第23章 弘前の春

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(はるがおとずれた。) 春が訪れた。 (ひろさきこうえんにはおおくのひとがあつまっていた。) 弘前公園には多くの人が集まっていた。 (さくらのきせつである。) 桜の季節である。 (まんかいだった。) 満開だった。 (ほりのすいめんにはなびらがうかぶ。) 堀の水面に花びらが浮かぶ。 (かんこうきゃくたちはしゃしんをとっている。) 観光客たちは写真を撮っている。 (こどもたちはたのしそうにはしりまわっていた。) 子供たちは楽しそうに走り回っていた。 (かいとたちもこうえんへきていた。) 海斗たちも公園へ来ていた。 (ひさしぶりにゆっくりしたきゅうじつだった。) 久しぶりにゆっくりした休日だった。 (べんちにすわりながらみさきがいった。) ベンチに座りながら美咲が言った。
(「なんだかへいわだね」) 「なんだか平和だね」 (「それがいちばんだろ」) 「それが一番だろ」 (れんがわらう。) 蓮が笑う。 (そのとき。) その時。 (かぜがふいた。) 風が吹いた。 (たいりょうのさくらふぶきがまいあがる。) 大量の桜吹雪が舞い上がる。 (まるでそらがはなでうめつくされたようだった。) まるで空が花で埋め尽くされたようだった。 (そして。) そして。 (ほんのいっしゅんだけ。) ほんの一瞬だけ。 (かいとはみた。) 海斗は見た。
など
(あおいひかりでできたちいさなちょうを。) 青い光でできた小さな蝶を。 (ちょうはさくらのあいだをとび。) 蝶は桜の間を飛び。 (そらへきえていった。) 空へ消えていった。 (だれもきづいていない。) 誰も気付いていない。 (かいとだけだった。) 海斗だけだった。 (しかしふしぎとわかった。) しかし不思議と分かった。 (あおきあかりはきえたわけではない。) 青き灯は消えたわけではない。 (だれかのねがいのなかでいきつづけている。) 誰かの願いの中で生き続けている。 (そんなきがした。) そんな気がした。
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