敦盛 キリ

問題文
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(せんかたなみにこまをひかへ)
せん方波に駒を控へ
(あきれはてたるありさまなり)
呆れ果てたる有様なり
(かかりけるところに)
かゝりける處に
(うしろよりくまがえのじろうなおざね)
後より熊谷の次郎直實
(のがさじとおっかけたり)
遁さじと追つ駈けたり
(あつもりも)
敦盛も
(うんまひきかえし)
馬引き返し
(なみのうちものぬいて)
波の打物ぬいて
(ふたうちみうちはうつぞとみえしが)
二打三打ハ打つぞと見えしが
(うまのうえにて)
馬の上にて
(ひっくんでなみうちぎわにおちかさなって)
引つ組んで波打際に落ち重なつて
(ついにうたれてうせしみの)
終に討たれて失せし身の
(いんがはめぐりあいたりかたきはこれぞとうたんとするに)
因果ハめぐり逢ひたり敵ハこれぞと討たんとするに
(あたおばおんにて)
仇をば恩にて
(ほうじのねんぶっしてとむらはるれば)
法事の念佛して弔はるれば
(ついにはともに)
終にハ共に
(んまるべき)
生まるべき
(おなじはちすのれんせいほうし)
同じ蓮の蓮生法師
(かたきにてはなかりけり)
敵にてハなかりけり
(ああととむらいてたびたまえ)
跡弔ひて賜び給え
など
(ああととむらいてたびたまえ)
跡とむらひて賜び給え