サイレント・アテンダンス

(ひをおうごとにのびてきたきりくちめぶくえだのさき)

日を追うごとにのびてきた　切口芽吹く枝の先

(あめはざらついたてでみらいをていぎした)

雨はざらついた手で　未来を定義した

(めだちたがりのかみなりがえんとつじょうのかみさまに)

目立ちたがりの雷が　煙突上の神様に

(そのぽすとはだれだってつとまりゃしないよと)

「そのポストは誰だって勤まりゃしないよ」と

(かけたとがよわよわしくみえてひらこうとはせずにおびえてて)

欠けた戸が弱々しく見えて　開こうとはせずに怯えてて

(かくれきらないてあしだしてひきょうさにくずれおちた)

隠れきらない手足出して　卑怯さに崩れ落ちた

(いまはなにをかなしむのさふこうはゆびをうばいとるのか)

今は　何を悲しむのさ　不幸は指を奪い取るのか

(はりせんぼんやくそくできないゆうじょうなんてさ)

針千本約束できない　友情なんてさ

(なみだかれたいずみのおくみれないめはたださけびつづけた)

涙　枯れた　泉の奥　見れない　目はただ叫び続けた

(よんだってへんじはくるはずない)

呼んだって　返事は来るはずない

(かげのうつらないじゅうがつのこと)

影の映らない10月のこと

(なりやまないあめとかぜがにげるまもなくまよいだす)

鳴りやまない雨と風が　逃げる間もなく迷いだす

(りだつごうせいなぎわにしめるなきがらと)

離脱合成な際に　湿る亡骸と

(ひるどきかれはとうとつにどろのついたてでてんをつく)

昼時、彼は唐突に　泥のついた手で天を突く

(はいけいきさまきえなってぼくはかれにおとされた)

「拝啓、貴様、消えな」って　僕は彼に落とされた

(あおじろいでんちくどうのわれたかけらりくつに)

青白い　電池駆動の　割れた　欠片理屈に

(なみだでぬれたことばがちをはく)

涙で濡れた言葉が　血を吐く

(せなかのはねはむしれなくてみためもひととはちがっている)

背中の羽はむしれなくて　見た目も人とは違っている

(こせきすらもうどこにもなくわたしはそんざいしない)

戸籍すらもうどこにもなく　私は存在しない

(いしきされているくせに)

意識されているくせに

(いらないいらないほんとうはほしいりふじんなこどものうみにせいそく)

いらない　いらない　本当は欲しい　理不尽な子供の海に生息

(さんびゃくめーとるのまものおもちゃにははやすぎるわ)

300メートルの魔物　おもちゃにははやすぎるわ

(みえないひはあいきこえてこないむくちなさいばんはおわらない)

見えない　非は愛　聞こえてこない　無口な裁判は終わらない

(さんざんなめはごーるをしらずらんぼうなあすをつくりだしてく)

散々な目は　ゴールを知らず　乱暴な明日を作り出してく

(えんせいてきようけんつとめたえんばんないふかくして)

厭世的要件務めた　円盤ナイフ隠して

(しょうねんきどったかみなりにしゃくめいしにいく)

少年気取った雷に　釈明しに行く

(つめたいおりにとじこめられはばたくことなくいのちつきますから)

冷たい檻に閉じ込められ　羽ばたくことなく命尽きますから

(おねがいですかみなりさまぼくをにんげんにしてよ)

お願いです雷様　ぼくを人間にしてよ

(やめないやめないあきらめれないくだらなくないいまをいきてんだろ)

辞めない　病めない　諦めれない　くだらなくない　今を生きてんだろ

(もうたくさんかなしんだろおれのばんはまだですか)

もうたくさん悲しんだろ　俺の番はまだですか

(くれないまたないにげないいわない)

暮れない　待たない　逃げない　言わない

(ひなたにもどるそのひまでまだ)

日向に戻るその日までまだ

(たいようのようにまぶしいめがそうぞうとあくいのもとにひらく)

太陽のように眩しい芽が　創造と悪意のもとに開く