四つの顔 -10-

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師匠シリーズ
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関連タイピング

問題文

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(「まあともかく、そのやましたさんにみえているdがれいてきなものだとしたら、)

「まあともかく、その山下さんに見えているDが霊的なものだとしたら、

(それがふえているってのがきになるな」)

それが増えているってのが気になるな」

(そうだ。さいしょにそのかきこみがあってからかれとだれもこみゅにけーしょんを)

そうだ。最初にその書き込みがあってから彼と誰もコミュニケーションを

(とれていない。すくなくともふぉーらむのなかまうちでは。)

とれていない。少なくともフォーラムの仲間内では。

(「たんじゅんにdをれいとおきかえると、めにみえるれいがふえているってことか」)

「単純にDを霊と置き換えると、目に見える例が増えているってことか」

(「れいかんがあがってきてるってことですか」)

「霊感が上がってきてるってことですか」

(「いや、とはかぎらないよ。そのまんま、じっさいにれいがふえているのかも」)

「いや、とは限らないよ。そのまんま、実際に霊が増えているのかも」

(あっさりとししょうはいう。)

あっさりと師匠は言う。

(「かれのしゅういで。それともざっとうのみずしらずのひとびとのむれのなかで。)

「彼の周囲で。それとも雑踏の見ず知らずの人々の群れの中で。

(あるいはてれびにうつるむすうのにんげんたちのなかで・・・・・」)

あるいはテレビに映る無数の人間たちの中で・・・・・」

(このひとはまたいやなことをいっておれをこわがらせようとしている。)

この人はまた嫌なことを言って俺を怖がらせようとしている。

(とっさにこころのなかのまゆげにつばをつける。)

咄嗟に心の中の眉毛に唾をつける。

(「そもそもこのまちになんにんのにんげんがいるかなんて、だれもせいかくなかずを)

「そもそもこの街に何人の人間がいるかなんて、誰も正確な数を

(はあくしていない。やくしょ?やくしょがはあくしているのはけいしきじょうじゅうしょを)

把握していない。役所?役所が把握しているのは形式上住所を

(おいているひとのかずだけだろう。とくにだいがくせいなんてじゅうみんひょうをうつさずに)

置いている人の数だけだろう。特に大学生なんて住民票を移さずに

(このまちにすんでるだいひょうかくだ。そのじゅうみんひょうがないにんげんだっている。)

この街に住んでる代表格だ。その住民票がない人間だっている。

(ほんとうにこのまちにいるにんげんのかずをしりたかったら、)

本当にこの街にいる人間の数を知りたかったら、

(じかんをとめてひとりふたりとかぞえていくしかない」)

時間を止めてひとりふたりと数えていくしかない」

(そのけっか、しょうしょうにんげんのかずがおおすぎたところで。とししょうはつづけた。)

その結果、少々人間の数が多すぎたところで。と師匠は続けた。

(「ほんらいだれもきづきはしない」)

「本来誰も気づきはしない」

など

(なにをいっているんだこのひとは。)

なにを言っているんだこの人は。

(「まあ、それはさておいて、そのやましたさんのみているdがふえてきたってのは、)

「まあ、それはさて置いて、その山下さんのみているDが増えてきたってのは、

(どこかからわいてきたというわけじゃなさそうだ」)

どこかから湧いてきたというわけじゃなさそうだ」

(「なぜです」)

「なぜです」

(「またdがきた、っていうかきこみはへやをたずねたきみらのことをいっている)

「またDがきた、っていう書き込みは部屋を訪ねた君らのことを言っている

(ようにうけとれるけど、ふたりともまえのおふかいのじてんではaだったはず」)

ように受け取れるけど、二人とも前のオフ会の時点ではAだったはず」

(そうだ。ほんにんがそういっていた。)

そうだ。本人がそう言っていた。

(「ということはaにみえていたものがdにみえるようになったってことだよ」)

「ということはAに見えていたものがDに見えるようになったってことだよ」

(「ちょっとまってください。dはれいてきなそんざいじゃないんですか」)

「ちょっと待ってください。Dは霊的な存在じゃないんですか」

(「じぶんでもしらないうちに、そうなってるんじゃない?」)

「自分でも知らないうちに、そうなってるんじゃない?」

(ゆびをむけられ、おもわずめをそらす。でもそんなわけはない。)

指を向けられ、思わず目を逸す。でもそんなわけはない。

(「おっ。ひていするね。じぶんがしんでることをみとめたがらない。)

「おっ。否定するね。自分が死んでることを認めたがらない。

(てんけいてきなれいたいのしょうじょうです」)

典型的な霊体の症状です」

(からかわれている。さすがにむかついてきた。)

からかわれている。さすがにむかついてきた。

(「まあそういかるな。dになったきみがいぜんとしてれいてきそんざいではないとすると、)

「まあそう怒るな。Dになった君が依然として霊的存在ではないとすると、

(はじめからdはにんげんだったってことになるんじゃないか」)

初めからDは人間だったってことになるんじゃないか」

(dはにんげん。)

Dは人間。

(それはおれもかんがえた。げんかんのどあからのぞくかおはうえきばちのしたのかぎをつかえば)

それは俺も考えた。玄関のドアから覗く顔は植木鉢の下の鍵を使えば

(にんげんにもかのうだ。)

人間にも可能だ。

(きたくしたやましたさんがなかからかぎをかけたのをみはからってうえきばちのしたからかぎをだし、)

帰宅した山下さんが中から鍵を掛けたのを見計らって植木鉢の下から鍵を出し、

(どあをあける。きづいたやましたさんがちかづいてくるまえにどあをとじて、)

ドアを開ける。気づいた山下さんが近づいてくる前にドアを閉じて、

(そとからさしたままのかぎをひねってせじょうし、にげる。)

外から差したままの鍵を捻って施錠し、逃げる。

(いっかいのはしべやだったから、かくをまがればうまくにげかくれできるだろう。)

一階の端部屋だったから、角を曲がれば上手く逃げ隠れできるだろう。

(だれがなぜそんなことを、というぎもんはのこるが。)

誰がなぜそんなことを、という疑問は残るが。

(ただふろばにたつdはわからない。そのふろばはこのめでみたが、)

ただ風呂場に立つDは分からない。その風呂場はこの目で見たが、

(ちいさなまどはあったもののにんげんがではいりできるようなものではなかった。)

小さな窓はあったものの人間が出入りできるようなものではなかった。

(きづかれないようにかたくしんにゅうしておなじくきづかれないように)

気づかれないように家宅侵入して同じく気づかれないように

(でていくなんてことができるだろうか。)

出て行くなんてことができるだろうか。

(「むずかしくかんがえるひつようはないよ。ひとはなまみのにんげんではなく、)

「難しく考える必要はないよ。ヒトは生身の人間ではなく、

(ましてれいでもないにんげんをみることがあるじゃないか」)

まして霊でもない人間を見ることがあるじゃないか」

(「げんかくだと」)

「幻覚だと」

(でも、ししょうもやましたさんのれいかんがつよいのをみとめていたじゃないか。)

でも、師匠も山下さんの霊感が強いのを認めていたじゃないか。

(「だとするならば、ってつけてたよ。dをれいとかていしたばあいのはなしだ。)

「だとするならば、ってつけてたよ。Dを霊と仮定した場合の話だ。

(ぼくのけつろんはさいしょにいってる」)

僕の結論は最初に言ってる」

(ししょうはまたにやにやわらいながらいった。)

師匠はまたニヤニヤ笑いながら言った。

(「やんでるね、そのひと」)

「病んでるね、その人」

(だったらさっきまでのはなしはなんなんだ。ほんとうにまわりくどいなこいつは。)

だったらさっきまでの話はなんなんだ。本当に回りくどいなこいつは。

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