砂鉄の国のアリス

(めをさましたぼくに)

目を覚ました僕に

(やさしくこえをかけてくれた)

優しく声をかけてくれた

(そのときからぼくはあなたをまもると)

その時から僕は 貴女を守ると

(そうきめたんだ)

そう決めたんだ

(ふたりだけのくにのあるじ)

二人だけの王国の主

(さてつのくにのおひめさまはぼくに)

砂鉄の国のお姫様は僕に

(なまえをあたえてくれた)

名前を与えてくれた

(ふたりだけのひみつのせかい)

二人だけの秘密のセカイ

(ちっぽけなはこにわのなかでぼくは)

ちっぽけな箱庭の中で僕は

(うまれたのか)

生まれたのか

(ぼくのなまえをよぶたびあなたはわらうんだ)

僕の名前を呼ぶ度貴女は笑うんだ

(もっとあなたにわらってほしくて)

もっと貴女に笑ってほしくて

(ぼくはあなたのなをよんだ)

僕は貴女の名を呼んだ

(せまいこのおうこくでことわりをいだくさてつのひめ)

狭いこの王国で理を抱く砂鉄の姫

(あなたにもらったこのなまえとてもほこらしいから)

貴女に貰ったこの名前とても誇らしいから

(ながいこんじきのかみをあかくいろどるしでーろす)

長い金色の髪を紅く彩るシデーロス

(うるわしきすがたはとてもうつくしく)

麗しき姿はとても美しく

(でもなぜだかこわかった)

でも何故だか怖かった

(ふたりだけのくにのあるじ)

二人だけの王国の主

(さてつのくにのおひめさまはぼくに)

砂鉄の国のお姫様は僕に

(からだをあたえてくれた)

身体を与えてくれた

(ふたりだけのひみつのせかい)

二人だけの秘密のセカイ

(えいえんのやすらぎのなかでぼくはくらすのだろう)

永遠の安らぎの中で僕は暮らすのだろう

(ぼくのからだをみつめてあなたはわらうんだ)

僕の身体を見つめて貴女は笑うんだ

(もっとあなたにわらってほしくて)

もっと貴方に笑ってほしくて

(ぼくはあなたにふれてみた)

僕は貴女に触れてみた

(せまいこのおうこくでことわりをいだくさてつのひめ)

狭いこの王国で理を抱く砂鉄の姫

(あなたとおそろいのこのかみがとてもほこらしいから)

貴女とお揃いのこの髪がとても誇らしいから

(あおいそのひとみはまほうをかけるみおそてぃす)

蒼いその瞳は魔法をかけるミオソティス

(うるわしきすがたはとてもうつくしく)

麗しき姿はとても美しく

(でもなぜだかかなしかった)

でも何故だか哀しかった

(どうしてあなたはないているの？)

どうして貴女は泣いているの？

(こえをだすたびふれてみるたび)

声を出すたび触れてみるたび

(あなたのめからひかりがきえてー)

貴女の眼から光が消えてー

(いつしかきづいてしまったんだ)

いつしか気付いてしまったんだ

(ひびわれたこのくくろせあとろ)

ひび割れたこのククロセアトロ

(ぼくのなまえは？ぼくのからだは？わたしはだれ？)

僕の名前は？ 僕の身体は？私は誰？

(せまいこのろうごくでいつわりをいだくさてつのひめ)

狭いこの牢獄で偽りを抱く蹉跌の姫

(あなたにかけることばはどこかうつろにひびくばかりで)

貴女にかける言葉は何処か虚ろに響くばかりで

(くろくそまるたいくはわたしよりいずるつみのいろ)

黒く染まる体躯は私より出ずる罪の色

(やがてはなにもかもくずれおちて)

やがては何もかも崩れ落ちて

(さぁそっとやすらかにめをとじて)

さぁそっと安らかに目を閉じて