先生 前編 -3-

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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 7982 | 神 | 8.1 | 98.3% | 426.7 | 3465 | 59 | 63 | 2025/04/14 |
2 | subaru | 7599 | 神 | 8.0 | 94.4% | 432.8 | 3493 | 204 | 63 | 2025/04/14 |
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問題文
(そのあいだしげちゃんはあそびにもいけずに、)
そのあいだシゲちゃんは遊びにも行けずに、
(うなだれながらかかしをせっせとつくっていたのだけれど、)
うなだれながらカカシをせっせと作っていたのだけれど、
(そのめのおくにはつぎのいたずらをかんがえるひかりがぴかりとともっていて、)
その目の奥には次のイタズラを考える光がぴかりと点っていて、
(ぼくらにはそれがたのもしかったりめいわくだったりしたものだった。)
僕らにはそれが頼もしかったり迷惑だったりしたものだった。
(いなかのくらしにもすっかりなれて、しげちゃんたちほどではないけれど)
田舎の暮らしにもすっかり慣れて、シゲちゃんたちほどではないけれど
(ぼくのからだにもひやけがめだちはじめたあるひ、「ちんじゅのもりへいこう」)
僕の身体にも日焼けが目立ち始めたある日、「鎮守の森へ行こう」
(というおさそいがかかった。)
というお誘いがかかった。
(ちんじゅのもりはきたのやまのみねにそってずんずんわけいったおくにある。)
鎮守の森は北の山の峰に沿ってズンズン分け入った奥にある。
(たかいやまにかこまれているせいでたいようがひがしやにしよりにあるじかん、そのあたりは)
高い山に囲まれているせいで太陽が東や西よりにある時間、そのあたりは
(ひるまでもくらくて、まうえにのぼっているときでもおいしげるくすのきやひのきのえだや)
昼間でも暗くて、真上に昇っている時でも生い茂るクスノキやヒノキの枝や
(はっぱでひかりがさえぎられ、そのもりのそこをあるくぼくらには)
葉っぱで光が遮られ、その森の底を歩く僕らには
(ほんのかけらしかこぼれてこない。)
ほんのかけらしか零れてこない。
(それだからしげちゃんとたろちゃんのあとをおいかけて、)
それだからシゲちゃんとタロちゃんの後を追いかけて、
(ようやくちんじゅのもりのまんなかにたたずむじんじゃをみつけたときには)
ようやく鎮守の森の真ん中に佇む神社を見つけた時には
(なんだかげんしゅくなきもちになっていた。いままでたいようくらいのねつがあばれまわるばしょで)
なんだか厳粛な気持ちになっていた。今まで太陽位の熱が暴れ回る場所で
(あそんでいたのに、ここはくろいつちにじめんがおおわれ、)
遊んでいたのに、ここは黒い土に地面が覆われ、
(くうきはしっとりしていて、からだのなかからひえていくようなかんじがする。)
空気はしっとりしていて、身体の中から冷えていくような感じがする。
(それまでにのぼったほかのやまやもりともどこかちがう。)
それまでに登ったほかの山や森ともどこか違う。
(「かんばつもほとんどしとらんから」としげちゃんはいった。そのころは)
「カンバツもほとんどしとらんから」とシゲちゃんは言った。そのころは
(かんばつというのがなんなのかよくわからなかったけれど、きっとそれを)
カンバツというのがなんなのか良く分からなかったけれど、きっとそれを
(しないのはここがちんじゅのもりだからなのだろうというのはりかいできた。)
しないのはここが鎮守の森だからなのだろうというのは理解できた。
(ひっそりとしずまりかえった(あとからおもいだすとせみがうるさいくらいに)
ひっそりと静まり返った(後から思い出すと蝉がうるさいくらいに
(ないていたはずだったのに、たしかにそのときはそうおもったのだった))
鳴いていたはずだったのに、確かにその時はそう思ったのだった)
(さんどうをとおって、ちんまりしたじんじゃのほんでんにたどりつく。)
参道を通って、ちんまりした神社の本殿にたどり着く。
(ひかりもかげもななめにやねやいたかべにはしり、それがずっとなんびゃくねんもむかしから)
光も影も斜めに屋根や板壁に走り、それがずっと何百年も昔から
(そこにそうやってはりついているようなきがする。ときどきさらさらと)
そこにそうやって張り付いているような気がする。時どきサラサラと
(はっぱのかたちにゆれて、そんなときにようやくぼくはじかんのかんかくをとりもどした。)
葉っぱの形に揺れて、そんな時にようやく僕は時間の感覚を取り戻した。
(ちゃりんとおとがして、そちらをむくとさいせんばこのまえにしげちゃんがたっている。)
チャリンと音がして、そちらを向くと賽銭箱の前にシゲちゃんが立っている。
(ぼろぼろでこけがはえていて、だれかがおさいせんをかいしゅうしているのかどうかも、)
ボロボロで苔が生えていて、誰かがお賽銭を回収しているのかどうかも、
(ちょっとあやしい。)
ちょっと怪しい。
(じつはえどじだいくらいからのおさいせんがごっそりとたまっているんじゃないかと)
実は江戸時代くらいからのお賽銭がゴッソリと溜まっているんじゃないかと
(のぞいてみたけれど、くらくてよくわからず、)
覗いてみたけれど、暗くて良く分からず、
(それでもごっそりとたまってるかんじでもなかったので、)
それでもゴッソリと溜まってる感じでもなかったので、
(どうやらここへさんぱいにくるひとじたいがめったにいないんだろうとぼくはかんがえた。)
どうやらここへ参拝に来る人自体がめったにいないんだろうと僕は考えた。
(そしてずぼんのぽけっとからじゅうえんだまをとりだしてなげいれる。)
そしてズボンのポケットから十円玉を取り出して投げ入れる。
(そのじんじゃになんのかみさまがたてまつられているのかだれもしらなかったけれど、)
その神社に何の神様が奉られているのか誰も知らなかったけれど、
(ちりんというとてもよいおとがしたので、ぼくはそのおとにてをあわせた。)
チリンというとても良い音がしたので、僕はその音に手を合わせた。
(やがて「もうかえろうぜ」とたろちゃんがいって、けいだいからでたがりはじめる。)
やがて「もう帰ろうぜ」とタロちゃんが言って、境内から出たがり始める。
(こころなしかうちまたでもじもじしている。)
心なしか内股でもじもじしている。
(どうもおしっこをもよおしてきたらしい。くちばかりたっしゃなくせに)
どうもおしっこを催してきたらしい。口ばかり達者なくせに
(こわがりやなめんがあるたろちゃんは、このちんじゅのもりのおくふかくにねむるじんじゃの)
恐がり屋な面があるタロちゃんは、この鎮守の森の奥深くに眠る神社の
(せいいきをおしっこなんかでけがしてしまうことにおそれをかんじているようだった。)
聖域をおしっこなんかで汚してしまうことに畏れを感じているようだった。
(ようするにびびってたわけだ。)
ようするにビビッてたワケだ。
(ぼくとしげちゃんはたろちゃんをいじめることよりも、)
僕とシゲちゃんはタロちゃんを苛めることよりも、
(そのばをはなれることをえらんだ。ぼくもぼくらなりにそのもりになにか)
その場を離れることを選んだ。僕も僕らなりにその森になにか
(ちかよりがたいものをかんじていたのかもしれない。)
近寄りがたいものを感じていたのかも知れない。
(くすのきがえだはをてのようにのばすうすぐらいさんどうをぬけ、またくろつちのやまみちにでる。)
クスノキが枝葉を手のように伸ばす薄暗い参道を抜け、また黒土の山道に出る。
(きがあせっているたろちゃんが)
気が焦っているタロちゃんが
(「あれ、どっちだっけ」ときょろきょろしていると、)
「あれ、どっちだっけ」とキョロキョロしていると、
(しげちゃんが「こっち」ともときたみちのほうをただしくゆびさした。)
シゲちゃんが「こっち」と元きた道の方を正しく指さした。
(ぼくはふとはんたいほうこうへぬけるもうひとつのみちにめをやった。みちはすぐにおれ、)
僕はふと反対方向へ抜けるもうひとつの道に目をやった。道はすぐに折れ、
(こだちのむれにのみこまれてそのさきはみえない。このみちのさきは)
木立の群に飲み込まれてその先は見えない。この道の先は
(どこにつうじているのだろう。むくむくとこうきしんがわきあがってくる。)
どこに通じているのだろう。むくむくと好奇心が湧き上がってくる。
(「こっちはなにがあるの」)
「こっちはなにがあるの」
(そうきくと、しげちゃんは「なんにもないよ」といってさっさと)
そう聞くと、シゲちゃんは「なんにもないよ」と言ってさっさと
(もとのみちをもどりはじめた。)
元の道を戻り始めた。
(ぼくはそのおくへいってみたいゆうわくにかられたけれど、)
僕はその奥へ行ってみたい誘惑に駆られたけれど、
(ひとりでちんじゅのもりにのこされているこころぼそさがじわじわとむねにせまってきて)
ひとりで鎮守の森に残されている心細さがじわじわと胸に迫ってきて
(そのばにたちすくんでしまった。)
その場に立ちすくんでしまった。
(そうしていると、いきなりばさばさとあたまのうえのきのてっぺんあたりから)
そうしていると、いきなりバサバサと頭の上の木のてっぺんあたりから
(おおきなものがとびたつようなおととけはいがして、おもわずみあげると)
大きなものが飛び立つような音と気配がして、思わず見上げると
(そのしゅんかんにおいかぶさるようなきのえだやはっぱやそこからこぼれるひかりのせんいが)
その瞬間に覆い被さるような木の枝や葉っぱやそこから零れる光の繊維が
(ぐるぐるとぼくのしてんをちゅうしんにまわりだしたようなかんかくがあった。)
ぐるぐると僕の視点を中心に回り出したような感覚があった。