怖い話《寝言》

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問題文
(いびきとかねごとをろくおんしてくれるあぷり、あるじゃないですか。)
いびきとか寝言を録音してくれるアプリ、あるじゃないですか。
(わたしもまえにつかってたことがあって。)
私も前に使ってたことがあって。
(とくにすいみんになやんでたわけじゃないんですけど、とうじまわりではやってたんです。)
特に睡眠に悩んでたわけじゃないんですけど、当時周りで流行ってたんです。
(なんかへんなねごとでもいってたらおもしろいなーくらいのかるいきもちで。)
なんか変な寝言でも言ってたら面白いなーくらいの軽い気持ちで。
(でもじっさいは、ほとんどねがえりのおととかうーん・・・ってうなってるだけ。)
でも実際は、ほとんど寝返りの音とかうーん・・・って唸ってるだけ。
(とくにおもしろいろくおんなんて、いちどもなかったんです。)
特に面白い録音なんて、一度もなかったんです。
(ーーそのよるは、ひさびさにほんきでこわいゆめをみました。)
ーーその夜は、久々に本気で怖い夢を見ました。
(よくあるやつです、ぶきみなおんなにおいかけられるゆめ。)
よくあるやつです、不気味な女に追いかけられる夢。
(わたしはほうちょうをもったおんなからひっしににげていました。)
私は包丁を持った女から必死に逃げていました。
(おいつかれたらぜったいにころされるって、ゆめなのにちょっかんでわかるんです。)
追い付かれたら絶対に殺されるって、夢なのに直感でわかるんです。
(いきがくるしくて、あせるほどあしがもつれて、ころぶ。)
息が苦しくて、焦るほど足がもつれて、転ぶ。
(うしろをふりむくと、おんながにまにまわらいながらちかづいてくる。)
後ろを振り向くと、女がニマニマ笑いながら近づいてくる。
(もうにげられないとおもって、どこかにかくれようとしたんです。)
もう逃げられないと思って、どこかに隠れようとしたんです。
(とっさにわたしがかくれたのが、ばすたぶのなかでした。)
咄嗟に私が隠れたのが、バスタブの中でした。
(ふたをしめて、まっくらななかでいきをころして)
蓋を閉めて、真っ暗な中で息を殺して
(でもこきゅうがうまくできない、すぐにみつかっちゃいました。)
でも呼吸が上手くできない、すぐに見つかっちゃいました。
(おんながふたをあけるおとがして、そこにたっている。)
女が蓋を開ける音がして、そこに立っている。
(にげなきゃっておもうのにからだがうごかない。)
逃げなきゃって思うのに体が動かない。
(ぜつぼうとひろうがおおきすぎて、ただあとずさることしかできませんでした。)
絶望と疲労が大きすぎて、ただ後ずさることしかできませんでした。
(おんなはおもしろくてしかたないってかおでわらいながら、ほうちょうをふりおろしてきて)
女は面白くて仕方ないって顔で笑いながら、包丁を振り下ろしてきて
(わたしははんしゃてきにてをだして、それでりょううでにいたみがはしってーー。)
私は反射的に手を出して、それで両腕に痛みが走ってーー。
(じぶんのてがちまみれになるのがみえたあと、せなかもわきばらもなんどもさされて。)
自分の手が血まみれになるのが見えた後、背中も脇腹も何度も刺されて。
(そのときにはもういたみよりもさされたしょうげきだけがからだにつたわってきました。)
その時にはもう痛みよりも刺された衝撃だけが体に伝わってきました。
(なのに、まだしねないんです。)
なのに、まだ死ねないんです。
(かすんだしかいのなかで、おんながたちあがるのがみえました。)
霞んだ視界の中で、女が立ち上がるのが見えました。
(かのじょはとどめをさすでもにげるでもなく、)
彼女はトドメを刺すでも逃げるでもなく、
(しゃわーをてにとって、ちまみれのゆかをながしはじめたんです。)
シャワーを手に取って、血まみれの床を流し始めたんです。
(はなうたなんかうたいながら。)
鼻歌なんか歌いながら。
(かべをながしおえたあと、こんどはわたしのほうにしゃわーをむけました。)
壁を流し終えた後、今度は私の方にシャワーを向けました。
(つめたいみずが、なんども、なんども。)
冷たい水が、何度も、何度も。
(いたいとかくるしいとかじゃなくて、たださむくて、みじめで。)
痛いとか苦しいとかじゃなくて、ただ寒くて、惨めで。
(きたないものみたいにあつかわれているのが、いちばんからかった。)
汚いものみたいに扱われているのが、一番辛かった。
(おんなは、それをみてたのしそうにわらっていました。)
女は、それを見て楽しそうに笑っていました。
(そして、わたしはそこでいしきがとおのいてゆめからさめました。)
そして、私はそこで意識が遠のいて夢から覚めました。
(おきたとき、しんぞうがばくばくしてて、あせびっしょりで。)
起きた時、心臓がバクバクしてて、汗びっしょりで。
(しばらくぼうぜんをしてたんですけど、はっとおもいだしたんです、あぷりのこと。)
暫く呆然をしてたんですけど、はっと思い出したんです、アプリの事。
(「これ、とれてるかも」って。)
「これ、録れてるかも」って。
(あぷりをひらくと、ちゃんとろくおんされていました。)
アプリを開くと、ちゃんと録音されていました。
(さいしょはねがえりのおと、いつもどおり。)
最初は寝返りの音、いつも通り。
(「なんだ、つまんないな」っておもったしゅんかん、じぶんのねごとがきこえたんです。)
「なんだ、つまんないな」って思った瞬間、自分の寝言が聞こえたんです。
(お、きたきた。)
お、きたきた。
(「やめて!」とか「ころさないで!」とかいってたらどうしよう。)
「やめて!」とか「殺さないで!」とか言ってたらどうしよう。
(こわいけど、ちょっとわくわくしながらみみをすませました。)
怖いけど、ちょっとワクワクしながら耳を澄ませました。
(ろくおんのなかのわたしは、こういってました。)
録音の中の私は、こう言ってました。
(「ふふっ・・・ふふふ・・・」)
「ふふっ・・・ふふふ・・・」
(「ふっ・・・あは、あははははは・・・」)
「ふっ・・・あは、あははははは・・・」
(わたし、わらってたんです。)
私、笑ってたんです。
(もうおかしくてたまらない、ってかんじで。)
もうおかしくてたまらない、って感じで。
(ろくおんのさいごは、わたしのはなうたでおわってました。)
録音の最後は、私の鼻歌で終わってました。
(かおにふれてみると、ひきつってる。)
顔に触れてみると、引き攣ってる。
(ゆめのなかでわらいながら、げんじつでもわらってたんだってわかりました。)
夢の中で笑いながら、現実でも笑ってたんだってわかりました。
(いまではもう、そのあぷりつかってません。)
今ではもう、そのアプリ使ってません。
(でもたまにいわれるんです。)
でもたまに言われるんです。
(「ねごとですごいわらってたよ、どんなおもしろいゆめみてたの?」)
「寝言ですごい笑ってたよ、どんな面白い夢見てたの?」
(・・・わたしがみてたの、あくむなんですけどね。)
・・・私が見てたの、悪夢なんですけどね。