怖い話《しなない》
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問題文
(それはささいなけんかがほったんだった。)
それは些細な喧嘩が発端だった。
(れいぞうこのぷりんをかってにたべたとか、たべてないだとか、)
冷蔵庫のプリンを勝手に食べたとか、食べてないだとか、
(ほんとうにそんなちいさなことからはじまったことだった。)
本当にそんな小さな事から始まった事だった。
(いいあいをしているうちに、かこのことまでもちだしたつまにたいして、)
言い合いをしているうちに、過去の事まで持ち出した妻に対して、
(ついかっとなっててをあげてしまったのだ。)
ついカッとなって手をあげてしまったのだ。
(もしかしたらかいしゃのすとれすできづかないうちにたまっていたのかもしれない。)
もしかしたら会社のストレスで気付かないうちに溜まっていたのかもしれない。
(つまをひらてうちしたわたしはおおきなこうかいをむねに、しょうげきでたおれているつまのほうをみると、)
妻を平手打ちした私は大きな後悔を胸に、衝撃で倒れている妻の方を見ると、
(つまのくびがほんらいまがってはいけないほうこうにまがっていた。)
妻の首が本来曲がってはいけない方向に曲がっていた。
(わたしはあたまがまっしろになった。)
私は頭が真っ白になった。
(あせって、あせって、とんでもないことをしてしまったとあせって、)
焦って、焦って、とんでもない事をしてしまったと焦って、
(きづけばわたしはつまをごみぶくろにいれてごみすてばにすてていた。)
気付けば私は妻をゴミ袋に入れてゴミ捨て場に捨てていた。
(なぜこんなことをしてしまったのかはわからない。)
何故こんな事をしてしまったのかは分からない。
(もしかするとそれがわたしのほんしょうというやつなのかもしれない。)
もしかするとそれが私の本性という奴なのかもしれない。
(そのひのよるはねむることもできず、しんしつでふるえながらすごした。)
その日の夜は眠る事も出来ず、寝室で震えながら過ごした。
(そうちょう、わたしはけっしんした。)
早朝、私は決心した。
(ごみすてばからつまのいたいをもどして、しょうじきにけいさつにつたえようと。)
ゴミ捨て場から妻の遺体を戻して、正直に警察に伝えようと。
(そうしてしんしつをでたわたしのしかいに、つまのすがたがみえた。)
そうして寝室を出た私の視界に、妻の姿が見えた。
(りびんぐでいすにすわっていたかのじょは、しんしつからでてきたわたしに)
リビングで椅子に座っていた彼女は、寝室から出てきた私に
(「あら、きょうははやいのね」などとかるくはなしかける。)
「あら、今日は早いのね」などと軽く話しかける。
(わたしはわけがわからなかった。きのう、たしかにかのじょはしんでいた。)
私は訳が分からなかった。昨日、確かに彼女は死んでいた。
(つめたくなっていくかのじょをごみぶくろにいれてはこんだかんかくは)
冷たくなっていく彼女をゴミ袋に入れて運んだ感覚は
(いまでもしっかりとのこっている。)
今でもしっかりと残っている。
(もしかしてそれらはすべてゆめだったのか?)
もしかしてそれらは全て夢だったのか?
(これはゆめでよかったとあんどするばめんなのか?)
これは夢で良かったと安堵する場面なのか?
(「ゆめじゃないわよ、ひとごろし。」)
「夢じゃないわよ、人殺し。」
(とたん、つまからひややかなこえがとどいた。)
途端、妻から冷ややかな声が届いた。
(ゆめではないのならこれはげんかくか?)
夢ではないのならこれは幻覚か?
(「げんかくでもないわ、わたしはたしかにここにいるわよ」)
「幻覚でもないわ、私は確かにここにいるわよ」
(そういっていすにすわったまま、こちらをみてにやりとわらうかのじょにわたしはきょうふした。)
そう言って椅子に座ったまま、此方を見てニヤリと笑う彼女に私は恐怖した。
(なになんだ、いったいなんなんだ。)
何なんだ、一体何なんだ。
(きづけばわたしはいすにすわるつまをひきずりおろしてうまのりになり、)
気付けば私は椅子に座る妻を引き摺り降ろして馬乗りになり、
(かのじょのがんめんをなんども、なんどもなぐっていました。)
彼女の顔面を何度も、何度も殴っていました。
(こわかった、こわかったです。)
怖かった、怖かったです。
(いきかえったつまがわたしにふくしゅうしにかえってきたんじゃないか、)
生き返った妻が私に復讐しに帰ってきたんじゃないか、
(つぎはわたしがつまにころされるのではないか。)
次は私が妻に殺されるのではないか。
(りょうてはわたしのちとつまのちであかぐろく、つまのがんめんはまっかにはれあがっていました。)
両手は私の血と妻の血で赤黒く、妻の顔面は真っ赤に腫れあがっていました。
(ぴくりともうごかないつまのいきをかくにんすると、もういきをしていないことがわかります。)
ピクリとも動かない妻の息を確認すると、もう息をしていない事がわかります。
(ですが、このままだといついきかえるかわかりません。)
ですが、このままだといつ生き返るか分かりません。
(ほうちょうでつまのしんたいをうで、あし、どう、あたまにきりわけてごみぶくろにつめました。)
包丁で妻の身体を腕、足、胴、頭に切り分けてゴミ袋に詰めました。
(これでもういきかえることはできないでしょう。)
これでもう生き返る事は出来ないでしょう。
(ひとのしんたいをほうちょうでばらばらにするというのはおもいのほかたいへんでした。)
人の身体を包丁でバラバラにするというのは思いのほか大変でした。
(つかれたわたしはつまのはいったごみぶくろをりびんぐのすみにおいて、しんしつでねむりました。)
疲れた私は妻の入ったゴミ袋をリビングの隅に置いて、寝室で眠りました。
(あしたになったらけいさつへいって、すべてをしょうじきにはなそうとおもいながら。)
明日になったら警察へ行って、全てを正直に話そうと思いながら。
(つぎのひ、わたしはけいさつへじしゅしようとしんしつをでると、)
次の日、私は警察へ自首しようと寝室を出ると、
(そこにはいすにすわるつまがいました。)
そこには椅子に座る妻がいました。
(「もー、ばらばらにするなんてひどいじゃない」)
「もー、バラバラにするなんて酷いじゃない」
(「つなげるのたいへんだったんだからね」)
「繋げるの大変だったんだからね」