vistlip[深海魚の夢は所詮、]

(さんそがうすいここはしんかいどくじのしんかにとざされたやみ)

酸素が薄い此処は深海　独自の進化に閉ざされた闇

(きかいなすがたとくいなせいしつそれらはやがて「さべつ」をうむだろう)

奇怪な姿　特異な性質　それらはやがて「差別」を生むだろう

(みせものごやのあいどるみたいによくもわるくもわらわれたい)

見せ物小屋のアイドルみたいに良くも悪くも笑われたい

(じぶんにはないものばかりきみはどのめでぼくをみる)

自分には無いモノばかり　君はどの瞳で僕を見る

(しんかいぎょはみちなるせかいへおよいだせなかにはゆめをのせつきをめざす)

深海魚は未知なる世界へ泳いだ　背中には夢を乗せ月を目指す

(ひとびとがよんだなをきいてしったりゅうぐうのつかいそれがぼくだ)

人々が呼んだ名を聞いて知った　リュウグウノツカイ　それが僕だ

(おしもどそうとなみかぜうむあらしもきみのためにこえてみせるから)

押し戻そうと波風生む嵐も君のために超えてみせるから

(そのさきにまっているのがしょせん、このほしのいちぶだとしても)

その先に待っているのが所詮、この星の一部だとしても

(おんどのひくいここはしんかいどくじのしんかにとざされてかくり)

温度の低い此処は深海　独自の進化に閉ざされて隔離

(たいようこうのとどかないうみでだれにもしれずかせきとなるのか)

太陽光の届かない海で誰にも知れず化石となるのか

(さーかすだんのぴえろみたいによくもわるくもわらわせたい)

サーカス団のピエロみたいに良くも悪くも笑わせたい

(こうきまみれのばかがくしゃよきみはどのめでぼくをみる)

好奇塗れの馬鹿学者よ　君はどの瞳で僕を見る

(しんかいぎょはふじょうしあかがみをみだしたほかくされることもけいさんないだ)

深海魚は浮上し赤髪を乱した　捕獲される事も計算内だ

(ひとびとがよんだなをきいてしったりゅうぐうのつかいそれがぼくだ)

人々が呼んだ名を聞いて知った　リュウグウノツカイ　それが僕だ

(おしつけられたいくとおりのいめーじそうおもわせてしまうなさけなさと)

押しつけられた幾通りのイメージ　そう思わせてしまう情けなさと

(じぶんじしんのろうこころからせいぞうされたこうかいとくのうのなみだ)

自分自身呪う心から製造された後悔と苦悩の涙

(ただひとりでもいいひとりでもおおくすくうことができたなら)

ただ一人でもいい　一人でも多く救う事が出来たなら

(うまれたいみをいきたいみをせめてかきしるしきえていくがいい)

生まれた意味を生きた意味をせめて書き記し消えて行くがいい

(しんかいぎょはちからつきるまでおよいだせなかにはゆめをのせきみをめざす)

深海魚は力尽きるまで泳いだ　背中には夢を乗せ君を目指す

(ひとびとがよんだなのゆらいをしったりゅうぐうのつかいそれがぼくだ)

人々が呼んだ名の由来を知った　竜宮の使い　それが僕だ

(まんぞくげにわらいながらあこがれたすいそうでしずかにめをとじる)

満足気に笑いながら憧れた水槽で静かに瞳を閉じる

(そのさきにまっていたのはしょせん、このほしのいちぶでしかない)

その先に待っていたのは所詮、この星の一部でしかない

(「いのなかのかわずよ」)

「井の中の蛙よ」