怖い話《5階》

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問題文

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(そのひ、おれとaはじもとにあるはいほてるへきもだめしへむかった。)

その日、俺とAは地元にある廃ホテルへ肝試しへ向かった。

(はいほてるといってもつぶれたのはさいきんのことで、)

廃ホテルと言っても潰れたのは最近のことで、

(ゆかやかべがみはきれいだったがものはさんらんしているといったじょうたいだった。)

床や壁紙は綺麗だったが物は散乱しているといった状態だった。

(つぶれたりゆうはわからないが、このほてるじたいえいぎょうしていたころから)

潰れた理由は分からないが、このホテル自体営業していた頃から

(しんれいげんしょうのうわさがおおく、そのひょうばんのせいでつぶれたんじゃないかといわれている。)

心霊現象の噂が多く、その評判のせいで潰れたんじゃないかと言われている。

(たしかになにやらいやなけはいやくうきかんはかんじるが)

確かに何やら嫌な気配や空気感は感じるが

(じっさいなにかみえたりきこえたりすることはなかった。)

実際何か見えたり聞こえたりすることはなかった。

(すうじゅうぶんもするとおれもaもあきてきてへやのべっどにこしかけて)

数十分もすると俺もAも飽きてきて部屋のベッドに腰かけて

(たばこをふかしはじめたりしていた。)

煙草をふかし始めたりしていた。

(「せんぱいがいっていたけど、さいじょうかいがやばいらしいぜ」)

「先輩が言っていたけど、最上階がやばいらしいぜ」

(aがおもいだしたようにいった。)

Aが思い出したように言った。

(それをきいたおれはまだへやにのこっていたはいざらにたばこをすて、)

それを聞いた俺はまだ部屋に残っていた灰皿に煙草を捨て、

(じゅうぎょういんようのかいだんからさいじょうかいをめざしてのぼることにした。)

従業員用の階段から最上階を目指して登ることにした。

(3かい、4かいとあがっていくとさいじょうかいである5かいへとつづくかいだんがあらわれた。)

3階、4階と上がっていくと最上階である5階へと続く階段が現れた。

(かいちゅうでんとうにてらされたそのかいだんをみたしゅんかん、おれらのあしがとまった。)

懐中電灯に照らされたその階段を見た瞬間、俺らの足が止まった。

(かいだんのいちだんめからそのさき、5かいへつづくみちだけがあきらかにぼろぼろになっている。)

階段の一段目からその先、5階へ続く道だけが明らかにボロボロになっている。

(さいきんはいぎょうになったそのほてるはがいそうからないそうまでほとんどあれてなかったはずだ。)

最近廃業になったそのホテルは外装から内装まで殆ど荒れてなかったはずだ。

(やけこげたようにくろずんだゆかにはいせんやでんせんがむきだしになったかべ。)

焼け焦げたように黒ずんだ床に配線や電線が剥き出しになった壁。

(そこだけあきらかになにじゅうねんもじかんがたっているかのようにろうきゅうかしている。)

そこだけ明らかに何十年も時間が経っているかのように老朽化している。

(そのいようなこうけいにあっとうされ、おもわずふたりであとずさりしてしまった。)

その異様な光景に圧倒され、思わず二人で後退りしてしまった。

など

(「せんぱいのいってたこと・・・まじだったな・・・」)

「先輩の言ってたこと・・・マジだったな・・・」

(うしろにいたaがちいさなこえでつぶやいた。)

後ろにいたAが小さな声で呟いた。

(いろんなはいきょとかしんれいすぽっととかをまわってきたおれたちだったが、)

色んな廃墟とか心霊スポットとかを回ってきた俺達だったが、

(しょうじきこんかいばかりはこのさきにはいってはいけないとほんのうがいっていた。)

正直今回ばかりはこの先には行ってはいけないと本能が言っていた。

(「せんぱいたちもいったことあるんだろ?ならなにもないって」)

「先輩たちも行ったことあるんだろ?なら何もないって」

(こうきしんにかられたaはおれのせなかをたたき、よこをとおるとさきにあがりはじめた。)

好奇心に駆られたAは俺の背中を叩き、横を通ると先に上り始めた。

(ほんとうにいきたくなかったが、びびっているとおもわれるのもしゃくだったおれは)

本当に行きたくなかったが、ビビっていると思われるのも癪だった俺は

(おくれながらもaのせなかをおっていった。)

遅れながらもAの背中を追って行った。

(おどりばをこえてとびらへとつづくかいだんをのぼろうとかいちゅうでんとうをうえにむけたとき、)

踊り場を越えて扉へと続く階段を登ろうと懐中電灯を上に向けた時、

(ろうかへでるとびらのまえでaがたちどまっているのがみえた。)

廊下へ出る扉の前でAが立ち止まっているのが見えた。

(たちどまっているというよりはかたまっていた。)

立ち止まっているというよりは固まっていた。

(「おい、a?どうした?」)

「おい、A?どうした?」

(おれはかいだんをのぼりきり、aのよこへいくとaのみつめるさきへとかいちゅうでんとうをむけた。)

俺は階段を上り切り、Aの横へ行くとAの見つめる先へと懐中電灯を向けた。

(かいだんとどうようにぼろぼろにくちはてたろうか、そのまんなかくらいになにかがいた。)

階段と同様にボロボロに朽ち果てた廊下、その真ん中くらいに何かがいた。

(それがなにかにんしきしたしゅんかん、せすじがこおった。)

それが何か認識した瞬間、背筋が凍った。

(おんながいる。)

女がいる。

(たったままびどうだにせず、あたまがゆかにつくほどからだをまえにおりまげ、)

立ったまま微動だにせず、頭が床に付くほど体を前に折り曲げ、

(うではちからなくだらんとたらしている。)

腕は力なくだらんと垂らしている。

(たれさがったぼさぼさのかみはじめんにひろがり、)

垂れ下がったボサボサの髪は地面に広がり、

(わずかにみえるくびはいきているにんげんのものではなかった。)

僅かにみえる首は生きている人間のものではなかった。

(「しからだ?いや、にんぎょう・・・か?」)

「シ体?いや、人形・・・か?」

(aがふるえたこえでつぶやく。)

Aが震えた声で呟く。

(だがそんなかんがえはすぐにうちくだかれる。)

だがそんな考えはすぐに打ち砕かれる。

(さきほどまでびどうだにしなかったおんなのからだがゆらゆらとよこにゆれはじめた。)

先程まで微動だにしなかった女の体がゆらゆらと横に揺れ始めた。

(めとろのーむのようにいっていのりずむでゆれるそのぶきみなうごきとたいせいに)

メトロノームのように一定のリズムで揺れるその不気味な動きと体勢に

(おれらはさけぶこともにげることもできなかった。)

俺らは叫ぶことも逃げることもできなかった。

(ただゆらゆらとゆれつづけるそのおんなをみつめる。)

ただゆらゆらと揺れ続けるその女を見つめる。

(いようなこうけいときょうふにあたまがしびれてくるのがわかる。)

異様な光景と恐怖に頭がしびれてくるのが分かる。

(aもからだがふるえはじめ、こきゅうがあらくなっていた。)

Aも体が震え始め、呼吸が荒くなっていた。

(つぎのしゅんかん、じょじょにはやくなるゆれとともにおんながこちらへとちかづいてきた。)

次の瞬間、徐々に早くなる揺れと共に女がこちらへと近づいてきた。

(ちからなくたれさがげたうでをひきずりながらちゃくじつにちかづいてくる。)

力なく垂れ下げた腕を引きずりながら着実に近づいてくる。

(おんなが5mほどすすんだあたりでaがさけびながらとびらをしめ、)

女が5mほど進んだあたりでAが叫びながら扉を閉め、

(にげるようにかいだんをかけおりていった。)

逃げるように階段を駆け下りていった。

(こしがぬけてしまったおれはたちあがれずはいつくばりながらかいだんをおりていった。)

腰が抜けてしまった俺は立ち上がれず這いつくばりながら階段を降りて行った。

(とちゅうなんとかたちあがり、ころげおちるようにおりているとちゅう、)

途中何とか立ち上がり、転げ落ちるように降りている途中、

(うえのかいからくるったようにどあをたたくおとがきこえた。)

上の階から狂ったようにドアを叩く音が聞こえた。

(とびらからでてくるあのおんなをそうぞうしたおれは)

扉から出てくるあの女を想像した俺は

(あまりのきょうふになきながらaのくるまへとはしっていった。)

あまりの恐怖に泣きながらAの車へと走っていった。

(すでにえんじんをかけおえたaはおれがのりこむと)

既にエンジンを掛け終えたAは俺が乗り込むと

(あくせるをべたふみしてそのばをあとにした。)

アクセルをベタ踏みしてその場を後にした。

(こんびにのひかりがみえ、あんしんしたおれらはくるまをとめて)

コンビニの光が見え、安心した俺らは車を停めて

(のみものをかってくるまのなかでさきほどのはなしをした。)

飲み物を買って車の中で先程の話をした。

(a「やべえもんみちまったな・・・」)

A「やべえもん見ちまったな・・・」

(おれ「やばいどころじゃねえよ。なんだよあれ。)

俺「やばいどころじゃねえよ。なんだよあれ。

(せんぱいたちもあれをみたってことかよ?」)

先輩たちもあれを見たってことかよ?」

(なかばきれぎみにおれはいった。)

半ばキレ気味に俺は言った。

(a「いっかいせんぱいにでんわしてみるわ・・・」)

A「一回先輩に電話してみるわ・・・」

(aはすまほをとりだすと、れいのせんぱいへとでんわをかけた。)

Aはスマホを取り出すと、例の先輩へと電話を掛けた。

(すぴーかーにすると、さんかいほどのこーるおんのあとにせんぱいがでんわにでた。)

スピーカーにすると、三回ほどのコール音の後に先輩が電話に出た。

(せんぱい「おー、aか。どうだった?」)

先輩「おー、Aか。どうだった?」

(a「どうもなにもないっすよまじで・・・」)

A「どうもなにもないっすよまじで・・・」

(わらいながらでんわにでたせんぱいにaはあきれながらこたえた。)

笑いながら電話に出た先輩にAは呆れながら答えた。

(せんぱい「いやーわるいわるい、あれさ・・・」)

先輩「いやー悪い悪い、あれさ・・・」

(a「まじなんなんですかあそこ、つぶれたのさいきんっすよね?)

A「まじなんなんですかあそこ、潰れたの最近っすよね?

(なんであんなぼろぼろなんすか」)

なんであんなボロボロなんすか」

(はなしをつづけようとするせんぱいをさえぎるようにaはつづけた。)

話を続けようとする先輩を遮るようにAは続けた。

(a「あんながちもんのおんなのゆうれいがでるならさきにいってくださいよ。)

A「あんなガチもんの女の幽霊が出るなら先に言ってくださいよ。

(あいつ、おいかけてきましたからね」)

あいつ、追いかけてきましたからね」

(とちゅうからaはほぼきれていた。)

途中からAはほぼキレていた。

(a「だいたいにして・・・」)

A「大体にして・・・」

(aがそういいかけたとき、こんどはせんぱいがはなしをさえぎってきた。)

Aがそう言いかけた時、今度は先輩が話を遮ってきた。

(せんぱい「おいおい、まてまて」)

先輩「おいおい、まてまて」

(なにやらこんわくしているようすだった。)

何やら困惑している様子だった。

(せんぱい「ぼろぼろ?おんなのゆうれい?なにいってんだおまえら・・・?)

先輩「ボロボロ?女の幽霊?何言ってんだお前ら・・・?

(おまえらがみたのって、さいじょうかいのおくのへやのことじゃないのか・・・?」)

お前らが見たのって、最上階の奥の部屋のことじゃないのか・・・?」

(とぼけるわけでもない、しんけんなとーんでせんぱいはいった。)

とぼけるわけでもない、真剣なトーンで先輩は言った。

(せんぱい「へやにおれらがかいていったらくがきあったろ?そのことじゃない、よな」)

先輩「部屋に俺らが書いていった落書きあったろ?そのことじゃない、よな」

(a「は・・・?」)

A「は・・・?」

(よそうしていなかったかいとうにおれもaもおもわずかたまる。)

予想していなかった回答に俺もAも思わず固まる。

(せんぱい「しかもぼろぼろって・・・おれらがへやのかがみわったりしてたけど)

先輩「しかもボロボロって・・・俺らが部屋の鏡割ったりしてたけど

(あそこじたいはふつうできれいだったろ。じょうだんやめろって・・・」)

あそこ自体は普通で綺麗だったろ。冗談やめろって・・・」

(いみがわからなかった。)

意味が分からなかった。

(たしかにおれらはこのめでみたはずだ。)

確かに俺らはこの目で見たはずだ。

(くちはてたかべとゆか、ろうかのさきにいるぶきみなおんな。)

朽ち果てた壁と床、廊下の先にいる不気味な女。

(おれらがなにもいえずだまっているとせんぱいがくちをあいた。)

俺らが何も言えず黙っていると先輩が口を開いた。

(せんぱい「なあ・・・おまえらなんかいにいったんだよ?」)

先輩「なあ・・・お前ら何階に行ったんだよ?」

(a「・・5かいですけど」)

A「・・5階ですけど」

(しばらくのちんもくのあと、せんぱいがふるえたこえでつぶやいた。)

しばらくの沈黙の後、先輩が震えた声で呟いた。

(せんぱい「・・・a」)

先輩「・・・A」

(せんぱい「あそこ、4かいまでしかねえだろ・・・」)

先輩「あそこ、4階までしかねえだろ・・・」

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