ペットの話 -5-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(わたしはあしおとをしのばせてだいどころにはいり、すいはんきについているでぃすぷれいの) 私は足音を忍ばせて台所に入り、炊飯器についているディスプレイの (あおいひかりをたよりに、れいぞうこからおちゃをとりだす。) 青い光を頼りに、冷蔵庫からお茶を取り出す。 (こっぷいっぱいをのみきるとひといきついた。) コップ一杯を飲みきると一息ついた。 (せいじゃくに、みみのおくがかんだかくなっている。) 静寂に、耳の奥が甲高く鳴っている。 (よなかにめがさめたのはいついらいだろうかとふとかんがえる。) 夜中に目が覚めたのはいつ以来だろうかとふと考える。 (かぞくをおこさないようにひっそりとだいどころをでて、) 家族を起こさないようにひっそりと台所を出て、 (しのびあしでろうかをすすんでいるときだった。) 忍び足で廊下を進んでいる時だった。 (わたしのみみはせいじゃくいがいのなにかをとらえた。) 私の耳は静寂以外のなにかをとらえた。 (たちどまり、それがきこえたほうこうにめをやると、いまのどあがすこしあいている。) 立ち止まり、それが聞こえた方向に目をやると、居間のドアが少し開いている。 (それがかすかにゆれたきがした。きぃ、というきこえなかったはずのおとを、) それが微かに揺れた気がした。キィ、という聞こえなかったはずの音を、 (あたまのなかでかってにさいせいする。) 頭の中で勝手に再生する。 (ふだんからかぎをかけるわけでもなく、またれいぼうやだんぼうをつけているきせつでも) 普段から鍵を掛けるわけでもなく、また冷房や暖房をつけている季節でも (ないので、どあがはんびらきなのはいつものことだったが、) ないので、ドアが半開きなのはいつものことだったが、 (わたしのちょっかんはなにかえたいのしれないよかんをつげていた。) 私の直感はなにか得体の知れない予感を告げていた。 (そっとちかづいてどあのすきまをひろげると、くらいしつないがそのおくにのびる。) そっと近づいてドアの隙間を広げると、暗い室内がその奥にのびる。 (「ぴーすけ?」) 「ピー助?」 (こえをひそめながら、きゅうかんちょうのぴーちをいつものあいしょうでよぶ。) 声をひそめながら、九官鳥のピーチをいつもの愛称で呼ぶ。 (・・・) ××× (また、なにかきこえた。) また、なにか聞こえた。 (へやのなかから。) 部屋の中から。
など
(だれかのこえだ。) 誰かの声だ。 (はむすたーのなきごえとはあきらかにちがう。にんげんのこえのようにきこえた。) ハムスターの鳴き声とは明らかに違う。人間の声のように聞こえた。 (「ぴーち?」) 「ピーチ?」 (へやのなかにいりこむと、まどのかーてんごしにつきのひかりがかすかにさしこみ、) 部屋の中に入り込むと、窓のカーテン越しに月の光が微かに差し込み、 (うみのそこのようなくらいくうかんにきみょうなしまもようをうかびあがらせていた。) 海の底のような暗い空間に奇妙な縞模様を浮かび上がらせていた。 (・・・) ××× (まただ。またきこえた。) まただ。また聞こえた。 (へやのすみにあるとりかごのほうから。) 部屋の隅にある鳥籠の方から。 (とりかごにはくろいぬのをかぶせてある。ひかりがはいりこまないように。) 鳥籠には黒い布を被せてある。光が入り込まないように。 (ぴーちがねるときにはいつもそうするのだ。) ピーチが寝る時にはいつもそうするのだ。 (そのくろいぬののうちがわから、ぼそぼそというはなしごえがきこえてくる。) その黒い布の内側から、ぼそぼそという話し声が聞こえてくる。 (ああ、ぴーちがしゃべっている。ひとのことばで。) ああ、ピーチが喋っている。人の言葉で。 (わたしはわけもなくわいてくるさむけが、からだのひょうめんをはしりぬけるのをかんじた。) 私はわけもなく湧いてくる寒気が、身体の表面を走り抜けるのを感じた。 (いったいなにをしゃべっているのだろう。) いったいなにを喋っているのだろう。 (・・・) ××× (わたしはゆっくりとちかづきながらみみをすませる。) 私はゆっくりと近づきながら耳をすませる。 (こんなじかんにぴーちはどうしておきているのだろう。たまたまだろうか。) こんな時間にピーチはどうして起きているのだろう。たまたまだろうか。 (それともいつもおきているのだろうか。) それともいつも起きているのだろうか。 (いつもかぞくがねしずまったしんやに、ちいさなかごのなかでひとり、) いつも家族が寝静まった深夜に、小さな籠の中でひとり、 (わたしたちのしらないなにかをはなしているのだろうか。) 私たちの知らないなにかを話しているのだろうか。 (いもうとのことばがあたまをよぎる。) 妹の言葉が頭をよぎる。 (ぴーちは、ここにいないひとやしんでしまったひとのしねんをじゅしんして、) ピーチは、ここにいない人や死んでしまった人の思念を受信して、 (それをことばにしてさえずるのだと。まるでらじおのように。) それを言葉にして囀るのだと。まるでラジオのように。 (だからときおり、だれもおしえてはいないはずのことばをりゅうちょうにはっするのだ。) だから時おり、誰も教えてはいないはずの言葉を流暢に発するのだ。 (いまもそうなのだろうか。だれもおしえていないことばを、) 今もそうなのだろうか。誰も教えていない言葉を、 (あるいはかぞくのだれもしらないはずのはなしを・・・・・) あるいは家族の誰も知らないはずの話を・・・・・ (だったら、いまこのくらいへやのなかには、) だったら、今この暗い部屋の中には、 (めにみえないにんげんのことだまがただよっているのか。) 目に見えない人間の言霊が漂っているのか。 (あるいは、みることもふれることもできないしんだはずのにんげんがいま、) あるいは、見ることも触れることもできない死んだはずの人間が今、 (このへやのなかにたっているのか。) この部屋の中に立っているのか。 (とりかごのかたちをしたぬののさきにてがさわれ、わたしはうごきをとめる。) 鳥籠の形をした布の先に手が触れ、私は動きを止める。 (いもうとのしゅちょうがもたらしたそんなおそろしいそうぞうがふいにきはくになり、) 妹の主張がもたらしたそんな恐ろしい想像がふいに希薄になり、 (またべつのそうぞうがじぶんのなかのどこかくらいところからわいてくるのをかんじた。) また別の想像が自分の中のどこか暗いところから湧いてくるのを感じた。 (いもうとのはなしをなかばわらいながらきいたとき、) 妹の話をなかば笑いながら聞いた時、 (わたしはそれとはまったくべつのそうぞうをしてしまっていた。) 私はそれとは全く別の想像をしてしまっていた。 (とっさにきみのわるいそれをこころのおくにおしこめ、わすれようとしていた。いままで。) とっさに気味の悪いそれを心の奥に押し込め、忘れようとしていた。今まで。 (なのに。) なのに。 (わたしのしたそうぞう。いや、してしまったそうぞう。) 私のした想像。いや、してしまった想像。
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