先生 前編 -8-

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問題文
(「せかいしっていってね、あなたががっこうでならうのはまださきだけど、)
「世界史って言ってね、あなたが学校で習うのはまだ先だけど、
(さんすうもこくごもしゃかいもりかもきらいならべんきょうじたいがきらいになっちゃうんじゃない。)
算数も国語も社会も理科も嫌いなら勉強自体が嫌いになっちゃうんじゃない。
(べんきょうすることなんてまだまだほかにたくさんあるんだから、)
勉強することなんてまだまだ他にたくさんあるんだから、
(じぶんがすきにになれるものをみつけるのもきっとだいじなことだとおもう。)
自分が好きにになれるものを見つけるのもきっと大事なことだと思う。
(のーともとらなくていいから、きらくにきいてね」)
ノートも取らなくていいから、気楽に聞いてね」
(そうしてせんせいはぼくにせかいのじゅぎょうをしてくれた。はじめてたいけんするじゅぎょうは)
そうして先生は僕に世界の授業をしてくれた。はじめて体験する授業は
(とてもおもしろく、せんせいのくちからかたられるはるかとおいむかしのせかいを、)
とても面白く、先生の口から語られる遥か遠い昔の世界を、
(ぼくはあたまのなかにきらきらとおもいえがいていた。)
僕は頭の中にキラキラと思い描いていた。
(やがてせんせいはちょーくをおき「きょうはここまで」と、こちらをむいた。)
やがて先生はチョークを置き「今日はここまで」と、こちらを向いた。
(えじぷとのふぁらおがじぶんのぴらみっどができていくのを)
エジプトのファラオが自分のピラミッドが出来ていくのを
(ながめていくすがたがとおのき、ぼくははいこうになったはずのしょうがっこうのきょうしつで)
眺めていく姿が遠のき、僕は廃校になったはずの小学校の教室で
(きょうであったばかりのせんせいとふたりでいることをおもいだす。)
今日出会ったばかりの先生と二人でいることを思い出す。
(「どう、おもしろそうでしょう」ときかれたので、うんうんとうなずく。)
「どう、面白そうでしょう」と聞かれたので、うんうんと頷く。
(せんせいはにっこりとわらうと、「よかった。じつはわたし、だいがくでしがくかせんこうだったの。)
先生はにっこりと笑うと、「よかった。実は私、大学で史学科専攻だったの。
(じゅんびなしだから、さんすういがいだとこれしかできなかったんだな」)
準備なしだから、算数以外だとこれしか出来なかったんだな」
(といってぺろりとしたをだした。)
と言ってペロリと舌を出した。
(そのしぐさがとてもかわいらしくて、ぼくはしょっくをうけた。)
その仕草がとても可愛らしくて、僕はショックを受けた。
(つまりまいってしまったのだ。)
つまりまいってしまったのだ。
(「もうおひるね。きょうはおしまい。あしたはもっとはやくきなさい」)
「もうお昼ね。今日はおしまい。明日はもっと早くきなさい」
(だからそんなせんせいのことばにもあっさりとうなずいでしまうのだった。)
だからそんな先生の言葉にもあっさりと頷いでしまうのだった。
(なんだかふわふわしながらこうしゃをあとにして、ひろばならぬこうていで)
なんだかふわふわしながら校舎をあとにして、広場ならぬ校庭で
(ふりむいたぼくをにかいのきょうしつのまどからせんせいがてをふってみおくってくれた。)
振り向いた僕を二階の教室の窓から先生が手を振って見送ってくれた。
(ぶんぶんとぼくもまけないくらいてをふったあと、)
ぶんぶんと僕も負けないくらい手を振ったあと、
(あしたもぜったいくるぞとこころにちかってきろについた。)
明日も絶対くるぞと心に誓って帰路についた。
(やっぱりかえるにはあのちんじゅのもりをぬけなくてはならないときかされたときは)
やっぱり帰るにはあの鎮守の森を抜けなくてはならないと聞かされた時は
(げっ、とおもったけれどきょうあったことをおもいかえしながら)
ゲッ、と思ったけれど今日あったことを思い返しながら
(あしをむいしきにうごかしているときがつくともりをぬけていた。)
足を無意識に動かしていると気がつくと森を抜けていた。
(くるときはあんなにうすぐらくてこわいかんじがしたのに、)
くる時はあんなに薄暗くて怖い感じがしたのに、
(こんどはやけにあっさりととおりぬけてしまったものだ。)
今度はやけにあっさりと通り抜けてしまったものだ。
(そのあとぼくはいぶきのきのあるいえにかえって、ばあちゃんがつくってくれた)
そのあと僕はイブキの木のある家に帰って、ばあちゃんが作ってくれた
(そうめんをたべ、ほうりなげていたしゅくだいをすこしやってからひるねをして、)
そうめんを食べ、放り投げていた宿題を少しやってから昼寝をして、
(よっちゃんとそのともだちにまざってかんけりなどをしているといちにちがおわった。)
ヨッちゃんとその友だちに混ざって缶蹴りなどをしていると一日が終わった。
(そのよる、しげちゃんがいないいえはやけにしずかで、でんきをけしてからぼくは)
その夜、シゲちゃんがいない家はやけに静かで、電気を消してから僕は
(かやごしにてんじょうのきめをみあげて、)
蚊帳越しに天井の木目を見上げて、
(きょうであったせんせいとあのちいさながっこうのことをかんがえた。)
今日出会った先生とあの小さな学校のことを考えた。
(けさ、べんきょうなんかきらいでそとにとびだしたのに、いまははやくあのがっこうに)
今朝、勉強なんか嫌いで外に飛び出したのに、今は早くあの学校に
(いきたくてしかたがなかった。なんだかふしぎだった。)
行きたくて仕方がなかった。なんだか不思議だった。
(つぎのひのあさ、あさごはんをたべるとすぐにぼくはいえをでた。)
次の日の朝、朝ごはんを食べるとすぐに僕は家を出た。
(よっちゃんにやっぱり「どこいくの」ときかれたが、)
ヨッちゃんにやっぱり「どこ行くの」と聞かれたが、
(「どっか」とだけこたえてふりきった。きょうはりゅっくさっくはなし。)
「どっか」とだけ応えて振り切った。今日はリュックサックはなし。
(ほぞんしょくがいるようなだいぼうけんではないとわかったからだ。)
保存食がいるような大冒険ではないと分かったからだ。
(きのうとおなじようにちんじゅのもりにはいり、うすぐらいきのあーちをもぐったけれど)
昨日と同じように鎮守の森に入り、薄暗い木のアーチを潜ったけれど
(きょうはそんなにこわくなかった。だれもいないあぜみちをぬけ、)
今日はそんなに怖くなかった。誰もいない畦道を抜け、
(さかみちをのぼるとがっこうがみえてくる。)
坂道を登ると学校が見えてくる。
(そのにかいのまどべにせんせいがいる。ほおづえをついてぼうっとそとをみている。)
その二階の窓辺に先生がいる。頬杖をついてぼうっと外を見ている。
(ぼくはてをふる。こんどはすぐにきづいてくれた。)
僕は手を振る。今度はすぐに気づいてくれた。
(「いらっしゃい」「いまいきます」そうしてきょうしつにはいる。)
「いらっしゃい」「いま行きます」そうして教室に入る。
(きょうもほかのこどもたちはこないみたいだ。てもちぶさただったせんせいは)
今日もほかの子どもたちはこないみたいだ。手持ち無沙汰だった先生は
(うれしそうにぼくをむかえて、「きのうのつづきからね」とちょーくをにぎった。)
嬉しそうに僕を迎えて、「昨日の続きからね」とチョークを握った。
(しゅりーまんがとろやいせきをはっくつしたはなしからはじまって、えーげかいに)
シュリーマンがトロヤ遺跡を発掘した話から始まって、エーゲ海に
(さかえたみけーねぶんめいがほろびたあと、てっきぶんかのじだいにはいるとぎりしあでは)
栄えたミケーネ文明が滅びた後、鉄器文化の時代に入るとギリシアでは
(たくさんのぽりすというとしこっかがうまれた、ということをまなんだ。)
たくさんのポリスという都市国家が生まれた、ということを学んだ。
(そのなかからあてねやぱるたといったゆうりょくなぽりすがあらわれて、)
その中からアテネやパルタといった有力なポリスが現れて、
(ひがしのだいていこくあけめねすちょうぺるしあのしんこうにたいこうしたのがぺるしあせんそう。)
東の大帝国アケメネス朝ペルシアの侵攻に対抗したのがペルシア戦争。
(ぺるしあをげきたいしたあとにかくぽりすがあつまってけっせいしたのがでろすどうめい。)
ペルシアを撃退したあとに各ポリスが集まって結成したのがデロス同盟。
(そのめいしゅあてねと、べつのどうめいをつくったすぱるたがたたかったのが)
その盟主アテネと、別の同盟を作ったスパルタが戦ったのが
(ぺろぽねそすせんそう。しゅうぐせいじにおちいってじゃくたいかあしたあてねや)
ペロポネソス戦争。衆愚政治に陥って弱体化明日アテネや
(すぱるたにかわってたいとうしてきたてーべ・・・・・)
スパルタに代わって台頭してきたテーベ・・・・・
(「てーべ」)
「テーベ」
(「てーべ」)
「テーベ」
(せんせいのちょーくがそこでとまる。きょうだんにたつせなかがかたくなったのがわかった。)
先生のチョークがそこで止まる。教壇に立つ背中が硬くなったのが分かった。
(どうしたんだろうとおもうぼくのまえでせんせいははっとわれにかえると)
どうしたんだろうと思う僕の前で先生はハッと我に返ると
(すぐにこくばんけしをてにとって、「てーべ」を「てーばい」にかきなおした。)
すぐに黒板消しを手にとって、「テーベ」を「テーバイ」に書き直した。