怖い話《陰謀論》

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問題文

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(「わたしのもとかれのはなしなんですけど」)

「私の元彼の話なんですけど」

(とうじ、わかばやしさんにはどうせいしているかれしがいた。)

当時、若林さんには同棲している彼氏がいた。

(かれのなまえをすぎでんさんとしておく。)

彼の名前を杉田さんとしておく。

(すぎたさんはおんこうでまじめなせいかくだったが、あるじけんをさかいにかわってしまった。)

杉田さんは温厚でまじめな性格だったが、ある事件を境に変わってしまった。

(おおきなじしん、そしてしんゆうのしだ。)

大きな地震、そして親友の死だ。

(それいらいかれはしんけいしつでおこりっぽくなった。)

それ以来彼は神経質で怒りっぽくなった。

(それとどうじにかれはたえなことをいうようになった。)

それと同時に彼は妙な事を言うようになった。

(「さやさぁ、じんこうじしんってしってる?」)

「サヤさぁ、人工地震って知ってる?」

(「え?まーくんそういうのしんじてるの?」)

「え?まーくんそういうの信じてるの?」

(かれがいうのは、おおじしんのいくつかはじんこうてきにおこされたもので、)

彼が言うのは、大地震のいくつかは人工的に起こされたもので、

(ひとがすまなくなったひさいちをかいとるためにやっている。)

人が住まなくなった被災地を買い取る為にやっている。

(というはなしだった。)

という話だった。

(どうもかれは、じしんについてしらべるうちに「いんぼうろん」にはまってしまったらしい。)

どうも彼は、地震について調べるうちに「陰謀論」にハマってしまったらしい。

(とっぴょうしもないはなしにわかばやしさんはおどろいたが、)

突拍子もない話に若林さんは驚いたが、

(そのうちおちつくだろうとたかをくくっていた。)

そのうち落ち着くだろうと高を括っていた。

(あるひ、わかばやしさんがあぱーとにかえると、いえのなかにみなれないものがあった。)

ある日、若林さんがアパートに帰ると、家の中に見慣れない物があった。

(うぉーたーさーばーだ。)

ウォーターサーバーだ。

(「まーくん、これどうしたの?」)

「まーくん、これどうしたの?」

(「あぁ、すいどうみずはのうのしょうかたいにだめーじをあたえるからこんどからこっちをつかおう」)

「あぁ、水道水は脳の松果体にダメージを与えるから今度からこっちを使おう」

(れいぞうこをみるとぎゅうにゅうもすべてはきされていた。)

冷蔵庫を見ると牛乳も全て破棄されていた。

など

(かれいわく、ぎゅうにゅうとすいどうみずはのうにあくえいきょうをおよぼすらしい。)

彼曰く、牛乳と水道水は脳に悪影響を及ぼすらしい。

(わかばやしさんはかれとのくらしがすこしふあんになった。)

若林さんは彼との暮らしが少し不安になった。

(それからしばらくしても、かれの「けんきゅう」はおわらなかった。)

それから暫くしても、彼の「研究」は終わらなかった。

(ひこうきをみればけむとれいる(せんとうきなどをつかってちじょうにゆうがいなぶっしつを)

飛行機を見ればケムトレイル(戦闘機等を使って地上に有害な物質を

(さんぷしているとするいんぼうろん)のはなしをし、)

散布しているとする陰謀論)の話をし、

(にゅーすをみればすべていんぼうろんとつなげてかたった。)

ニュースを見れば全て陰謀論と繋げて語った。

(あるひ、わかばやしさんがあぱーとへかえると、)

ある日、若林さんがアパートへ帰ると、

(まっくらなへやのなかですぎでんさんがふるえていた。)

真っ暗な部屋の中で杉田さんが震えていた。

(「まーくん!?どうしたの!?」)

「まーくん!?どうしたの!?」

(「めをつけられた・・・。しらべまわってるのがばれたんだ・・・」)

「目をつけられた・・・。調べ回ってるのがバレたんだ・・・」

(わかばやしさんは、もう「いよいよ」だとおもいびょういんにかかることをていあんした。)

若林さんは、もう「いよいよ」だと思い病院にかかる事を提案した。

(しかしすぎたさんはきくみみをもたなかった。)

しかし杉田さんは聞く耳を持たなかった。

(「おれは、あなんしすのこうさくいんにおわれている。)

「俺は、アナンシスの工作員に追われている。

(ここはあぶないから、じっかにかえってくれ」)

ここは危ないから、実家に帰ってくれ」

(「まーくん、つかれてるんだよ。おちついたられんらくしてね」)

「まーくん、疲れてるんだよ。落ち着いたら連絡してね」

(「こうさくいんにきをつけろ。あかいれいんこーととがすますくをつけたおんなだ」)

「工作員に気を付けろ。赤いレインコートとガスマスクをつけた女だ」

(しりめつれつなはなしに、わかばやしさんはついていけなかった。)

支離滅裂な話に、若林さんはついていけなかった。

(かのじょはじっかにみをよせた。)

彼女は実家に身を寄せた。

(すうじつたってもすぎたさんかられんらくがこない。)

数日経っても杉田さんから連絡が来ない。

(ふあんになったかのじょは、ふたたびどうせいしていたあぱーとへとむかった。)

不安になった彼女は、再び同棲していたアパートへと向かった。

(きりのこいよるだった。)

霧の濃い夜だった。

(あぱーとのめにたどりついたわかばやしさんはめをうたがった。)

アパートの目に辿り着いた若林さんは目を疑った。

(へやのどあのまえに、あかいれいんこーとをきたがすますくのおんながたっていた。)

部屋のドアの前に、赤いレインコートを着たガスマスクの女が立っていた。

(おんなはわかばやしさんにきがつくとはしりさり、きりのなかへときえていった。)

女は若林さんに気が付くと走り去り、霧の中へと消えて行った。

(ふあんになったわかばやしさんは、いそいでへやのなかへはいった。)

不安になった若林さんは、急いで部屋の中へ入った。

(ときすでにおそし。)

時既に遅し。

(すぎたさんはくろーぜっとのなかでくびをくくっていきたえていた。)

杉田さんはクローゼットの中で首を括って息絶えていた。

(じさつとだんていされた。)

自殺と断定された。

(「かれはころされたんです。わたしがしんじなかったから・・・」)

「彼は殺されたんです。私が信じなかったから・・・・」

(わかばやしさんはからだじゅうにあるみほいるをまいて、そんなはなしをしてくれた。)

若林さんは体中にアルミホイルを巻いて、そんな話をしてくれた。

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