涙の対価

(そらをわたるつきふねにきみとみとれおちるなら)

空を渡る月舟に君と見惚れ　堕ちるなら

(たとえそこにひかりがなくてもいいんだ)

仮令　底に光が無くてもいいんだ

(はなそういまはこえもなくかなしいうたもとどかない)

話そう今は　声も無く　悲しい詩も届かない

(あわいいろでぬりつぶしてまだおぼえてる)

淡い色で塗り潰して　まだ憶えてる

(くれなずむこどうにみみをよせて)

暮れ泥む鼓動に耳を寄せて

(さよならのはへんをのみこんだ)

さよならの破片を飲み込んだ

(かぎをかけたへやでひとりきり)

鍵をかけた部屋でひとりきり

(そこでおびえていたの)

そこで怯えていたの

(こわがらないでおしえてよ)

怖がらないで　教えてよ

(なみだがきみをめぐる)

涙が君を巡る

(どうかおぼれてしまわないでよるのすみ)

どうか溺れてしまわないで　夜の隅

(えがいてはきえてくせいぎみたいだ)

描いては消えてく　正義みたいだ

(うみにもえるなつあけをきみとみとれねがうだろう)

海に燃える夏暁を君と見惚れ　願うだろう

(やがておわるたびじのはてにはやさしさを)

やがて終わる旅路の果てには優しさを

(ひとひらのかべんをにぎりしめて)

ひとひらの花弁を握りしめて

(さよならのりゆうをかかえこんだ)

さよならの理由を抱え込んだ

(かぎをかけたへやでひとりきり)

鍵をかけた部屋でひとりきり

(なにをさけんでいるの)

なにを叫んでいるの

(こわがらないでおしえてよ)

怖がらないで　教えてよ

(なみだにかわるゆめを)

涙に代わる夢を

(どうかすててしまわないでよるのすみ)

どうか棄ててしまわないで　夜の隅

(おれたせんをつないでかたちをのこすように)

折れた線を繋いで形を残すように

(だれかをすくいたかったそのためにいきたかった)

“誰かを救いたかった　そのために生きたかった

(でもねこころをひきさいてしまうの)

でもね　心を引き裂いてしまうの

(まだがんばっているよもがいているよ)

まだ頑張っているよ　もがいているよ”

(まるでほんとうのせかいをみているようなかがやきで)

まるで本当の世界を見ているような輝きで

(てらしてかげがさくまで)

照らして　影が咲くまで

(こわがらないでおしえてよ)

怖がらないで　教えてよ

(なみだがきみをめぐる)

涙が君を巡る

(どうかかわらないままでおわりまで)

どうか変わらないままで　終わりまで

(なにかをさがしてみようどんなよるも)

何かを探してみよう　どんな夜も

(いたみにふれたあやまちをぼくらはだいてねむる)

痛みに触れた過ちを僕らは抱いて眠る

(どうかおぼれてしまわないでよるのすみ)

どうか溺れてしまわないで　夜の隅

(ほころびのなかにもこたえはあったんだ)

綻びの中にも　答えはあったんだ