過ぎて行け

(ばすをまつまだあめはやまなくて)

バスを待つ　まだ雨は止まなくて

(いっちゃったちいさなせなかはもうみえない)

行っちゃった小さな背中はもう見えない

(すみにさくせきりょうかんをつんだってこのじかんがやむはずなくて)

隅に咲く寂寥感を摘んだってこの時間が止むはずなくて

(またつぎのかさをおいかける)

また次の傘を追いかける

(さよならまどをたたくあめのおとはきこえないさ)

さよなら　窓を叩く雨の音は聞こえないさ

(ありがとういままできみとあるいたみちがすぎていく)

ありがとう　今まで君と歩いた道が過ぎて行く

(ゆらゆらとまたばすはぼくをゆらす)

ゆらゆらとまたバスは僕を揺らす

(ないちゃったきみのかおがのうりにやきつく)

泣いちゃった　君の顔が脳裏に焼き付く

(かさをつたうしずくがおちてちょっとずつみずたまりができていた)

傘を伝う滴が落ちて　ちょっとずつ水溜りができていた

(ただそれをながめることしか)

ただそれを眺めることしか

(あのばすていのあなうんすだけなぜかきこえてきた)

あのバス停のアナウンスだけなぜか聞こえてきた

(なぜだろうふるえるこえにうそなんてなかったのに)

なぜだろう　震える声に嘘なんてなかったのに

(それならもういっそぼくのこうかいをのせていけどこかとおく)

それなら　もういっそ僕の後悔を乗せて行け　どこか遠く

(はいのくもがおしつぶす)

灰の雲が圧し潰す

(またかんぐるぼくにいやちがうよってたださえぎってほしかっただけだ)

また勘繰る僕に「いや違うよ」ってただ遮って欲しかっただけだ

(うそついてないくせにきみがさりぎわにごめんねって)

嘘ついてないくせに君が去り際にごめんねって

(あやまらないでよ)

謝らないでよ

(それがずっとおくのほうにひっかかってひたすらにこえをころす)

それがずっと奥の方に引っかかってひたすらに声を殺す

(なぜだろうきみがぼくにあのはなしをしてくれたのは)

なぜだろう　君が僕にあの話をしてくれたのは

(なぜだろうとまりますぼたんがおせないおせるわけない)

なぜだろう　止まりますボタンが押せない　押せるわけない

(なんでずぶぬれのままあるくきみにきづいたのだろう)

なんでずぶ濡れのまま歩く君に気付いたのだろう

(とおりすぎるそのさんびょうかんになみだほおをつたう)

通り過ぎるその３秒間に涙、頬を伝う

(さよならまどをたたくあめのおとはきこえないさ)

さよなら　窓を叩く雨の音は聞こえないさ

(ありがとういままできみとあるいたみちよすぎていけ)

ありがとう　今まで君と歩いた道よ　過ぎて行け