広島市長 平和宣言
比較的短めで2分割した同日の首相あいさつ↓
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関連タイピング
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問題文
(いませかいではじこくだいいちしゅぎがたいとうし、)
今世界では自国第一主義が台頭し、
(こっかかんのはいたてき、たいりつてきなうごきがきんちょうかんけいをたかめ、)
国家間の排他的、対立的な動きが緊張関係を高め、
(かくへいきはいぜつへのうごきもていたいしています。)
核兵器廃絶への動きも停滞しています。
(このようなせかいじょうせいを、みなさんはどううけとめますか。)
このような世界情勢を、皆さんはどう受け止めますか。
(にどのせかいたいせんをけいけんしたわたしたちのせんぱいが、)
二度の世界大戦を経験した私たちの先輩が、
(けっしてせんそうをおこさないりそうのせかいをめざし、)
決して戦争を起こさない理想の世界を目指し、
(こくさいてきなきょうちょうたいせいのこうちくをちかったことを、)
国際的な協調体制の構築を誓ったことを、
(わたしたちはいまいちどおもいだし、じんるいのそんぞくにむけ、)
私たちはいま一度思い出し、人類の存続に向け、
(りそうのせかいをめざすひつようがあるのではないでしょうか。)
理想の世界を目指す必要があるのではないでしょうか。
(とくに、じだいをになうせんそうをしらないわかいひとにこのことをうったえたい。)
特に、次代を担う戦争を知らない若い人にこのことを訴えたい。
(そして、そのためにも1945ねん8がつ6かをたいけんした)
そして、そのためにも1945年8月6日を体験した
(ひばくしゃのこえをきいてほしいのです。)
被爆者の声を聴いてほしいのです。
(とうじ5さいだったじょせいは、こんなうたをよんでいます。)
当時5歳だった女性は、こんな歌を詠んでいます。
(「おかっぱのづからながるるちしぶきにいもうといだきてはははあしゅらに」)
「おかっぱの頭(づ)から流るる血しぶきに 妹抱(いだ)きて母は阿修羅に」
(また、「だんじょのくべつさえできないひとびとが、いるいはやけただれてはだかどうぜん。)
また、「男女の区別さえできない人々が、衣類は焼けただれて裸同然。
(かみのけもなく、めだまはとびでて、くちびるもみみもひきちぎられたようなひと、)
髪の毛もなく、目玉は飛び出て、唇も耳も引きちぎられたような人、
(がんめんのひふもたれさがり、ぜんしん、ちまみれのひと、ひと」)
顔面の皮膚も垂れ下がり、全身、血まみれの人、人」
(というさんじょうを18さいでたいけんしただんせいは、)
という惨状を18歳で体験した男性は、
(「ぜったいにあのようなことをこうせいのひとたちにたいけんさせてはならない。)
「絶対にあのようなことを後世の人たちに体験させてはならない。
(わたしたちのこのくつうは、もうわたしたちだけでよい」)
私たちのこの苦痛は、もう私たちだけでよい」
(とうったえています。)
と訴えています。
(いきのびたもののしんしんにしんこくなきずをおいつづける)
生き延びたものの心身に深刻な傷を負い続ける
(ひばくしゃのこうしたうったえがみなさんにとどいていますか。)
被爆者のこうした訴えが皆さんに届いていますか。
(「ひとりのにんげんのちからはちいさくよわくても、ひとりひとりがへいわをのぞむことで、)
「一人の人間の力は小さく弱くても、一人一人が平和を望むことで、
(せんそうをおこそうとするちからをくいとめることができるとしんじています」)
戦争を起こそうとする力を食い止めることができると信じています」
(というとうじ15さいだったじょせいのしんじょうを)
という当時15歳だった女性の信条を
(たんなるねがいにおわらせてよいのでしょうか。)
単なる願いに終わらせてよいのでしょうか。
(せかいにめをむけると、ひとりのちからはちいさくても、)
世界に目を向けると、一人の力は小さくても、
(おおくのひとのちからがけっしゅうすればねがいがじつげんするというじれいがたくさんあります。)
多くの人の力が結集すれば願いが実現するという事例がたくさんあります。
(いんどのどくりつは、そのじれいのひとつであり、)
インドの独立は、その事例の一つであり、
(どくりつにこうけんしたがんじーはつらくきびしいたいけんをへて、)
独立に貢献したガンジーは辛く厳しい体験を経て、
(こんなことばをのこしています。)
こんな言葉を残しています。
(「ふかんようはそれじたいがぼうりょくのいちけいたいであり、)
「不寛容はそれ自体が暴力の一形態であり、
(しんのみんしゅてきせいしんのせいちょうをさまたげるものです」)
真の民主的精神の成長を妨げるものです」
(げんじょうにせをむけることなく、へいわでじぞくかのうなせかいをじつげんしていくためには、)
現状に背を向けることなく、平和で持続可能な世界を実現していくためには、
(わたしたちひとりひとりがたちばやしゅちょうのちがいをたがいにのりこえ、)
私たち一人一人が立場や主張の違いを互いに乗り越え、
(りそうをめざしともにどりょくするという「かんよう」のこころをもたなければなりません。)
理想を目指し共に努力するという「寛容」の心を持たなければなりません。
(そのためには、みらいをになうわかいひとたちが、)
そのためには、未来を担う若い人たちが、
(げんばくやせんそうをたんなるかこのできごとととらえず、)
原爆や戦争を単なる過去の出来事と捉えず、
(また、ひばくしゃやへいわなせかいをめざすひとたちのこえやどりょくをみずからのものとして、)
また、被爆者や平和な世界を目指す人たちの声や努力を自らのものとして、
(たゆむことなくぜんしんしていくことがじゅうようとなります。)
たゆむことなく前進していくことが重要となります。
(そして、せかいじゅうのいせいしゃは、)
そして、世界中の為政者は、
(しみんしゃかいがめざすりそうにむけて、ともにぜんしんしなければなりません。)
市民社会が目指す理想に向けて、共に前進しなければなりません。
(そのためにもひばくちをおとずれ、ひばくしゃのこえをきき、)
そのためにも被爆地を訪れ、被爆者の声を聴き、
(へいわきねんしりょうかん、ついとうへいわきねんかんで)
平和祈念資料館、追悼平和祈念館で
(ぎせいしゃやいぞくひとりひとりのじんせいにむきあっていただきたい。)
犠牲者や遺族一人一人の人生に向き合っていただきたい。
(また、かつてかくきょうそうがげきかしきんちょうじょうたいがたかまったさいに、)
また、かつて核競争が激化し緊張状態が高まった際に、
(べいそのりょうかくたいこくのあいだで「りせい」のはつろとたいわによって、)
米ソの両核大国の間で「理性」の発露と対話によって、
(かくぐんしゅくにかじをきった)
核軍縮に舵(かじ)を切った
(ゆうきあるせんぱいがいたということをおもいおこしていただきたい。)
勇気ある先輩がいたということを思い起こしていただきたい。
(いま、ひろしましは、やく7800のへいわしゅちょうかいぎのかめいとしといっしょに、)
今、広島市は、約7800の平和首長会議の加盟都市と一緒に、
(ひろくしみんしゃかいに「ひろしまのこころ」をきょうゆうしてもらうことにより、)
広く市民社会に「ヒロシマの心」を共有してもらうことにより、
(かくはいぜつにむかういせいしゃのこうどうをあとおしするかんきょうづくりにちからをいれています。)
核廃絶に向かう為政者の行動を後押しする環境づくりに力を入れています。
(せかいじゅうのいせいしゃには、かくふかくさんじょうやくだい6じょうにさだめられている)
世界中の為政者には、核不拡散条約第6条に定められている
(かくぐんしゅくのせいじつこうしょうぎむをはたすとともに、)
核軍縮の誠実交渉義務を果たすとともに、
(かくへいきのないせかいへのいちりづかとなるかくへいききんしじょうやくの)
核兵器のない世界への一里塚となる核兵器禁止条約の
(はっこうをもとめるしみんしゃかいのおもいにこたえていただきたい。)
発効を求める市民社会の思いに応えていただきたい。
(こうしたなか、にほんせいふにはゆいいつのせんそうひばくこくとして、)
こうした中、日本政府には唯一の戦争被爆国として、
(かくへいききんしじょうやくへのしょめい・ひじゅんをもとめる)
核兵器禁止条約への署名・批准を求める
(ひばくしゃのおもいをしっかりとうけとめていただきたい。)
被爆者の思いをしっかりと受け止めていただきたい。
(そのうえで、にほんこくけんぽうのへいわしゅぎをたいげんするためにも、)
その上で、日本国憲法の平和主義を体現するためにも、
(かくへいきのないせかいのじつげんにさらにいっぽふみこんで)
核兵器のない世界の実現にさらに一歩踏み込んで
(りーだーしっぷをはっきしていただきたい。)
リーダーシップを発揮していただきたい。
(また、へいきんねんれいが82さいをこえたひばくしゃをはじめ、)
また、平均年齢が82歳を超えた被爆者をはじめ、
(しんしんにあくえいきょうをおよぼすほうしゃせんにより)
心身に悪影響を及ぼす放射線により
(せいかつめんでさまざまなくるしみをかかえるおおくのひとびとのくのうによりそい、)
生活面で様々な苦しみを抱える多くの人々の苦悩に寄り添い、
(そのしえんさくをじゅうじつするとともに、)
その支援策を充実するとともに、
(「くろいあめこううちいき」をかくだいするようつよくもとめます。)
「黒い雨降雨地域」を拡大するよう強く求めます。
(ほんじつ、ひばく74しゅうねんのへいわきねんしきてんにあたり、)
本日、被爆74周年の平和記念式典にあたり、
(げんばくぎせいしゃのみたまにこころからあいとうのまことをささげるとともに、)
原爆犠牲者の御霊に心から哀悼の誠を捧げるとともに、
(かくへいきはいぜつとそのさきにあるせかいこうきゅうへいわのじつげんにむけ、)
核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、
(ひばくちながさき、そしておもいをおなじくするせかいのひとびととともに)
被爆地長崎、そして思いを同じくする世界の人々と共に
(ちからをつくすことをちかいます。)
力を尽くすことを誓います。
(れいわがんねん(2019ねん)8がつ6か)
令和元年(2019年)8月6日
(ひろしましちょうまついかずみ)
広島市長 松井一実