怖い話《笑う男》

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問題文
(かいしゃがえりのでんしゃ、じこくは23じすぎ。)
会社帰りの電車、時刻は23時過ぎ。
(よるもおそく、じょうきゃくはまばらだった。)
夜も遅く、乗客はまばらだった。
(おれはいつものようにすまほをながめながら、ぼんやりときたくじかんをすごしていた。)
俺はいつものようにスマホを眺めながら、ぼんやりと帰宅時間を過ごしていた。
(ふとかおをあげると、むかいのざせきにひとりのおとこがすわっていた。)
ふと顔を上げると、向かいの座席に一人の男が座っていた。
(にこり、とわらっている。)
にこり、と笑っている。
(わるいえがおではない、だが、そのひょうじょうはきみょうだった。)
悪い笑顔ではない、だが、その表情は奇妙だった。
(なにかをたくらんでいるような、いや、それいじょうに「にんげんらしさ」がない。)
何かを企んでいるような、いや、それ以上に「人間らしさ」がない。
(めをみひらき、はをむきだしにして、ただわらっている。)
目を見開き、歯を剥き出しにして、ただ笑っている。
(きもちわるい。)
気持ち悪い。
(そうおもいながら、すまほにしせんをもどす。)
そう思いながら、スマホに視線を戻す。
(しかし、どうしてもいしきのはしにこびりついてはなれない。)
しかし、どうしても意識の端にこびりついて離れない。
(ふたたびかおをあげると、やはりおとこはわらっていた。)
再び顔を上げると、やはり男は笑っていた。
(またたきもせず、びどうだにせず。)
瞬きもせず、微動だにせず。
(でんしゃがえきにとまり、なんにんかがのりおりする。)
電車が駅に止まり、何人かが乗り降りする。
(しせんをかんじなくなったのでほっとしてかおをあげると、おとこのすがたはきえていた。)
視線を感じなくなったのでほっとして顔を上げると、男の姿は消えていた。
(ーーーいや、ちがう。)
ーーーいや、違う。
(しゃりょうのはし、どあのちかくにたち、こちらをじっとみていた。)
車両の端、ドアの近くに立ち、こちらをじっと見ていた。
(まだわらっている。)
まだ笑っている。
(ぞわり、とせすじがひえる。)
ぞわり、と背筋が冷える。
(なぜいどうした?なぜこっちをみている?)
なぜ移動した?なぜこっちを見ている?
(ぐうぜんじゃない、おれにきょうみをもっている。)
偶然じゃない、俺に興味をもっている。
(つぎのえきでおりよう。)
次の駅で降りよう。
(でんしゃがとまるとどうじにたちあがり、すぐにほーむにあしをふみだした。)
電車が停まると同時に立ち上がり、すぐにホームに足を踏み出した。
(どあがしまり、でんしゃははしりさる。)
ドアが閉まり、電車は走り去る。
(「・・・きのせいか?」)
「・・・気のせいか?」
(あんどした。が、いえまでのかえりみち、ずっとしせんをかんじていた。)
安堵した。が、家までの帰り道、ずっと視線を感じていた。
(ふりかえるゆうきはない。)
振り返る勇気はない。
(へやにはいり、すぐにかぎをかける。)
部屋に入り、すぐに鍵をかける。
(きのせいだ、そうにちがいない。)
気のせいだ、そうに違いない。
(ふろにはいり、ふとんにもぐりこんだ。)
風呂に入り、布団に潜り込んだ。
(しごとのつかれもあってすぐにねむれそうだった。)
仕事の疲れもあってすぐに眠れそうだった。
(ーーだが、よなかにふとめがさめた。)
ーーだが、夜中にふと目が覚めた。
(なにかのおとがしたきがする。)
何かの音がした気がする。
(かり・・・かり・・・)
カリ・・・カリ・・・
(どこからか、なにかをけずるようなおとがする。)
どこからか、何かを削るような音がする。
(みみをすませる。)
耳を澄ませる。
(かり・・・かり・・・)
カリ・・・カリ・・・
(・・・げんかんのほうだ。)
・・・玄関の方だ。
(なにかが、おれのへやのどあをひっかいている。)
何かが、俺の部屋のドアを引っ掻いている。
(ぞっとして、ふとんのなかでいきをひそめる。)
ぞっとして、布団の中で息を潜める。
(すまほをてさぐりでさがし、ときまをみる。3じ33ぷん、ふざけたじかんだ。)
スマホを手探りで探し、時間を見る。3時33分、ふざけた時間だ。
(このままあさまでたえれば・・・そうおもったしゅんかん、おとがとまった。)
このまま朝まで耐えれば・・・そう思った瞬間、音が止まった。
(はりつめたくうきがへやをつつむ。)
張り詰めた空気が部屋を包む。
(・・・なにもきこえない。だが、たしかに「いる」。)
・・・何も聞こえない。だが、確かに「いる」。
(おれはかくごをきめ、いをけっしてそっとめをあけた。)
俺は覚悟を決め、意を決してそっと目を開けた。
(しかいのはしに、なにかがたっている。)
視界の端に、何かが立っている。
(くらやみのなか、ぼんやりとうかびあがるかお。こちらをじっとみているーー)
暗闇の中、ぼんやりと浮かび上がる顔。こちらをじっと見ているーー
(おとこだ、わらってる。)
男だ、笑ってる。
(はがみえるほどのえがお、くちがさけそうなほどくちがあいている。)
歯が見えるほどの笑顔、口が裂けそうなほど口が開いている。
(しかし、いじょうなのはそこではなかった。)
しかし、異常なのはそこではなかった。
(かおが、はがれていた。)
顔が、剥がれていた。
(ひふがさけ、あかぐろいにくがむきだしになり、かわいたちがこびりついている。)
皮膚が裂け、赤黒い肉が剥き出しになり、乾いた血がこびりついている。
(めのぶぶんはくぼみ、くちのなかにはなんぼんもかさなったはがみえた。)
目の部分はくぼみ、口の中には何本も重なった歯が見えた。
(ーーいや、「みせている」。)
ーーいや、「見せている」。
(「おまえのかおも、わらわせてやるよ」)
「お前の顔も、笑わせてやるよ」
(かわいたこえがきこえた。)
乾いた声が聞こえた。
(つぎのしゅんかん、おとこのてがおれのかおにのびた。)
次の瞬間、男の手が俺の顔に伸びた。
(ゆびのつめははがれ、にくのすきまからしろいほねがのぞいていた。)
指の爪は剥がれ、肉の隙間から白い骨がのぞいていた。
(そのてがおれのほおにふれる。)
その手が俺の頬に触れる。
(ひんやりとしていて、ぬめりがある。)
ひんやりとしていて、ぬめりがある。
(ぐにゃ、なにかがながれた。)
ぐにゃ、何かが流れた。
(あつくて、どろりとしたかんしょく。)
熱くて、ドロリとした感触。
(「いたい」というまもなく、おれのひふがひっぱられる、さける。)
「痛い」と言う間も無く、俺の皮膚が引っ張られる、裂ける。
(ぴちっーーわらえ。)
ぴちっーー笑え。
(ぱちんっーーわらえ。)
ぱちんっーー笑え。
(ぐちゅっ。)
ぐちゅっ。
(「ぎゃあああああ!!!!」)
「ぎゃあああああ!!!!」
(おれはぜっきょうした。くらやみのなか、おとこはただわらっていた。)
俺は絶叫した。暗闇の中、男はただ笑っていた。
(・・・あさ、きがつくと、へやにいた。)
・・・朝、気が付くと、部屋にいた。
(いつもどおりのけしき、きのうのきょうふがうそのようにかんじられる。)
いつも通りの景色、昨日の恐怖が嘘の様に感じられる。
(「ゆめ・・・?」)
「夢・・・?」
(ふとすまほのいんかめらをひらく。うつったじぶんのかおをみて、おれはいきをのんだ。)
ふとスマホのインカメラを開く。映った自分の顔を見て、俺は息を呑んだ。
(わらっていた。)
笑っていた。
(くちびるがさけるほどの、いたいたしいえがおで。)
唇が裂けるほどの、痛々しい笑顔で。