怖い話《ある幸運な男の苦悶》

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問題文
(あゆかわさんは、しょうじょのゆうれいにずっとまもられているという。)
鮎川さんは、少女の幽霊にずっと守られているという。
(それをはじめてじかくしたのは、)
それを初めて自覚したのは、
(とあるふゆのひにでいすいしながらきとについているときだった。)
とある冬の日に泥酔しながら帰途に就いている時だった。
(あかしんごうをむししておうだんほどうをわたっていたあゆかわさんは、)
赤信号を無視して横断歩道を渡っていた鮎川さんは、
(おもいがけずずるりとすべってころんでしまった。)
思いがけずずるりと滑って転んでしまった。
(そのひはとてもさむいひで、ろめんもひどくとうけつしていたのだが、)
その日はとても寒い日で、路面もひどく凍結していたのだが、
(でいすいじとくゆうのはんだんのうりょくのていかがわざわいして)
泥酔時特有の判断能力の低下が災いして
(ついふよういなあるきかたをしてしまったのだという。)
つい不用意な歩き方をしてしまったのだという。
(そしておりわるく、そのときとらっくがきていた。)
そして折悪く、その時トラックが来ていた。
(くるまとのきょりがたしょうあったため、しんごうむししても)
車との距離が多少あったため、信号無視しても
(むりなくわたりきれるだろうとはんだんしてふみだしたのだったが、)
無理なく渡り切れるだろうと判断して踏み出したのだったが、
(そのうかつがここにきてあゆかわさんのめいうんをうばいさろうとしていた。)
その迂闊が此処にきて鮎川さんの命運を奪い去ろうとしていた。
(あ、これはしんだ。)
あ、これは死んだ。
(わるいことばっかりしてきたからじごくいきだな。)
悪いことばっかりしてきたから地獄行きだな。
(そんなことをおもいながら、せまるとらっくのてーるらんぷを)
そんなことを思いながら、迫るトラックのテールランプを
(あぜんとみつめていたあゆかわさんだったが、しかし。)
唖然と見つめていた鮎川さんだったが、しかし。
(かれととらっくのあいだに、とつぜんすっとひとかげがあらわれた。)
彼とトラックの間に、突然すっと人影が現れた。
(くろかみに、せーらーふくのしょうじょだったそうだ。)
黒髪に、セーラー服の少女だったそうだ。
(そのしょうじょがあらわれたとたん、いままでまっすぐこちらにつっこんできていたとらっくが)
その少女が現れた途端、今まで真っ直ぐこちらに突っ込んできていたトラックが
(まよこにすりっぷして、そのままごうおんをたててでんちゅうにげきとつした。)
真横にスリップして、そのまま轟音を立てて電柱に激突した。
(「きゅうしにいっしょうをえた、ってよりも・・・ただただこわくてなぁ。)
「九死に一生を得た、ってよりも・・・ただただ怖くてなぁ。
(なにしろしってるかおだったから、どういうことだってこんらんするしかなかったよ」)
何しろ知ってる顔だったから、どういうことだって混乱するしかなかったよ」
(あゆかわさんはそのあと、けいさつからじじょうちょうしゅをうけたもののすぐにかいほうされた。)
鮎川さんはその後、警察から事情聴取を受けたもののすぐに解放された。
(けいれきがけいれきなため、たしょうくいさがられはしたものの、)
経歴が経歴な為、多少食い下がられはしたものの、
(しんごうむしをしたことにたいするげんじゅうちゅういくらいですんだそうだ。)
信号無視をしたことに対する厳重注意くらいで済んだそうだ。
(そのあとも、あゆかわさんはなんどかしにそうなめにあった。)
その後も、鮎川さんは何度か死にそうな目に遭った。
(そしてそのたびに、せーらーふくのしょうじょがめのまえにあらわれて・・・)
そしてそのたびに、セーラー服の少女が目の前に現れて・・・
(かのじょがしゅつげんするのにあわせて、)
彼女が出現するのに合わせて、
(まぢかまでせまっていたしがとおのいていったのだという。)
間近まで迫っていた死が遠のいていったのだという。
(いざかやでささいないいあらそいからあらごとにはってんしてろじうらにひきこまれ、)
居酒屋で些細な言い争いから荒事に発展して路地裏に引き込まれ、
(すうにんがかりでたこなぐりにされてしをかくごしたときも、)
数人がかりでタコ殴りにされて死を覚悟した時も、
(かのじょがあらわれるなり、よんでもないはずのけいさつがかけつけてくれことなきをえた。)
彼女が現れるなり、呼んでもないはずの警察が駆けつけてくれ事なきを得た。
(きんむさきのこうじょうでさぎょうちゅう、どうりょうがじぶんのそんざいにきづかずきかいをさどうさせてしまい)
勤務先の工場で作業中、同僚が自分の存在に気付かず機械を作動させてしまい
(しをかくごしたときも、かのじょがあらわれるなりなぜかとつぜんきかいがていしし、)
死を覚悟した時も、彼女が現れるなり何故か突然機械が停止し、
(こしをぬかしたさいのかるいねんざていどですんだ。)
腰を抜かした際の軽い捻挫程度で済んだ。
(いんしゅうんてんでじそんじこをおこしかけたときには、)
飲酒運転で自損事故を起こしかけた時には、
(しょうじょがめのまえにあらわれてあわててはんどるをきったことで)
少女が目の前に現れて慌ててハンドルを切った事で
(なんとかちめいてきなじたいをさけることができた。)
なんとか致命的な事態を避ける事ができた。
(これまでにすでに7かい、あゆかわさんはくだんのしょうじょのいのちをすくわれているという。)
これまでに既に7回、鮎川さんは件の少女の命を救われているという。
(ほんとうならかんしゃし、こううんのまもりがみだとそうあがめてもおかしくないはなしだが、)
本当なら感謝し、幸運の守り神だとそう崇めてもおかしくない話だが、
(しかしあゆかわさんはかのじょがあらわれるたびに)
しかし鮎川さんは彼女が現れるたびに
(ぜんしんがこおりつくようなきょうふにおそわれるのだとわたしにかたった。)
全身が凍り付くような恐怖に襲われるのだと私に語った。
(「だって、まもってくれるりゆうがねえからさ。)
「だって、守ってくれる理由がねえからさ。
(なにかんがえてんのか、ほんとうにわかんねえんだよ」)
何考えてんのか、本当に分かんねえんだよ」
(・・・あゆかわさんがしゃかいふっきをはたしたのは、いまからやくじゅうねんほどまえのことである。)
・・・鮎川さんが社会復帰を果たしたのは、今から約十年ほど前の事である。
(それまでかれは、とあるざんぎゃくなはんざいがげんいんでけいむしょにしゅうかんされていた。)
それまで彼は、とある残虐な犯罪が原因で刑務所に収監されていた。
(ざいじょうは、ごうまるちまる。ひがいしゃとなったのは、とうじみせいねんのしょうじょ。)
罪状は、強〇致〇。被害者となったのは、当時未成年の少女。
(あゆかわさんはしのふちにたたされたとききまってあらわれ、)
鮎川さんは死の淵に立たされた時決まって現れ、
(かれをたすけてくれたせーらーふくのしょうじょは・・・)
彼を助けてくれたセーラー服の少女は・・・
(かれがそのてであやめたひがいしゃとまったくおなじかっこうと、)
彼がその手で殺めた被害者と全く同じ格好と、
(そして、しにがおをしているのだという。)
そして、死に顔をしているのだという。
(「おれがころしちまったときと、まったくおんなじかおしてんだよ。)
「俺が殺しちまった時と、全くおんなじ顔してんだよ。
(はんぶんしろめむいて、くちからしただして、あわふいてさ・・・)
半分白目剥いて、口から舌出して、泡吹いてさ・・・
(そのかおのまんまで、まいかいおれをたすけてくれたんだよ。)
その顔のまんまで、毎回俺を助けてくれたんだよ。
(わかんねえよ、なにがしたいのかさぁーー」)
分かんねえよ、何がしたいのかさぁーー」
(おはらいにいくかどうかなんどもなやんだそうだが、)
お祓いに行くかどうか何度も悩んだそうだが、
(かのじょがいなくなったときのことをかんがえるとどうしてもあしぶみしてしまうらしい。)
彼女がいなくなった時のことを考えるとどうしても足踏みしてしまうらしい。
(かれのひどうなこういのすえにいのちまでもうばわれたうらわかきしょうじょは、)
彼の非道な行為の末に命までも奪われたうら若き少女は、
(じぶんをしにいたらしめたかれのことをまもりつづけているのか。)
自分を死に至らしめた彼のことを守り続けているのか。
(ことのとうにんであるあゆかわさんがこころあたりがないといっているいじょう、)
事の当人である鮎川さんが心当たりが無いと言っている以上、
(そのりゆうをおしはかることはわたしにはできない。)
その理由を推し量ることは私にはできない。