先生 中編 -3-

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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 7762 | 神 | 7.9 | 97.2% | 442.0 | 3530 | 99 | 65 | 2025/04/27 |
2 | みかちゃん | 4965 | B | 5.1 | 97.0% | 691.2 | 3540 | 108 | 65 | 2025/04/26 |
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問題文
(おとなでもなんとかかがまずにとおれるくらいのたかさのどうくつは)
大人でもなんとか屈まずに通れるくらいの高さの洞窟は
(ところどころまがりくねっていて、かいちゅうでんとうをまえにむけていても)
ところどころ曲がりくねっていて、懐中電灯を前に向けていても
(さきはあんまりみとおせない。まえをいくしげちゃんがそろそろとあしをすすめ、)
先はあんまり見通せない。前を行くシゲちゃんがソロソロと足を進め、
(そのつまさきがいしをけっとばすたびにぼくはそのおとにひびいてちぢみあがった。)
その爪先が石を蹴っ飛ばすたびに僕はその音に響いて縮み上がった。
(ふたりならんですすむにはせますぎる。おくからはかすかなくうきのながれと、)
二人並んで進むには狭すぎる。奥からはかすかな空気の流れと、
(かびくさいようないやなにおいがただよってくる。)
カビ臭いような嫌な匂いが漂ってくる。
(どきどきとしんぞうがなる。「もうすぐだ。ちゃんとあるけよ」と)
ドキドキと心臓が鳴る。「もうすぐだ。ちゃんと歩けよ」と
(しげちゃんがぼくをはげます。)
シゲちゃんが僕を励ます。
(ぼくのめはまがりくねるくらやみに、ありもしないまぼろしをみていた。)
僕の目は曲がりくねる暗闇に、ありもしない幻を見ていた。
(それはひらひらとしている。ん?とおもってじっとみていると)
それはヒラヒラとしている。ん?と思ってじっと見ていると
(あかいようなはいいろのようなぬのがまがりかどのさきにみえかくれしている。)
赤いような灰色のような布が曲がり角の先に見え隠れしている。
(なんどかくをまがってもそれはひらひらとそのさきへきえていく。)
何度角を曲がってもそれはヒラヒラとその先へ消えていく。
(どうしてこんなまぼろしをみるんだろうとぼくはぼんやりかんがえていた。)
どうしてこんな幻を見るんだろうと僕はぼんやり考えていた。
(そのあかいぬのがきもののすそにみえたとき、)
その赤い布が着物の裾に見えた時、
(はじめてこれはまぼろしじゃないんじゃないかとおもえてこわくなった。)
初めてこれは幻じゃないんじゃないかと思えて怖くなった。
(しげちゃんはみえていないのか、なにもいわない。)
シゲちゃんは見えていないのか、なにも言わない。
(でもそれはどうしようもなくひらひらしていて、)
でもそれはどうしようもなくヒラヒラしていて、
(ぼくのなかではいったいなんなんだとさけびながらはしっておいかけたいというおもいと、)
僕の中では一体なんなんだと叫びながら走って追いかけたいという思いと、
(このままこうたいしてにげだしたいきもちがせめぎあっていた。)
このまま後退して逃げ出したい気持ちがせめぎあっていた。
(ひんやりしたよつゆがてんじょうからぽとりとおちて、それがあしくびにはねる。)
ひんやりした夜露が天井からポトリと落ちて、それが足首に跳ねる。
(やみのなかにぼくとしげちゃんのいきづかいだけがながれて、)
闇の中に僕とシゲちゃんの息遣いだけが流れて、
(そのむこうにあかいきもののすそがひらひらとゆらめく。)
その向こうに赤い着物の裾がヒラヒラと揺らめく。
(それはやっぱりげんじつかんがうすくて、けれどそくしんぶつがあいまいなせいとしのさかいを)
それはやっぱり現実感が薄くて、けれど即身仏があいまいな生と死の境を
(すぅっとこえたように、このどうくつにもどこからかそんなさかいめがあって、)
すぅっと超えたように、この洞窟にもどこからかそんな境目があって、
(それをすぅっとこえたしゅんかんにあのまぼろしがげんじつになって)
それをすぅっと超えた瞬間にあの幻が現実になって
(こんどはぼくらのそんざいがうすくなっていくんじゃないかな。)
今度は僕らの存在が薄くなっていくんじゃないかな。
(なんてことをいろいろかんがえる。なんだかくらくらしてきた。)
なんてことを色々考える。なんだかくらくらしてきた。
(「ついた」)
「ついた」
(しげちゃんがあしをとめる。ぼくはそのかたごしにのぞく。)
シゲちゃんが足を止める。僕はその肩越しに除く。
(あしもとをてらしていたかいちゅうでんとうをゆっくりとあげていく。)
足元を照らしていた懐中電灯をゆっくりと上げていく。
(くらやみのなかにしろいものがうかびあがる。しんぞうがとびはねた。)
暗闇の中に白いものが浮かび上がる。心臓が飛び跳ねた。
(ぞぞぞっとせすじにおかんがはしる。しろいものはえんけいのどうくつのだんめんぜんたいに)
ゾゾゾッと背筋に悪寒が走る。白いものは円形の洞窟の断面全体に
(ひろがっていて、とおせんぼをするようにたちふさがっている。)
広がっていて、とおせんぼをするように立ち塞がっている。
(まるいいわががっしりとはまりこんでいるのだ。こんなにおおきいとはおもわなかった。)
丸い岩ががっしりと嵌り込んでいるのだ。こんなに大きいとは思わなかった。
(めのまえいっぱいにそのしろいものがどっしりとかまえている。)
目の前いっぱいにその白いものがどっしりと構えている。
(かおだ。)
顔だ。
(かおにゅうどう。なまくびのようにどうくつのおくにつまっているいわ。)
顔入道。生首のように洞窟の奥に詰まっている岩。
(じんこうのひかりにてらされて、そのしろいひょうじょうがうかびあがる。)
人工の光に照らされて、その白い表情が浮かび上がる。
(にんげんのものというにはおおきすぎるそのみけんにはしわがより、)
人間のものというには大きすぎるその眉間には皺がより、
(くちはへのじにむすばれてはなのあたまにもよこにしわがはいっている。)
口はへの字に結ばれて鼻の頭にもヨコに皺が入っている。
(そしてそのめはぐりんとむかれてこちらをすごいはくりょくでにらんでいる・・・・・)
そしてその目はぐりんと剥かれてこちらを凄い迫力で睨んでいる・・・・・
(さけびそうになったぼくをむかえてくれたのはしげちゃんのひとことだった。)
叫びそうになった僕を迎えてくれたのはシゲちゃんの一言だった。
(「よかった。まだおこってない」)
「よかった。まだ怒ってない」
(ふっ、といきがもれる。しげちゃんのこえもふるえているけど、)
ふっ、と息が漏れる。シゲちゃんの声も震えているけど、
(ちからづよいことばだった。たしかにかおはいかりをこたえているようにみえる。)
力強い言葉だった。確かに顔は怒りを堪えているように見える。
(しげちゃんは「こないだきたときも、こんなだった」といってこわばったかおでわらう。)
シゲちゃんは「こないだきた時も、こんなだった」と言って強張った顔で笑う。
(かおにゅうどうはよくないことがおこるまえぶれにいかりのかおにかわるという。)
顔入道は良くないことが起こる前触れに怒りの顔に変わるという。
(いわにえがかれたかおのひょうじょうがかわるなんてあるもんかとおもうのとはべつに、)
岩に描かれた顔の表情が変わるなんてあるもんかと思うのとは別に、
(こころのどこかではひょっとして、とおびえざるをえなかったのだけれど、)
心のどこかではひょっとして、と怯えざるを得なかったのだけれど、
(これをみるとたろちゃんがどうくつにはいるのをいやがったわけがわかる。)
これを見るとタロちゃんが洞窟に入るのを嫌がった訳がわかる。
(むかしからそうだったのか、それともおまつりとしてかおのぬりかえがされていたときに、)
昔からそうだったのか、それともお祭りとして顔の塗り替えがされていた時に、
(さいごのだれかがこんなふうにしてしまったのかはわからないけれど、)
最後の誰かがこんなふうにしてしまったのかはわからないけれど、
(まるでこれからおこりだすすんぜんのようなかおをしているのだ。)
まるでこれから怒り出す寸前のような顔をしているのだ。
(これではもういちどみにこようというゆうきはなかなかわかない。)
これではもう一度見にこようという勇気はなかなかわかない。
(しまった。そうぞうしてしまった。ぼくのひざはぶるぶるとふるえはじめる。)
しまった。想像してしまった。僕の膝はぶるぶると震え始める。
(いまにもかおがかわって、おこりだすところをそうぞうしてしまったのだ。もういけない。)
今にも顔が変わって、怒り出すところを想像してしまったのだ。もういけない。
(だめだ。のっぺりしたまるいいわにえがかれただけのかおがぐわぐわをうごめいて、)
ダメだ。のっぺりした丸い岩に描かれただけの顔がぐわぐわを蠢いて、
(なにかおそろしいどなりこえをあげる、)
なにか恐ろしい怒鳴り声を上げる、
(そんなそうぞうがあたまのなかでくりかえしやってくるのだ。)
そんな想像が頭の中で繰り返しやってくるのだ。
(めにはほのおがやどり、ひきむすばれたくちはひらいて、あかいのどときばが・・・・・)
目には炎が宿り、引き結ばれた口は開いて、赤い喉と牙が・・・・・
(くうきはしーんとひえている。はりつめたようなしずけさだった。)
空気はシーンと冷えている。張り詰めたような静けさだった。
(たいじするしろいかおのすぐしたにはとがったいしがつきでていて、)
対峙する白い顔のすぐ下には尖った石が突き出ていて、
(そのいしにはしろいものがこびりついている。)
その石には白いものがこびりついている。
(いわにかおをえがいたときのとりょうがついてしまったにちがいないのだが、)
岩に顔を描いた時の塗料がついてしまったに違いないのだが、
(そのときのぼくにはまるでおれたきばのようにしかみえなかった。)
その時の僕にはまるで折れた牙のようにしか見えなかった。