夜明けのベルが鳴る　安田みずほ

(とおりすぎるしゃそうにうつったいっしゅんのきみと)

通り過ぎる車窓に映った一瞬の君と

(めがあってすこしわらった)

目が合って少し笑った

(ふゆのひゆきのまちかど)

冬の日 雪の街角

(かみあわないほはばはこれまでのせいにして)

噛み合わない歩幅はこれまでのせいにして

(これからのあいことばをきめよう)

これからの合言葉を決めよう

(はぐれないように)

はぐれないように

(こごえそうなあめのよるでも)

凍えそうな雨の夜でも

(きみのなみだがあたたかいから)

君の涙があたたかいから

(だいじょうぶ)

大丈夫

(ひとがよりそうりゆう)

人が寄り添う理由

(いまならわかるよ)

今なら分かるよ

(はじめてであったひ)

はじめて出会った日

(はじめてわらったひ)

はじめて笑った日

(はじめてないたひ)

はじめて泣いた日

(すべてはきみがいたから)

全ては君がいたから

(ああことばっていがいにふべんだ)

ああ、言葉って意外に不便だ

(なにもかもつたえるにはきっとじかんがたりないや)

何もかも伝えるには きっと時間が足りないや

(それでもすこしでもすこしでもとおもうから)

それでも少しでも 少しでもと想うから

(きょうがこんなにつらくてこんなにいとしいんだね)

今日がこんなに辛くて こんなに愛しいんだね

(よあけのべるがなる)

夜明けのベルが鳴る

(きみにあえてよかった)

君に会えてよかった

(たいせつなものほどあとになってきづくもの)

大切なものほど 後になって気付くもの

(なんでもないこのけしきも)

何でもないこの景色も

(いつかはおもいでになる)

いつかは思い出になる

(うしなうたびにおとなになって)

失うたびに大人になって

(からっぽのてはつなぐものだときづいたよ)

からっぽの手は繋ぐものだと気付いたよ

(とおまわりばかりで)

遠回りばかりで

(おそくなってごめんね)

遅くなってごめんね

(はじめてであったひ)

はじめて出会った日

(はじめてかなわないえいえんをねがったひ)

はじめて叶わない永遠を願った日

(すべてはきみがいたから)

全ては君がいたから

(ねえあとなんどすきっていえるかな)

ねえ、あと何度好きって言えるかな

(かぎりあるねんげつをおもうだけでもこわいよ)

限りある年月を想うだけでもこわいよ

(それでもすこしでもすこしでもとおもうから)

それでも少しでも 少しでもと想うから

(きょうがこんなにつらくてこんなにいとしいんだね)

今日がこんなに辛くて こんなに愛しいんだね

(よあけのべるにまぎれて)

夜明けのベルにまぎれて

(いちばんたいせつなひとへ)

一番大切な人へ

(きみにあえてよかった)

君に会えてよかった