最後のワンダーランド

(だれもないゆうえんちにひとりきり)

誰もない遊園地にひとりきり

(ちいさなこがなきじゃくってた)

小さな子が泣きじゃくってた

(きびすをかえさずばをあとにした)

踵を返さず場をあとにした

(ぼくにはかんけいないことだ)

僕には関係ない事だ

(そうそうそこでじっと)

そうそう　そこでじっと

(ぱぱのおむかえをまってなよ)

パパのお迎えを待ってなよ

(「どこだろう」といいながら)

「どこだろう」と言いながら

(そのこはたちさった)

その子は立ち去った

(むかししらないばしょでおとしものし)

昔知らない場所で落し物し

(なきがおさらしてをひかれ)

泣き顔晒し手を引かれ

(はくせきのまほうつかいに)

白皙の魔法使いに

(たすけられたっけな)

助けられたっけな

(あのひとのようであれば)

あの人のようであれば

(ぼくをたすけてきゅうせいしゅ)

僕を助けて救世主

(とけいはしずかにわらう)

時計は静かに笑う

(さんかいせいだんとはしゃぐ)

散開星団とはしゃぐ

(しこうのふぇありーらんど)

至高のフェアリーランド

(せきじつにみむきもせず)

昔日に見向きもせず

(ひびのはいったがらすのくつはとおざかる)

ヒビの入った硝子の靴は遠ざかる

(まだきたんのことはじめ)

まだ奇譚の事始め

(だれもないまちのなかでつまずいて)

誰もない街の中で躓いて

(くたびれたおにんぎょうひろう)

草臥れたお人形拾う

(なぜだかてばなせなかったんだ)

なぜだか手放せなかったんだ

(おにもつになるだけだろうに)

お荷物になるだけだろうに

(きみょうなこうどうにじぶんでも)

奇妙な行動に自分でも

(にがくわらいたいよ)

苦く笑いたいよ

(けれどそれもできぬほど)

けれどそれも出来ぬ程

(たいろをたたれてた)

退路を断たれてた

(そしてふたたびゆがみはじめるそら)

そして再び歪み始める空

(ぼうえんきょうをすてさって)

望遠鏡を捨て去って

(ぼろぼろのにんぎょうだけ)

ぼろぼろの人形だけ

(かかえはしりだしてた)

抱え走り出してた

(はやくたすけてきゅうせいしゅ)

早く助けて救世主

(おさないこえがそれにかぶる)

幼い声がそれに被る

(とけいははりすすめる)

時計は針進める

(わくせいをうちおとす)

惑星を打ち落とす

(ひじょうのねばーらんど)

非常のネバーランド

(ばとうにもせなかみせず)

罵倒にも背中見せず

(ちらばったかがみみてゆびさきこおる)

散らばった鏡見て指先凍る

(いまきたんのちゅうばんせん)

今奇譚の中盤戦

(むかししらないばしょでおとしものし)

昔知らない場所で落し物し

(なきがおさらしてをひかれ)

泣き顔晒し手を引かれ

(はくせきのまほうつかいに)

白皙の魔法使いに

(たすけられたっけな)

助けられたっけな

(あのひとはここにこない)

あの人は此処に来ない

(だれだったかおもいだしたんだ)

誰だったか思い出したんだ

(いまきみをたすけにいくよ)

今君を助けに行くよ

(のびたかげふむ)

伸びた影踏む

(さいごのわんだーらんど)

最後のワンダーランド

(こきゅうなどいしきもせず)

呼吸など意識もせず

(たずねるよあなたのおとしたものはこれですか)

尋ねるよあなたの落としたものはこれですか

(「ああもうなにもいりません」)

「ああ、もう何もいりません」

(１２じのかねひびくさいごのわんだーらんど)

１２時の鐘響く最後のワンダーランド

(なつかしおもさもどる)

懐かし重さ戻る

(つげられる「まったくきみにはかなわないな」)

告げられる「全く君には敵わないな」

(きたんのむすびきかせて)

奇譚の結び聞かせて