、)

せめて天国で安らかに過ごしているよう今も祈っている、

(とおじははなしをしめくくった。)

と叔父は話を締めくくった。

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