第1章 北上川の約束
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(はるのいわてけんにはつめたいかぜがのこっていた。)
春の岩手県には冷たい風が残っていた。
(いわてさんのいただきにはしろいゆきがみえていた。)
岩手山の頂には白い雪が見えていた。
(もりおかしにすむささきゆうまはどてにたった。)
盛岡市に住む佐々木悠真は土手に立った。
(めのまえにはひろいきたかみがわがながれていた。)
目の前には広い北上川が流れていた。
(かわもはゆうひにてらされてかがやいていた。)
川面は夕日に照らされて輝いていた。
(ゆうまはこのけしきがむかしからすきだった。)
悠真はこの景色が昔から好きだった。
(おちこんだときはここへくることがおおかった。)
落ち込んだ時はここへ来ることが多かった。
(このひもすこしきぶんがしずんでいた。)
この日も少し気分が沈んでいた。
(あたらしいくらすになってすうしゅうかんがすぎていた。)
新しいクラスになって数週間が過ぎていた。
(なかのよいゆうじんとはなれたままだった。)
仲の良い友人と離れたままだった。
(そのことがこころにのこっていた。)
そのことが心に残っていた。
(ゆうまはふかいためいきをついた。)
悠真は深いため息をついた。
(そのときうしろからこえがきこえてきた。)
その時後ろから声が聞こえてきた。
(ゆうまはおどろいてふりかえった。)
悠真は驚いて振り返った。
(そこにはひとりのじょしせいとがたっていた。)
そこには一人の女子生徒が立っていた。
(おなじがっこうにかようたかはしみさきだった。)
同じ学校に通う高橋美咲だった。
(ふたりはおなじがくねんだった。)
二人は同じ学年だった。
(しかしはなしたことはほとんどなかった。)
しかし話したことはほとんどなかった。
(みさきはすこしほほえんでいた。)
美咲は少し微笑んでいた。
(ここによくくるのとみさきはたずねた。)
ここによく来るのと美咲は尋ねた。
など
(ゆうまはちいさくうなずいた。)
悠真は小さくうなずいた。
(みさきもかわをみつめていた。)
美咲も川を見つめていた。
(わたしもこのばしょがすきなんだといった。)
私もこの場所が好きなんだと言った。
(そのことばはすこしいがいだった。)
その言葉は少し意外だった。
(がっこうでのいんしょうとはちがっていた。)
学校での印象とは違っていた。
(ふたりはならんでけしきをながめはじめた。)
二人は並んで景色を眺め始めた。
(きたかみがわにはしずかなながれがつづいていた。)
北上川には静かな流れが続いていた。
(いわてさんはゆうぞらのしたにたっていた。)
岩手山は夕空の下に立っていた。
(しばらくふたりははなしをつづけた。)
しばらく二人は話を続けた。
(まつりやりょこうのはなしでももりあがった。)
祭りや旅行の話でも盛り上がった。
(そしてかえろうとしたときだった。)
そして帰ろうとした時だった。
(みさきはふるびたちずをとりだした。)
美咲は古びた地図を取り出した。
(そのちずにはけんないかくちがえがかれていた。)
その地図には県内各地が描かれていた。
(はしにはふしぎなもじがかかれていた。)
端には不思議な文字が書かれていた。
(そこにはいわてのたからをさがせとあった。)
そこには岩手の宝を探せとあった。
(ゆうまはおもわずめをみひらいた。)
悠真は思わず目を見開いた。
(こうしてふたりのたびがはじまった。)
こうして二人の旅が始まった。
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